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PCR検査

私は2020年3月24,26日のまぐまぐメルマガ(311,312号)やnoteで以下の内容の発表をたのですが,noteの記事が何処にあるのか自分でも探すのが大変でしたので,リンクを張っておきます.

罹患率はどのくらい(全国民の何%が感染)か知りたいと思いました.先の私の記事(1年前の時点)では,まだPCR検査数も少なかったのですが,現在でもPCR検査は十分に行われているとは言えませんが,増加していますので再度計算してみることにします.

PCR検査の性質(精度)によるのですが,真の罹患者でもPCR検査で陰性と判定される取りこぼしの確率は0.3程度です[偽陽性].罹患者がPCR検査で陽性と正しく判定される確率は0.7程度で,これをPCR検査の感度といいます.PCRは(polymerase-chain-reaction)の略で,ウイルスのRNAが何十回も転写を繰り返し増殖した結果を見るのだから,境界値がはっきりしない.検体の採取法によっても影響を受けてしまうので感度の鋭敏な検査ではない.しかし,採取した検体にウイルスがなければ,空中の不活性なウイルスの取り込みでも起こらなければ,ウイルスの増殖は起こるわけがないので,真の非罹患者が陽性と判定される確率は0.01程度で[擬陽性]はほとんどない.PCR検査数を増やすと,擬陽性者の検査や隔離が必要となるので医療崩壊につながるので,PCR検査数を絞るのが良いと主張する向きもある.

現在でも,PCR検査は,症状のある限定されたグループをサンプル集合としているために,一般の集団に対しての罹患率は把握できていない.PCR検査で陽性と判定された人が,真の罹患者である確率が低いので,検査対象を限定してヒット率を上げるのが良いような主張があるが,本末転倒である.罹患者だけに検査対象を絞って検査の無駄がないと言ったって仕方がない.
感染源となる無症状者もかなりいるので,幅広いPCR検査が必要とされる.網にかかった陽性者は,追加検査,抗原検査などもするので,医療崩壊が起こるというのは詭弁である.他の検査に関する記事は以下のnoteにある.

新しいデータで再度統計を調べるつもりです.しかし,今日は入り口で止まってしまった.でも,数学も統計学も常識を正しく踏まえてなければいけないからここが大事であるように思う.
現実をかこむ多次元の境界条件から論じるべきものを,都合の良い一つの境界条件から論を進め結論するようなことは不公正である.


3月21日の厚労省の公表値を用いて,罹患率=発症患者/PCR検査数と定義すると,罹患率は,約5%になります.しかし,PCR検査の,感度と特異性(酒井健司,朝日デジタル)の情報を入れてベイズ推定した罹患率は5.9%になります.この推定値の増加は,主としてPCR検査感度に原因があり,実際の罹患者を取りこぼすためです.
(注)この数値は,PCR検査を受けた限定されたグループをサンプルとしているために,一般の集団に対しては少し割り引いた数値になるでしょう.-----
PCR検査数が少し増加した2020年4月24日時点の厚労省のデータを用いて,再計算をしてみました.ただし,PCR検査数が増加したといっても(検査を受ける条件はあまり緩和されていません).したがって,陽性確率が高いサンプル集団について検査が行われている状況は同じです.
カバーの図を見てください.ここで推定する数値はあくまでもサンプル集団に関するもので,全体集団に対してはいくらか割り引いた(少し小さい)数字になるでしょう.

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