偏りのある子供の受験(1号編)③本命校

本命校の受験当日。私は4時半起き。
暖かいスープを飲んで、1号を起こし、うどんを茹でて食べさせる。
その間にお弁当を作り(午後にも2科目あった)、いざ出発。

1号の本命校は、「最難関校志望のすべり止め定番校」なので、案の定、最難関クラスの子がほとんど来ていた。みんな余裕をかまして遊んでいる…
うちは成績がギリギリで、最後までずっとC判定のまま受験するので、そこから少し離れた所で持参したプリント等を読んでいた。

物凄く大量の人数が受験するので、いったん本人も親も体育館に集められるのだが、ロープで6分割されていて、お揃いのベンチコートを着て塾の旗をもった各塾の先生達が、大勢いた。
1号の通う塾は一応大手だったので、1ブース確保されており、その端っこの方に親子で座って待っていた。
しばらくしたら数人の子供が「あー!先生~!」と、他塾のブースに走っていったので「何事か」と思ったら、1号の入塾テストで「国語は出来てるからOK」と言ってくれた塾長が、ライバル塾の先生になって、そこにいた。
子供達はオトナの事情などわからないので、無邪気に「元気~!?」とか聞いてるんだが、保護者達は小声で「●●先生。裏切者」とか「いくらで買収されたのかな」とか言ってて、凄く嫌~な雰囲気だった。
1号にとっては恩人なので、手だけ振っておいたけど。

大手6塾の子と親はともかく、そうで無い塾の子や先生や保護者、あの時どこにいたんだろうか。今でもわからない。体育館には入れなかったハズなので、寒い中、外で待機してたんだろうか。なんだかな…
1号を馬鹿にして採点前に不合格を言い渡してきた塾も、6塾だったのでそこに来ていたが、「絶対あの塾に入らなくて良かった、と思える結果にしようね」と誓った。

しばらくすると、某超大手塾(ハチマキする塾)から、「ぜったい!ご~かく!するぞ~!!!」という雄叫びが聞こえてきた。
先生が叫び、子供&親も叫ぶ。コール&レスポンス。メチャうるさい。
叫ぶ暇があるなら単語帳でも見たらいいのに、と思ってた。
1号の通う塾はそういう「他塾への威圧」を嫌うので、先生が「ちょっとこっち集まって~」と言って子供達を集めてから、「ああやって周りを不安にさせる作戦の塾もあるけど、気にせずスルーね。あー、大変だねと思っときなさい。休み時間に”余裕だわー”とか言ってくるけど、無視ね」とお話。先生の1発ギャグ等で笑わせてくれて和んだ。

学校の「そろそろ教室に向かって下さ~い」という案内があり、1号の通う塾は保護者の花道を作って、子供達が各教室に向かった。
流石にその状態の体育館で待機する気になれず、最寄り駅付近の喫茶店でお茶。最難関ママ達はまた集まって、学校の食堂で雑談タイムだったみたいだけど、関わりたくないので会釈だけしといた。
あれだけベッタリしてると、誰かだけ合格とか誰かだけ不合格の場合、いたたまれないと思うんだけどな…

14時過ぎまで試験なので、喫茶店を2回位変えて、図書館で本を読んだりして時間をつぶす。お守りを握って祈ったり。帰宅する人もいるみたいだけど、うちは爺さん婆さんに色々聞かれるのが面倒臭いので、ひたすら時間つぶしてたなー。
試験終了し、1号と合流。衝撃の一言。
「昼ご飯、おかずは入ってたけど、オニギリ無かったよ

やってしまった。自分のADHDがこんな所で炸裂。
朝、1号用のお弁当を作った時点でオニギリは作ったので、恐らく台所に置いてきたに違いなかった。
私「足りた!?(足りる訳ないけど)」
1号「チョコ持ってたから、それ食べた。問題ない」

もう、自分の馬鹿さ加減にビックリする。何故、今日。
1号が続ける。「●●のネタ(家族みんな好きな漫才師)で出てくる内容が社会科で出たから1問とけた、ラッキー」と。
本人的は「上のコースは無理でも、下のコースは大丈夫かも」との事。
とりあえず自分が色々やらかした事の方がショックだったので、即帰宅。

翌日は1日中何もなし。
本命校前期の結果、「合格(下のコース)」、1号大喜び。
「受かれば何でもいい!」「コースとかどうでもいい!」
個別指導塾と集団塾の両方に連絡。どちらからも「明日もう1回受験するから、上のコースを狙いましょう!」と。
興奮状態なので、あまり勉強はさせずに早めに寝かせた。

その翌日。本命校後期。下のコース合格は確保したので、気楽。
体育館に向かうと、明らかに人が少ない。スカスカ。
塾のブースに行ったら、「最難関に合格してたら今日はここにいない筈の子」が何人かいて、「あー、残念だったのね」とわかった。ママさん達の顔も葬式のようで真っ青。
うちはここが本命で、その日も「コース上がったらラッキー」位のノリで受験しに行ったので、その最難関残念組の近くにいる事さえ気をつかった。
ブースの端っこで1号と「静かにしよう」と話し、黙って三角座り。

6分割ロープのすぐ横に座ったので、隣の塾の女子&ママの声が聞こえてきた。「ここが受からなかったら人生終わりだからね。わかってるの?もう後が無いんだよ。聞いてるの!?」「うん…」
1号と顔を見合わせて、「ちょっと離れた場所にしよう」と移動。
あちこちで同じ光景が広がっていて、一部だけ「中堅校を確保したから、プチ難関も受けてみる」みたいなノリの親子がいた。顔が楽そう。うちも。
今回は花道も無く、各自で教室に行った(先生も1人しか来なかった)
体育館全体が地獄のような雰囲気でいたたまれないので、さっさと出た。
駅前の図書館で時間をつぶし、昼過ぎに1号回収。「まあまあ出来た」と。

翌日、合格発表。体育館の掲示を見に行った。「合格(上のコース)
私も1号も「なんで?え?」「見間違いかな?」
何度見ても、上のコースで合格していた。奇跡かな。
後期の方が偏差値5位高いので、半分ネタで受けたのに、合格した。
これに関しては未だに理由がわからない。
塾に連絡し、上のコースに受かった旨を伝えると塾もビックリしていた。
塾長が電話に出て「色々あったけど、我慢してきたご褒美ですね」と。

体育館を出て駅まで歩いていると、最難関クラスのママが少し前にいた。
通り過ぎる時に軽く会釈したら、鬼の形相で、目はあったけど無視された。
察した私はそのまま静かに駅に向かう。
同じ電車に乗ってるハズだけど、離れた車両になるようにして乗車。
1号に「●ちゃんは多分、◆中学はダメで、ここも下のコースしか受からなかったんだろうと思う。ママの顔が鬼だった。学校で触れないようにしなさい」と伝えた。
帰宅して、上のコースで合格した事を旦那や爺さん婆さんに報告。
夜には2号にも報告し、長かった中学受験に幕を下ろした。

翌日から小学校に登校再会。
誰にも話して無いのに、何故か色んな子から「●●中学いくらしいね」と言われたらしい。なんで知ってるんだよ…
超最難関を受けた(他塾)同級生も合格して登校していて、お互い「良かったね~」と喜び合ったらしい。A判定しか取った事ない天才君だったから、合格するだろうなとは思ってたけど、やっぱり凄かった。
同じ塾の最難関残念組の子は、しばらく学校に来なかった。2月頃にやっと登校し出して、吹っ切れたようになっていたらしい(内心はわからない)

受験翌週位に、塾へのお礼(お菓子)を1号に持たせたんだが、たまたま最難関残念のママが来ていて、先生達に「喧嘩みたいな事を言ってた」と。
数少ない仲の良い塾ママが後から教えてくれた話によると、最難関を全滅した子が今年は多くて、結果的に「受験時に初めて現場へ行った中堅校」に入学する事になった子が数人いると。
抑え校やプチ難関校であっても、後期だと偏差値が上がってしまうので、結果的にどこにも受からず中堅校になった子がいるらしい。
だからと言って塾に乗り込んでキレるのは違うと思うけど…

1号の中学受験はこんな感じで終わった。
入学してから深海魚になったのは、また別の話。