紙クーポンは辛いよ
はじめに
前回、GoToキャンペーンの電子クーポンの課題について、お話しましたが、今回は紙クーポンの課題というか、宿泊施設目線での運用の辛さについてお話したいと思います。
9/21(月) 時点の情報ですので、この後、更新される可能性はあります。最新情報については、GoToトラベルの事務局サイトをご参照ください。
発行されるのは紙クーポン、電子クーポン
地域共通クーポンですが、紙クーポンを配布されるのか電子クーポンを配布されるのかは予約元によって変わります。地域共通クーポンの概要には以下のように記載されています。
基本方針としては、以下のようです。
1) 予約元(店頭、WEBなど)が発行して渡す。
2) WEB販売だと、直接渡す方法がないため、紙で渡すか、電子で渡すかする。
3) 宿泊施設の予約の場合は、施設で紙クーポンを渡す。(厳密には、施設でも電子クーポンはできるのですが、対応しているところは知りません。)
これを見ても、結局、紙クーポンなのか、電子クーポンなのか分からない人も多いはずです。そのため、予約元に確認しましょう。
WEB販売(OTA)で購入する方が多いと思いますが、今のところ以下の情報が流れています。
楽天、じゃらん → 紙クーポン
その他(一休、Yahooトラベル、るるぶネットなど) → 電子クーポン
旅行会社は、店頭販売は紙クーポンですが、店頭以外だと電子クーポンにするか、頑張って紙クーポンを渡す運用を考えてくれているそうです。
電子クーポンの受け取り方については、前回の記事をご確認ください。
紙クーポンの受け取り方
紙クーポンの受け取り方にも種類があります。
旅行会社で店頭購入した場合
予約時に受領、もしくは、後から郵送されるので、忘れずにご持参ください。宿泊施設で受領していないことが分かっても、手遅れです。
じゃらん、楽天で購入した場合(WEB販売でQRコードの提示がある場合)
予約確認画面で受取用のQRコードが表示されていると思うので、チェックイン時にフロントでお渡しください。QRコードを忘れても救済措置は取れますが、チェックインにかなりの時間がかかります。
QRコードを提示すると、専用アプリで提示されたQRコードと、紙のQRコードを読み取り、登録処理を行います。
その他(事前にQRの提示がない場合)
ほとんどの宿泊施設では、事前に準備していると思いますが、QRコードを受け取っていない場合、チェックイン時にご確認ください。宿泊施設の販売でも、QRコードを事前にお渡しする場合があります。
紙クーポンの受け取り方について一通り説明しましたが、紙クーポンの辛い点を説明します。
課題1. 紙クーポンの配布は手間がとにかく大きい
紙クーポンが発行される場合、宿泊施設の負担は大きいです。
一番楽なのが、QRコードの提示により、アプリを利用する方法ですが、この場合でも、アプリの登録の他に、紙クーポン1枚1枚に利用可能な都道府県のシールと、日付のシールを1枚ずつ貼らないといけない状況です。
実測はしていませんが、慣れた人でも1枚10秒くらいはかかる計算です。
大型施設で、1日に5,000枚クーポンを発行した場合には、
5,000(枚) × 10(秒/枚) = 50,000(秒) ≒ 14(時間) の時間がとられます。チェックインで処理しきれない時間になっています。
さらに、QRコードに対応していない予約サイトからの予約だと、全ての予約に対して、紙クーポンの番号と予約番号を控えて保存しておき、報告時に記入しないといけません。
報告の対応も含めると、1枚30秒くらいの時間が必要になるのではないでしょうか?考えただけでも、ぞっとする数字です。
課題2. 発行方法の熟知が必要である
今回の混乱を考えると、おそらく、地域共通クーポンの受け取り方が分からないまま、宿泊施設に問い合わせがそれなりに出てくるものと思われます。
そのため、宿泊施設側では、予約の内容を確認し、適切に処理する必要があります。
紙クーポン(旅行会社で渡す)、紙クーポン(宿泊施設で渡す)、電子クーポンの3パターンを適切に回答する必要があります。
まだ、自分の宿泊施設で手配する旅行会社がどの発行方式をとるのか不明な場合は、早めに確認しましょう。
課題3. 発行枚数が予約によって違うため、配布ミスがある
今回の地域共通クーポンは、予約の金額や人数によって配布するクーポンの数が変わります。慣れた業務ならまだ、ミスも少ないのですが、宿泊施設全体で現地で枚数の異なるクーポンを配ることはめったにないため、数え間違いなどは確実に発生しそうです。特に問題なのが、チェックイン時に予約の内容と宿泊の内容が異なっているケースです。場合によっては、その場で計算しないといけないため、発行枚数の算出方法を理解していないと、確実に間違えます。たとえ、QRコードによるオペレーションを組んだとしても、対応できないケースが必ず出てきます。
そして、報告の義務があるため、それらを全て完璧に対応することが求められていますが、現実的には厳しいと思います。
最後に
本来、このような地域共通クーポンの発行の事務処理や責任は事務局にあるはずなのですが、チェックインまで確定しないという都合上、旅行会社、宿泊施設の仕事になってしまいました。
ただでさえ、初めての取り組みであるにも関わらず、慣れない業務、イレギュラーな対応などで混乱することが予想されます。
不正のリスクという観点では電子クーポンよりもよっぽど安全ですが、もう少し、簡単な仕組みにはならなかったのでしょうかね。どの宿泊施設も辛いと思いますが、頑張りましょう。