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コーシー-リーマンの方程式

コーシー (1789-1857)、リーマン (1826-1866)
これも19世紀の数学で重要な発見の一つです.数学が社会(科学技術も含まれる)とどのような係わりを持つかを知るのが私たちの目的です.数学の勉強会ではありませんが,複素関数論は19世紀に確立した重要な分野ですし,広い応用分野をもちますので,その基礎となる概念とはどのようなものでしょうか.お付き合いください.
私たちの使う関数論は19世紀の数学で十分なようです.Fourierフーリエ級数(変換),Laplaceラプラス変換を取り上げましたが,複素関数に少しだけ言及します.今回は,コーシー-リーマンの方程式を見てみましょう.
数学の勉強会が目的ではないのでできるだけ言葉で説明します.

複素平面(x軸が実数,y軸が虚数)に定義域Dをもつ複素関数f(z)を考えましょう.この関数は領域Dで正則(微分可能)であるとします.微分可能な関数ですから,連続であることはいうまでもありません.
複素平面は2次元ですから,ある点zでの微分は,軸に沿って(xで偏微分)行う微分係数と,y軸に沿って(yで偏微分)行う微分係数がありますが,複素関数が正則であるとすると,どちらの微分係数も一致し,点zでの微分係数は確定しなければなりません.関数がDで正則とは,定義域Dのすべての点で微分係数が確定する(微分可能)ことです.

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逆に,コーシー-リーマンの方程式が成立するなら,複素関数f(z)は正則であることが証明できます.

従って,複素関数が正則であるための必要十分条件は,コーシー-リーマンの方程式が成立することです.

■正則な複素関数 f(x,y)=u(x,y)+iv(x,y) はその実数部u(x,y)あるいは虚数部v(x,y)のどちらか一方を知れば他方は決まってしまう.

例えば,虚数部v(x,y)を知り,コーシー-リーマンの方程式を使うと,実数部u(x,y)を求めることができる.例えば,以下のyoutube動画には,このような問題の演習があります.

■応用について
ちょっと数学から飛躍しますが,実部を知って虚部を求める例として,私のやった実験の話をします.

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