マガジンのカバー画像

SF的映画レビュー

116
ネタバレだらけの散文のようなレビューです。 旧作から新作、往年の名作から変なサメ映画までいろいろレビューしていきます。
運営しているクリエイター

記事一覧

世界の命運は健康診断から【 007 サンダーボール作戦 】(1965)

運がないぜスペクターゆすりたかりの名手である犯罪組織スペクターの今回のお題目は核爆弾。爆撃機のパイロットと同じ顔の奴まで用意して準備万全、これでNATOを強請って大金ゲットだぜ! だけど同じ病院にたまたま健診に来ていたボンドがいて、手がかりを残してしまったのが運の尽き。本当にたまたまなんだよなぁ…。 そして今回のアバンタイトルのアクションは女装男との激しいバトルに有名なジェットパックに用意周到なボンドカーと少年心をくすぐるガジェット盛りだくさん。もう大満足。 そしてこれでも

007一本目は地道な捜査【007 ドクター・ノオ】(1962)

ジャマイカの諜報員仲間が殺された!動機は!?犯人は!?調べてみた!そんなノリの記念すべきシリーズ1作目。こりゃ悠々自適にバカラで美人を引っ掛けている場合ではありませんな。もちろんボンド役はショーン・コネリー。この時御歳32歳。...32歳!? オープニングシークエンスのグラフィカルっぷりは今見てもクールですね。 舞台となる南国ジャマイカの南国感は大変素晴らしいけれど、そこでやる事は聞き込み。とにかく聞き込み。誰かに変装とかではなく刑事ばりに関係者を捜査するボンドが新鮮。空港

ジョージの愛と運命【 女王陛下の007 】(1969)

たった一度だけのボンド映画たった一度だけジェームズ・ボンドを演じたジョージ・レーゼンビーはボンドの中でも笑顔が甘い。若さもあるし、さわやかなボンドだ。 そんなボンドに用意されたのは本当の恋。 1人の女性との甘い時間をあんなに長く使うなんて他の007には無い。他のボンドはいつだってどこかドライだ。しかし彼のボンドにそれはない。 本作には他にもボンドを誘惑する女性は登場するが、お決まりの決め台詞を使い回すあたりでお仕事感がわかりやすく出ている。 それに比べてトレーシーとのあんま

楽しく面白い幸せな007 【 007 私を愛したスパイ 】(1977)

ムーアボンドはとにかくユル楽しいジェームズ・ボンド役者の中でもロジャー・ムーアはとりわけユルい。肉弾戦はユルいし、表情も常にユルい。女性が絡むとさらにユルい。だけどそのユルさからくる軽やかさと、紳士な佇まい、その余裕さがたまらなく頼りになるし、楽しい。ムーアボンドはカッコいいというより楽しく面白いボンドなんだ。 そんなユルい第10作目にしてムーアボンド3本目、あのスカラマンガとの死闘(?)のお次は超娯楽大作。超巨大なセット、美しいヒロイン、大量のエキストラ、見るだけで楽しい

ボンドとオタクとヤバい女【 007 ゴールデンアイ】(1995)

完璧ボンド登場!ゴールデンアイ。あのニンテンドウ64のゲーム「ゴールデンアイ 007」でも有名なブロスナンボンド1作目はかなり力の入った作品。 時は90年代、ソ連の崩壊にMの交代と様々な事柄が変わり、更に今回は悪の親玉が元00エージェントと大奮発。ピアース・ブロスナンが演じるボンドはやはり完璧で軽いジョークと甘いマスクでクールに仕事をこなして行くのでカッコいい。もう立ってるだけで様になるんだからズルいよね! 存在感がデカすぎるぜオナトップ!更にボンドガールの二人の活躍も大き

ボンドとトルコと秘密のトランク【 007 ロシアより愛をこめて 】(1963)

いや、罠でしょ。罠だろ。罠だよね。わかっていても飛び込むしかないのが007。 第二弾の舞台はトルコ・イスタンブール。冷戦まっただ中の所に火に油を注ぐ不敬な輩スペクターの魔の手が迫る。 見所はやはりトルコの異国感で絨毯ショップに踊り子やキャットファイトと観光気分もさることながら、やはりQのスパイアイテムに尽きます。小学生の無駄機能たっぷりの多機能筆箱の如く、次々とトランクから飛び出すスパイ道具の数々はやっぱり楽しい。金貨に銃弾、組み立て式のライフルはワクワクしますし、ロマン溢

極上のサイバーパンク活劇【 スーパーマリオ 魔界帝国の女神 】(1993)

アニメ映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」に乗じてこんな記事を載せるのもアレだけど書いておきたい。この実写マリオが素晴らしいということを…。ちなみにアニメ映画のおかげで本作も売れているようですね。恥ずかしながら僕も品切れが怖くて急いで買いました。 出会いは「困惑」小学生の頃、当時親に「マリオの映画を録画しておいたぞ!」と言われてワクワクして当時テレビ放送でVHSに録画された本作を見たことを覚えている。しかし当時観た時の記憶は困惑しかなかった。 どう見ても舞台はゲー

原作を超えてくるか【 岸辺露伴 ルーヴルへ行く 】(2023)

ついに映画化岸辺露伴は動かない。ジョジョの奇妙な冒険のキャラクター岸辺露伴のスピンオフ漫画が愛ある人々の手によって実写ドラマ化されて、なんだかんだ毎年の年末NHKドラマの名物と化している。正直世間では承太郎やDIOより岸辺露伴の方が有名なんじゃあないか? そんなシリーズもついにフランスのルーヴル美術館を舞台にした本作までを取り上げ、さらに劇場映画にしてしまった。ここまできたのはマジで凄い。そして見た目ではなく雰囲気で岸辺露伴を再現してしまった高橋一生は素晴らしい。 当時僕も

これがマリオだ!【 ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー 】(2023)

マリオは他とは違った僕の初めて遊んだゲームはスーパーファミコンのスーパーマリオコレクション(とアラジン)だったなという事を思い出す。 アニメ映画にはいろんなキャラクターが出てきたが、やはりマリオというのは僕にとっては特別だ。彼らはミッキーマウスやドラえもんのような画面の向こうにいる手の届かないキャラクターとは違う、自分の技術とマリオの持ち前の能力でピーチ姫を救うために一緒に頑張れるキャラクターだ。コントローラーで操作出来るマリオは自分の分身でもあるのだ。 そんなマリオがつい

僕たちが遊べるまでの物語【 テトリス 】(2023)

究極のゲーム「テトリス」テトリス。それは気づいた頃には当たり前のように遊んでいたオチものパズルゲームの元祖にして頂点。84年に生まれ現在でも多種多様なハードで多くの人に遊ばれている。 落ちるスピードが上がるあのスリル、うまくハマった時のあの気持ちよさ、そして縦棒で4列を一気に消した時の快感、根源的な楽しさが詰まった最高のゲームだ。 配信元は…あそこ!?そんなテトリスの映画が登場した。 しかも配信元はApple TV+。あのオリジナル作品オンリーの知らない映画と知らない番組だ

ウエルカム北朝鮮!【 工作 黒金星と呼ばれた男 】(2018)

極限の緊張感を味わえ[注意:本文はネタバレを含みます] 南北の諜報戦にはそこそこ期待しましたが、僕の想像を超えるの展開の連続と極上の緊張感でガンガン進む驚きの一本でした。 重々しくヒリヒリした雰囲気の中続くスパイ劇は、スリリングというより一つのミスでどんな恐ろしい事が待ってるかわからない極限の緊張感でこちらも息が詰まりそうで、スパイと高官の一挙手一投足で静かに行われる究極のお互いの腹の探り合いがとにかく怖い。おかげでこっちもずっと目が離せない。 主人公の巧みな交渉術とスパイ

強制二丁拳銃デスゲーム!【 ガンズ・アキンボ 】(2019)

[注意:本文はネタバレを含みます] まるで漫画の様な設定の一本。演じるは我らがダニエル・ラドクリフ。狙われるは必殺無双の殺し屋ギャル・ニックス!雰囲気はどこまでも軽く、エグく、下品でネオンカラーが眩しく楽しく見せてくれる。 それにどんなエグくてマズい状況だってノリノリな音楽さえあればミュージックビデオとそう変わらない!!! こんな無茶でアホなシチュエーションが面白くないわけがない。 ただこの人ただのオタクだよ? そんなわけで固定二丁拳銃のイカす設定は作ったものの、両手が塞

こっちも30年ぶり【 チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ 】(2022)

「チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ」かつて89年あたりに放送されていた、「わんぱくダック夢冒険」や「パパはグーフィ」と同じディズニーキャラクターを使ったテレビシリーズである。当時小さかった僕もとことんディズニー漬けにされていたのでVHS見ていたし知っている。彼の国ではガジェットというネズミの女の子せいで幾多の連中の性癖が歪まされたのも知っている。 そして時は過ぎ、そんなアニメがあった事さえ朧げな記憶になっていた頃、突如今年の5月、何故か新作の映画としてDisn

最高の映画体験 【 トップガン マーヴェリック 】 (2022)

[注意:本文はネタバレを含みます] 時は過ぎた。相変わらずアイツは無茶ばかりしている。そんな時やって来た旧友から与えられた最後のチャンス。それは相棒の息子とやり直す機会。 もう予告を見た瞬間「絶対IMAXで観るしかねぇ!」と確信する。もう話なんてどうでもいい!これは映像を観るためだけの映画!これはアトラクションなんだ!!!まぁトップガンは見ているけど、実は全く覚えていない確か相棒が死んでた。そんだけだ。そんな印象でお話には一切期待していなかったんだ。 そして改めてトップ