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【ハイコ】何故ハイコは魔法を使わなかったか

作中でハイコは一度も魔法を使っていません。
勉強さえすれば誰でも扱える世界で、魔法に詳しいとも言えるハイコがどうして魔術を使わなかったか…
それは…使えなかったからです。

実は「服従魔法殺人事件」の冒頭、ノアが跳ね豆をハイコに飛ばしているシーンが伏線になっています。

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ささやかな描写過ぎますが、跳ね豆がハイコに当たったものの、弾けていない事に気づいた方はおられるでしょうか?
作中には全く書いていませんが、実はこの跳ね豆というのは生物の魔力に反応し、弾けることで種子を遠くに飛ばす植物、という設定がありました。
しかしハイコに当たっても全く反応せず、そのまま落ちただけ…
つまり、ハイコはほぼ全くと言っていいほど、魔力を持っていなかったのでした。

何故魔力を持っていないか?

この漫画の世界の生物ならみな、多かれ少なかれ魔力を持っているはずです。
ハイコだけが何故、魔力(オド)を持っていないのか…
ハイコに魔力がないのは生まれつきのことでした。
原因を作ったのは、ハイコの父、ホルガー・スモッグスです。
彼は子供にも自分同様屈強な戦士になる事を望んでいましたが、第一子として生まれたのは身体が弱く、性格も戦闘に向かないテオでした。
これを気に入らなかったホルガーは、次の子供こそはと、生まれてくる前のハイコに期待をかけます。
そして、どうやって見つけてきたのか、怪しげな呪術師にその協力を求めます。
呪術師はツィツィリエと、そのお腹の中にいるハイコに、ホルガーの望み通りになるように「呪い」をかけます。
その望みとは「生まれてくる子供が、頑強な肉体を手に入れる代わりに、死ぬまで魔術を使えないようにして欲しい」という歪んだものでした。
そして、その呪いを受けたハイコは、ホルガーの求める以上の剣の才能を持って生まれることになったのです。
ちなみに、ハイコの母ツィツィリエが早逝したのも、この呪いが身体に大きな負担を及ぼしたからでした。

ラストの展望…

話が急に飛びます。
ハイコの旅の目的はテオを追うことでしたが、作品が長く続けられたらラスボスはテオでなく、もっと凶悪な人物…人じゃないかもしれません、そんな存在にするつもりでした。
ラストの戦いではハイコ自身が魔法を使わなければどうしても勝てない、という展開もあったかもしれません。しかしハイコは当然呪いのせいで「死ぬまで」魔法が使えません。
…「死ぬまで」という言い回しをしたのには理由があります。
この作品には、推理ものの根幹を覆す「死を超越出来る」キャラクターが存在します。
そう、テオです。
ラスボスに一度は殺されてしまったハイコですが、テオは自分を犠牲にしてハイコを蘇らせます。
そして、一度死を経験したハイコには「死ぬまで魔法が使えない」という呪いは適用されなくなります。(屁理屈っぽいですが!)
満を持してハイコは魔法を使えるようになり、ノアと協力して見事ラスボスを倒す!

そんな最後をぼんやりと構想していたのでした…
和解させてあげれないまま終わってしまい、ハイコとテオに申し訳ない…

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