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平行多辺形とプラニゴン


寄せ木細工での利用

一つの図形を用いて,平面を隙間なく重なることもなく埋め尽くす課題にしばしば出会います.図形を互いに平行配置し平面を埋め尽すことができ,その図形がポリゴン[凸多角形]であれば,その図形は平行多辺形parallelogonと呼ばれます.任意の平行4辺形と,対辺が平行で等しい6辺形だけが,平行多辺形になれ,この他に平行多辺形はありません.こうして,次の8つの典型的な平行多辺形が作れます(図171).内訳は,4つの平行多辺形(正方形,長方形,菱形,傾いた平行4変形)と,4つの6辺形(正6角形,対辺に垂直な方向に伸びた6辺形,対角を2等分する方向に伸びた6辺形,歪んだ6変形)です.

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平行多辺形からプラニゴンplanigon(すなわち,平面を隙間なく重ならず埋め尽くす形の平行多辺形で,平行移動だけでなく回転軸や対称面で反射した位置に配列できる)を得るには,各平行多辺形を対称性に従い等価な部分に分割すれば十分です.例えば,正方形は8通りの方法で等価な部分に分割できます(図172,19-26).もし,正方形を非対称図形として扱えば,分割できず(19)のままであり,この場合は平行多角形であると同時にプラニゴンでもあります.もし,正方形を対称性2・mにするなら,等価な部分への分割には2つの方法があります(20,21).2回回転対称性を持たせるなら2つの台形への分割になります(22).対称性4・mにする,正方形の4つの等価部分への分割なら2通り(23,25),および,8つの等価部分への1通りの分割(26)があり,4回回転対称性にするなら,4つの等価部分への分割は1通り(24)があります.すべての平行多角形の等価部分への分割は,これと完全に同様な方法で行います.図172には全部で48通りの平行4辺形のプラニゴンへの分割結果が掲載されています.ただし,これらの分割された平行多角形の48個のうちのいくつかは,平面を埋めると同じ結果を与えることになります.例えば,平行多角形19と23は,同じ単純正方格子になります.また,平行多辺形21,25,26は直角2等辺3角形の異なる寄せ木パターンを作ります.
平面をプラニゴンで埋める問題は,確かに,もっと一般的な問題の特殊なケースで,等価な図形で平面を埋める問題は早くから考察されてきました.この特殊なケースは,床や道を張り詰める寄せ木デザインなどで実用的な重要性があります.

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[訳者注]ここで扱う平面の分割は,結晶(周期的内部構造)学の基礎になるもので周期的なものであります.ペンローズタイリングのような非周期の平面充填もあります.


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