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コペルニクスの定理またはロボット掃除機


クバンチク12月号(2016)p.2~6に,S.Dorichenkoによる表題のエッセイがあります.冗長ですので,図は用いていますが,独自の説明にしました.

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梯子が壁に沿って立っている状態(図1).Kは梯子の中点でここにクバンチク君がいます.梯子の上端が壁に沿って下にスライドし,下端が床に沿って右に移動します(図2,3).クバンチク君の描く軌跡は?

壁と床の交点をOとすると,クバンチク君の位置KはOからの距離が常に等しい(梯子の長さの半分)ことに注意しましょう.

従って,クバンチク君の軌跡は中心Oとする半径OKの円(青い線の全円周の1/4).

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Kを中心として直径ABの円(赤い円)を考えます.Oは円周上にあります.
Kが青い円の上を運動するとき,赤い円の直径ABの端点A及びBは直線運動をします.

■赤い円と緑の円があります.緑の円の直径は赤い円の2倍です.赤い円は緑の円の内部から内接し,接点は滑らずに緑の円に沿って回転します.
始めの図は,赤い円の直径ABのA点が緑の円のN点に,赤い円のB点が緑の円のO点に一致している状態です.緑の円の内部で赤い円が滑らずに回転し,C点が接している状態になったところが次の図です.
A点は縦軸上を移動し,B点は横軸上を移動することがわかるでしょう.この調子で,赤い円の中心Kが右回りに回転を続けても,A点,B点はそれぞれ直線運動を続けます.これは,回転運動を直線運動に変える機構に利用できます.

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コペルニクスの定理
円が,直径2倍の円の内側に沿って滑らずに回転する場合,回転する円周の各点は,必ず,原点Oを通る何らかの直線上を運動をします.

■ロボット掃除機の動き
赤い円をロボット掃除機とします.ロボット掃除機の中心Kが青い円に沿って動く.掃除機自体が,青い円に沿った回転角と同じだけ逆向きに回転するので,初めに直線OK上にあったC点は回転しても直線OK上にあります.

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■楕円軌跡
もしクバンチク君がいる場所が,梯子の中心ではなく,例えば,1/3の位置にいるなら,クバンチク君の描く軌跡はどうでしょうか?

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■ここで,興味ある問題を補足します.
円が2倍サイズの円の内部に接しながら,滑らないように回転するとします.内部の円の中心が一周した(公転)とき,内部の円は何回転(自転)したでしょうか?

答えは1回転です.お試しください.外側の円の円周は内部の円の円周の2倍ですので,2回転と言いたいところですが,不思議ですね.何故だか説明してください.

同じ大きさの円を接して回したとき,外側の円は何回転するかという良く知られた問題があります.10円玉を2つ使って実験してください.この場合は,円周の長さは同じですから,1回転と言いたいところですが,このときの答えは2回転です.

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