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対称性の混合

垂直方向対称面の認識

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[訳者の考察]私たちは左右対称の環境で暮らし,私たちの体は真ん中で2つに切ると左右対称です.目も左右で2つありますから,上のような図を見ると垂直な対称面で左右対称であるかどうかを真っ先に認識する習性があります.もし,この図を回転し傾けて置くと,傾いた状態の対称面で左右対称かどうかを見出すのに時間が少しかかります.マッハは,このような垂直対称面の認知の印象がとても強力である証拠に,子供たちが,垂直対称面で結ばれる文字(pとq,dとb)をしばしば混同することをあげています.水平対称面の認知(pとb,qとd)や,2回回転対称の認知(pとd,qとb)は,子供たちの混同はほとんど起こらないということです.従って,図形中に垂直対称面が存在するとそれを踏まえた部分図形が優先して見えてきます

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さて,与えられた上のパターンを見ると,色々なパターンが見えてきます.色々なパターンが重なって全体のパターンができています.一般に,重畳されるそれぞれのパターンの対称性は異なります.今回のタイトルの対称性の混合とは,対称性の重畳のことで,重畳結果は共通部分群の対称性になるでしょう.
部分パターンを重畳して全体パターンが構成されているわけですが,私は,部分パターンとう言葉を局所的(有限パターン)な場合にも使いますが,Koptsikの著書では,部分パターンとは平面全域(無限パターン)に広がっているものに使っています.

例題で見ると,細線だけでできたパターンは,正方形と正3角形で構成され,シュレーフリの記号で[4,3,4,3,3]のタイル張りパターン(対称性はp4)です.

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太い線だけでできるパターンは,細い線だけででききるパターンと互いに双対です.双対図形とは,面→頂点,頂点→面と入れ替えた図形のことです.互いに双対な図形の対称性は同一です.

太線の一部を消し,横に伸びた太線の6角形に注目し部分パターンを作ると,以下のような面心格子になります.対称性はc2mmです.

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あるいは,太線の一部を消し,ジグザグの太線で作った部分構造の対称性はp2のパターンになり.その単位胞は下図の破線で示したものになります.

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