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ハーキマーダイヤモンド

表紙の写真は私の手持ちの両錐型(両側にピラミッド面がある)の結晶外形の水晶です.柱面があるものもあり厳密には「ハーマキーダイヤモンド」とは言えないかもしれませんが,雰囲気は近いです.以下の両錐型でない普通の水晶の写真と比較してください.

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両錐型の結晶の外形をしている水晶は,「ハーキマーダイヤモンド」と呼ばれます.ダイヤモンドではありません.これは水晶(石英)です.普通の水晶より透明度が良く,美しく輝くようですが,屈折率はやはり水晶のもので,ダイヤモンドとは異なります.アメリカのニューヨーク州ハーキマー地区から産するものが典型的だそうで,パワーストーンとして人気があるようです.

私が持っている写真のものは,産地は何処だかわかりませんーおそらく米国産ではないでしょう.このようなピラミッドが合わさった(両錐型で柱面がない)外形の水晶は,産地は何処であっても「ハーマキーダイヤモンド」と呼ばれます.私のものは本場産でないので,パワーがあるかどうかは知りません.
普通の水晶で見られる6角柱の柱面が見られず,ピラミッド(錐面)が上下にくっついた結晶形は,ダイヤモンドを思わせるので,「ハーマキーダイヤモンド」と呼びたくなるのでしょう.
外形の結晶面の大きさや組み合わせが変わり,自形の見かけが変わるのを,結晶の晶相の変化と言います.水晶の内部構造はケイソ原子Si(白球)と酸素原子O(赤球)で出来ています.下図参照:

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この図は,普通の水晶(低温石英)を,六角柱の方向に投影した内部構造です.赤い球が2つづつ寄っているので,内部構造の対称性は6回対称からごくわずか歪み3回対称になっているのがわかるでしょう.高温で結晶成長をした高温石英の場合は,この図と違い赤い球が均等に離れ6回対称になっています.

1気圧下では,573℃を境として,高温石英と低温石英とは構造が移り変わります(相転移と言います).ハーマキーダイヤモンドは,高温で結晶成長が起きてできた高温石英のため,柱面が成長せずあのような外形の結晶になりました.結晶の外形は出来上がってしまったので,あのような外形のままの結晶ですが,室温にある今は,相転移を起こし内部構造は変わっており低温石英と同じです.

ハーマキーダイヤモンドは,高温石英の外形を残していますが,内部の構造は普通の石英(低温石英)と同じです.

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