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円柱鏡の火線

■円柱鏡の収差

円柱鏡[円柱(シリンダー)の内側で反射]による光線反射の実際をご覧ください.平行光線を入射させて反射光線が作る包絡線の形を“火線”といいます.この曲線はネフロイド(サイクロイドの仲間)と呼ばれます.
円柱鏡の内側はある程度平行光線を集光しますが,焦点は1点ではなく多少ぼけている(収差がある)ことがわかります.

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■次の図で,円による数学的な反転と円柱鏡による鏡像を比べましょう.
赤い円は,中心Oで半径aの円です.この円を「反転円」と呼び,円柱の外の世界を円柱の内に写しましょう.OからRの距離にある点を,Oからrの距離にある点に写す,円による反転の定義は,R・r=a^2 です.


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この図には,Rにある物体の3つの像(黒,赤,緑)が作図されています.緑点は,数学的反転の定義による像,赤点は,平行光線(円柱鏡の中心部のみ使う)による像(いわゆる焦点),黒点は,物体からの発散光が作る像です.始めの火線の実験でわかったように円柱鏡には収差があるので,光源からの発散角が大きくなるほど短い焦点距離になります.ただし,光軸近傍(発散角の小さい)の光線の強度が支配的なので,ある程度鮮明な像を見ることができます.数学的反転の定義で生じる像はポアンカレの円盤モデルで使われます.数学的定義は明確なのですが,実験で再現するには工夫が要ります.

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美しい幾何学p.144


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