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なぜ虹は色々な見え方をするのか2

■宇宙飛行士が水星の軌道にいて,宇宙ステーション内に水滴の霧を作ったとしたら,私たちが慣れ親しんでいるような虹は見えません.不思議ですね.太陽光線による第1の虹と第2の虹は両方とも白く見えます!そして,これらの虹の端だけが薄く着色します.これは,地球上の観測者が見る太陽の視直径は虹の視直径よりもはるかに小さく約0.5°であるのに対し,水星にいる観測者が見る太陽の視直径は大きく約2.5倍になることが原因です.

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図4

ただし,白い虹は地上の状況でも見ることができます.図4の写真は,霧の中の船室の窓から撮影したものです.霧の層が光源の角度を大幅に拡大させています.霧の中の太陽は,縁がはっきりした小さな発光円ではなく,拡がった大きな白い斑点のように見えます.写真をよく見ると,白い虹の上端が赤みを帯びていて,下端が紫色を帯びているのがわかります.白い虹のもう一つの美しい写真は図5です.

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図5

なぜ第1と第2の虹の明るさが異なるのかを説明するには,幾何光学の法則だけでは不十分です.

どのような界面においても,反射光のエネルギーЕ_{отр}と界面を透過する光のエネルギーЕ_{прош}の和は,入射光のエネルギーЕ_{пад}と等しい.透過光と反射光のエネルギーの比は,界面の異なる側の媒体の相対屈折率,界面への入射角,入射光の偏光(ちなみに,虹の光が強い偏光であるのはそのためです)によって決まりますフレネルは19世紀の初めにE_{отр}/E_{пад}とE_{прош}/E_{пад}の関係を計算するための公式を導き出しました.

相対屈折率nの媒体の界面に光が垂直(α=0)に入射した場合なら,反射光のエネルギー分率は次の式で計算することができます.
[訳者注)虹の場合は垂直入射ではないので,αにより変化するし,偏光の効果も考慮したフレネル反射の式を使います]

数式

第1の虹を形成する光は液滴内で1回だけ反射されたもの,第2の虹を形成する光は液滴内で2回反射されたものです.これらの虹の明るさ(光強度)の比率I_{1}/I_{2}は,反射1回と反射2回の光強度の比で上記のようになります.

精密には,大きな入射角の内部反射では,反射係数が少し大きくなるので,この比率はやや小さくなります.

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(編集後記)お陰様でスマホに変更し通話可能になりました.システムのバージョンアップに時間がかかりデータの移行は終わっていません.


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