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ブラックホールと時空の構造(時空の構造)

4. 時空の構造
これらの考え方は、時空の構造に深く根ざしています。2+1次元時空の境界の粒子論から始まり、3+1次元時空の重力論に至りました。時空の次元の一つがどこからともなく現れたのです。この次元は、2+1次元の粒子の相互作用から出現しました。

そして、これは時空が最も基本的な概念ではないということを意味しています。それは、より基本的な概念によって生成され、その法則は、研究対象から観察者の一定の距離の後にのみ有効になります。例え話をしてみましょう。湖面を観察したとします。波が見えたり、水面に浮いている虫が走っていたり。湖の表面は透明度が高く、非常に描写しやすいように見えます。確かに、波の伝搬や表面張力などを記述する方程式を書くこともできます。さて、水面の構造をもっと詳しく調べたいと思ったとします。顕微鏡で見ると、以前のように水面がはっきりと観察されていないことがわかります。そして、電子顕微鏡で見てみると、水の蒸発分子が絶えず表面から出てきて、その場所は空気中の水の分子が凝縮したものに取られていることがわかります。よくよく考えてみると、水の表面が十分に明確に定義されていないことがわかり、個々の分子のレベルで起こる現象をなんとか含めなければならないことがわかりました。同様に、時空は近距離では明確に定義された概念ではなくなります。 明確に定義された概念は、境界に存在する粒子であり、時空は集合的な特性としてのみ出現します。

もし我々が負の曲率を持つ時空の中だけに住んでいるとしたら、我々の宇宙で起こっているすべてのことを理解するためには、その中の粒子の振る舞いを記述する境界層の適切な理論を作くることで十分でしょう。

しかし、興味深いのは、すべての利用可能なデータから判断すると、巨視的なスケールでは、私たちの宇宙の時空は、残念ながら、正の曲率を持っています。現時点では、正の曲率を持つ時空の重力場を同様に記述できる可能性があるかどうかはわかっていません。このような記述が存在し、それを見つけることができれば、ビッグバンの特異点問題は解決するでしょう。


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