燃え殻であいた穴をなでた


今年はどうでしたか。わたしはひとつ仕事を辞めました。とても短い間だったけれど、自分の欠点を理解するには充分過ぎました。あまりにも向いていなくて、存在していることが辛くなりました。すべての責任を投げ出したいと思いました。これ以上何も知りたくないし教えられても困ると思いました。休憩の1時間にご飯を考えるのも億劫になってずっと同じものを食べていたら途中で食べれなくなって残りの時間はトイレにいました。もうそれが食べれなくなったということは、お昼ご飯を食べれないことだと思って、休憩から戻ってすぐに辞めると言いました。あれだけ張り詰めていたものがその瞬間にはうそみたいになくなっていました。退職届をその日中に出して2週間後に辞められることになりました。他のスタッフに辞めると言い出せたのはそれから1週間後でした。不思議なことに辞めるその日まで1度もやっぱりもう少し続けたいとは思いませんでした。

心がずいぶんと軽くなって、自由に休みをとって旅に出たりしました。山にのぼり海を見渡し夜が来るのを眺めました。会いたい人には連絡をして、食べたかったものを食べて、大好きな音楽を聞きました。とても休まって、なにも辛くない毎日でした。でもふと我に返る瞬間があります。わたしはこの先どこへ行くの?この道の先に何かあるの?もちろん幸せは人それぞれだけど、自分にとっての幸せはあるの?ないものねだりなのはわかっています。どうしても成し遂げたい明確な結末は見えないのです。自分の中のバランスがまったくとれません。わたしはどうしたらいいですか。仕事に縛られた生活をすればどこか遠くに消えてしまいたくなる、縛られない毎日は退屈になってしまう。わがままだと思いますか。みんな、本当はこの気持ちを大人だから表に出さないだけではないですか。声に出してしまうわたしは大人にはなれませんか。

ただ生きるにはあまりに長い退屈さを思うと、目の前が暗くなります。夕方にベランダで洗濯物を取り込むときに、熱気にまとわれた夕焼けの匂いをかいで、意志のない休暇に嫌気がさしました。強いエネルギーがなければわたしはここを抜け出すことができない。比べる環境がなければ焦らなくても毎日は過ぎていきます。海に行った帰り、あなたは運動神経が悪いのではなくて疲れない程度にしか動かないのだと言われました。まぎれもない事実でした。だって楽だから。傷つかないから。消えたくならないから。夜がきたら眠れるから。本当は静かに蝕まれているけど、気づかなくてもいいから。

ずっと焦燥感とか劣等感とかいろんなものを抱えています。今に始まったことじゃない。才能がないのを認めたくなくて、下北沢にしがみついてたりとか、過去にあったことを最近あったみたいに言ったりとか。言わないけど、みんな自分の話だと思ってるんじゃないの?だから共感して星4つとかつけるんじゃないの?
なんて平凡なんだろう。みんなと違う人でいたかった。間違えたなんて思いたくない。思わなくていい。
まだまだ夏休みは続く。



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