中年の危機、45歳定年時代のセカンドキャリア模索の手引き(その1):兆候、症状、最初に意識しておくべき対応策。

今回は題名の話、中年の危機、45歳定年時代のセカンドキャリア模索等について、自身の体験から幾らか述べてみたい。内容についてはエッセイ風に書きながら整えて行く予定なので、ややまとまりがないかも知れない点はご理解頂けると幸いである。

○初期段階:中年の危機の兆候

まずは中年の危機の兆候がどんなものか、自身の体験から幾つか列挙しておく。

*仕事は結構上手く行っている。収益も出ている、過去の蓄積のお陰で比較的流しでもこなせるようになっている。キャッシュカウの既存ビジネスでキャッシュ回収している、と言う感じになる。

*一方で、以前ほどの仕事への熱意、やりがい等は減退して来ている。マンネリ感、飽き等を感じ始めている。しかし上記の通りでそこそこ上手く行っているので辞めようとまでは行かない。

*家庭生活がある者は家庭にもマンネリ感を覚えるようになる。独身者は異性とデートする等も飽きて来る。

*そうした退屈や飽きを埋めると言う意味合いもあり、車や時計、高価なレストランバー等のグルメ、不倫等に興味が行くようになる等して心の隙間を埋めたくなったりする。

...こうした辺りが中年の危機の兆候のように思う。黄色信号である。

○発症段階:本格的な中年の危機

これが本格的に中年の危機になると、より本格的な以下のような状況に直面する事になる。

*キャッシュカウだった仕事側が本格的に衰退期に入って来る、「先が見えて」来る。以前ほど儲からなくなる、過去のやり方や自分のスキル能力が陳腐化する、出世の先が見えて頭打ちになる、肩たたき/リストラ等が見えて来る、転職市場でヘッドハンターから声が掛からなくなる等。

*家庭生活や私生活の問題がより目に見えた形で深刻になる。既婚者の場合夫婦関係が本格的にマンネリになる。不倫した場合は諸々抜き差しした結果配偶者に感づかれる、仕事にも悪影響が出る等して抜き差しならない状況になったりする。独身の場合は男性/女性としてのバリュー低下、金融で言う所のオプション満期が近くなる所でのタイムディケイが急になる等を目に見えて感じるようになる。要するに急激に容色が衰えモテなくなる(男女とも35歳回った辺りから徐々にこれを感じるようになり、アラフォーになるに連れ本格的にこれに晒されるように自身の経験では感じている)。

*気力体力の低下を痛感するようになる。以前ほど馬力が出ない、無理が効かない事を痛感するようになる。ハードワークを続けていた人、酒量が多かったり夜遊びが多い人などは大病をやってしまう場合もある。

*人生への空虚感、過去自分のして来た事に対する無価値感等が強くなる。真っ暗な出口のないトンネルの中を延々と彷徨っているような気分になる。鬱等に近い症状を示すようになる。

...こうなって来ると本格的な「中年の危機」発症、中年の危機来たなーと言う感じである。人により30代後半位で来る人もいれば、仕事など全体に上手く行き脂が乗った状態がアラフォーでも継続した場合はアラフィフ位で来る場合もあるだろうが、比較的多くの人にいつかは訪れる事のようにも思う。

○中年の危機の初期から発症段階の対応法

こうした中年の危機の初期から発症段階の対応法については、自身の経験からは以下のようなものが挙げられる。

*人生をドラスティックに変えようとしない。

よくあるのが、サラリーマンが突発的に脱サラして大した準備もなくバーや飲食店を始めたくなったりするパターン、全然強みもない分野で起業したくなったり、突如仕事を辞めてインドでヨガの修行をしたくなったり、不倫等で現実逃避するパターンだが、これは個人的にあまりお勧めしない。

中年の危機の時期は心身ともに弱っている時期であり、冷静な判断力も減退している。新しい事を手がけるのには良い時期ではないように感じている。ある程度歳行って生活の固定費が高くなった所で仕事を辞めると預金はみるみる減る。会社辞めてインドで半端なヨガ修行コースをした所で人生開けたりもしない。アラサー位ならこう言う無茶をして上手く行かなかった場合もその後の社会復帰は比較的容易に出来るが、アラフォー以降でこれをしてしまうと社会復帰の難易度が高くなる。

異性関連や不倫等も中年の危機で心の隙間がある時に衝動的にのめり込んだりすると地雷を踏む、変な異性に引っかかってしまい身を持ちくずしたり家庭に影響が出るリスクを孕んでいるように思う。隣の芝生は青く映る、普段接さない類の異性がミステリアスで魅力的に感じるかも知れないが、こう言う時にこの手の異性に手を出すと面倒な事になる場合も多いように思う。注意が必要である。

衝動的な事をしたくなる気持ちを深呼吸で落ち着かせ、長期戦を覚悟して、ゆっくり動く方が良いように思う。タイタニック号が衝突しました、やばいどうしよう、と言う気分になるのは分かるが、衝動的に冷たい海原に飛び込んでも大概はあまり良い事にはならないように思う。深呼吸してじっくりと乗り移る次の船を探す必要がある。

*無理しない。

上記の通りで心身弱っている時期なので、無理をしない、仕事のペースを落とす、目覚ましい成果を狙わずに今の持ち場、既存の事柄を流しで良いので粛々とやる、日常業務を回しつつやり過ごせれば良し、位にするのが経験的に良いと感じている。

*長期戦の覚悟と共に可能な範囲で中年以降の新しいテーマを模索する。

一方で、ただ既存の事柄を流しでやるだけでも中年の危機を打開するのは難しい。仕事面、私生活面等で諸々問題が出ているから中年の危機になっているのである。

中年の危機と言うのは、「若い頃には熱意も持ててしっくり来ていた過去のテーマが、外部環境の変化、本人の加齢による状況や心境変化等により、齟齬/ギャップが発生し累積したものが遂に顕在化した状況」であると考えている。長い年月を重ねるうちに累積して来たものが発現している訳で、これを衝動的に短期決戦で片付けようとしても上手く行かないように思う。長期戦の覚悟がまずは必要だと経験的に感じている。

兆候の時期の飽きや退屈と言うのは「そろそろ今まで取り組んできた事、テーマと言うのは終わりが近づいていますよ、テーマ替えの時期が近づいていますよ」と言うサインのように思う。発症段階に入り本格的に仕事や私生活が上手く行かなくなるのは、テーマ替えの時期が本格的に来たと言う事である。

出来れば「兆候」位の時期から、会社の外でボランティアや趣味等を通じて次のテーマを探し始める、新たな知人を持つようにする等して視野を広げながら中年以降の次の人生テーマ、仕事のテーマ等を探索し始める事をお勧めする。また、過去の自身のキャリアや私生活等を棚卸しする事をお勧めする。こうした活動を、長期的な視点で、無理のない形で匍匐前進で少しづつ進める。これが中年の危機の対処法となる。

より具体的な話、実際にどのような形で過去の棚卸しや中年以降の次の人生テーマ探しをすれば良いかについては以下の「その2」も参照頂けると幸いである。



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