龍太郎。

昔、1987年だったらしいからやはり昔だ。
鶴瓶上岡パペポTVというテレビ番組があった
(スタートあたりではそんな名前ではなかったが)。
20歳の頃、まだ学生の頃だ。
一度形を変えたものの、2000年まで一貫して
深夜放送されていた。

私はそれを録画もしたがなるべく放送時間中に観ようと
しばしば気絶しそうになりながら観ていた。
夜の野球中継が延びたりしたらそのあおりで
2時や3時になることもある番組だった。そういう
時代だった。

ほぼすべて観たのではないかと思う。
とにかく中毒性のある番組だった。
どこがどのようによかったとか悪かったとか
そういうのはこれからしばらく色々なところで
書かれたり話されたりするだろうし、面倒だから
省略する。
しかし、私のスマホには、数百本分のパペポの
(音声)データが入っている。
番組が終了して23年経った今でもそれらを聴いている。
コンビニまで歩くときや洗車するとき、クルマでの移動中、
何かの待ち時間には必ず聴く。
35年もあるとどんな人間にもいろいろなことが起こる。
当然気分的になかなか上昇しないこともあるだろう。
パペポTVのビデオを観たり、その後にスマホで音声
データを聴いたりすることは、いわゆる「調子が悪い」
時期にかなり助けになった。

たった二人きりが出てきてずっと喋っているという
その番組の一人、上岡龍太郎氏が先月亡くなっていたという
報道があった。
2000年できっぱり「芸能界をやめる」と宣言し
実行し、その後ほとんどメディアには出てこなかった。
いつかは一度ぐらい見かけるかな という思いも
あったが実現しなかった。

上岡龍太郎氏には伝説がいろいろあるが、
「握手を求めても拒否される。サインを求めても
断られる」というのもあった。
もし偶然どこかで氏と居合わせた場合、どのような
接触をすればいいのかというシミュレーションを
若いころ考えたことがあったが、いつも結論は
出なかった。
こういうことを考えたのは龍太郎氏、鶴瓶氏と
(理由があって)トニーベネットに対してだけである。


そんなに頻繁に観たり聴いたりするなんて
お前は龍太郎氏のファンだったのかと問われると
まったくそんなことはない というのが矛盾して
いるところではある。
そして現在の「喪失感」が凄まじく大きい
というのが、さらに矛盾しているという自覚がある。

ああ、面白くない出来事だ。

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