![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/28958621/rectangle_large_type_2_18339dfcf1cbc88b0cfcd40aad2ad447.jpg?width=1200)
星型多面体★
■ 星型正多角形(ダ・ビンチの星型)
下の青や緑の図形は,星型正多角形の例で星型5角形(五芒星)と星型8角形(ダ・ビンチの星型)です.頂点同士を結んだ赤い輪郭線は,それぞれ正5角形と正8角形になり,凸多角形(凹所のない多角形)です.星型自体は,星状凸集合(領域内の点で,そこから領域内の任意の点を見通す線分がすべて領域内に収まるような点が存在する集合)ではあるが,凸多角形ではありません.
![ダビンチ1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/28958676/picture_pc_7bdc8f53f601f3847fb0454d3887f3ac.png?width=1200)
青い星型5角形について詳しくみていきましょう.頂点Aから辺をA→C→E→B→D→Aと1周りたどると,辺の向き(→)が2回転することがわかります.あるいは,「5角形の頂点を1つ飛ばしでたどって,2周して始めの頂点に戻る」という言い方もできます.このような星形を { 5/2 } と表記します.
星型8角形(ダ・ビンチの星型)でも同様で,右の図形は { 8/3 } です.
![ダビンチ2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/28958691/picture_pc_018f7dc55a1665d0cc0c23f8bd0abb09.png?width=1200)
星型5角形を 5/2 と書くのは,2×360˚/5=360˚/(5/2) だからです.この星型5角形が頂点で5つずつ集まる { 5/2, 5 } は,星型小12面体になります.
![ダビンチ3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/28958714/picture_pc_7186f698ea026244ebff700c9ed6ea56.png?width=1200)
![ダビンチ4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/28958730/picture_pc_4ab1f542abf706b2d166570bd338f9de.png?width=1200)
■星型正多面体(ケプラーの星形正多面体より)
(1)正12面体をコア(芯)にしてできる星型「星型小12面体」
右の写真の星型は,東京都庭園美術館,旧朝香宮邸,姫宮の部屋の照明器具にも使われています.
コアになるのは正12面体で,その12個の正5角形の面の上に,それぞれ正5角錘を取り付けた形をしています.正5角錐の頂点は,それぞれ,芯となる正12面体の面に対応していますから,頂点を結んでできる図形(赤の多面体)は,正12面体に双対な正20面体です.
![ケプラー星型小12面体](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/28958751/picture_pc_a2bca27c42e3c26537758df0b31b8b31.png)
![星型小12面体](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/28958837/picture_pc_a7de6420f1dd861e4e84832450830b2d.png?width=1200)
これは,正5角錐の頂点(例えばA)の周りに,星型正5角形 { 5/2 } の面が5個集まっている立体です.芯に正5角形の穴のある五芒星の板を,各頂点で5枚ずつ組み合わせると,この立体になります.したがって,この星型正多面体はシュレーフリの記号で { 5/2, 5 } となります.
さて,この星型小12面体 { 5/2, 5 } は,プラトンの正多面体(正12面体)を芯にして,その正5角形の面に正5角錐を貼りつけた形(正5角錐の側面は芯の正12面体と同一平面にあります)でした.同様に,プラトンの正多面体(正20面体)を芯にして,その正3角形の面に正3角錘(正4面体)を貼り付けてできる形は, 星型大12面体{ 5/2, 3 } と呼ばれます.これら2つの星型は,ケプラーの星型多面体とも呼ばれます.序に,この2つの星型に双対な,{ 5, 5/2 },{ 3, 5/2 } は ポアンソの星型と呼ばれます.
星型小12面体は,五芒星の面F が12枚,稜の数E が30,頂点の数V が12ですので,F−E+V= −6( 私たちの知っているオイラーの多面体定理では2)となります.これは星型小12面体の空間が,球の位相と異なり,穴が4つ空いた浮輪と同じ位相であるためです.(穴が1つ開くごとにF-E+Vは2づつ減ります)
![星型小12面体展開図](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/28958805/picture_pc_44b97e762af225335d641886e0fceff1.png?width=1200)
美しい幾何学,p152-154
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