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【懲役339年】頂いた質問①

ありがたいことに、過去作についても質問をいくつか頂いたので答えていこうと思います。「懲役339年」のネタバレを大いに含みます。一応。

(裏サンデーのキャラ人気投票イラストについて)
5代目ハロー、6代目ハロー、オレンジマンそれぞれに添えてある花の名前を教えてください。

懐かしい企画!これの事ですね。

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5代目ハローの後ろにある花は「トリカブト」です。
本当は紫色の花なのですが、「ハロー」のカラーリングに合わせて色を変えています。
花言葉は「復讐」「美しい輝き」などです。

6代目ハローのそばにある花は「スズラン」ですね。
花言葉は「純粋」「再び幸せが訪れる」などです。

そしてオレンジマンが差し出しているのは「ユリ」です。
ユリは色によって花言葉が変わるようで、
黄色いユリの花言葉は「陽気」「偽り」です。
このオレンジマンのイラストを描く時、参考にするために本物のユリを買ったのですが、部屋の中がすごく臭くなったのを覚えています。ユリってあんなに強い匂いの花なんですね…

こんな感じで、一応キャラクターのイメージにあった花を選んでいたのでした。
ちなみに、最終話、現代のシーンで登場するこのお嬢さん…

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作中には出ていませんが、リコリスという名前です。
リコリスというのも花の名前で、単行本四巻の裏表紙に描いてある花がそれです。
花言葉は……
この辺、僕が言いすぎても野暮になるので、調べてみてください…!

5代目ハローはマッツのことをどう思ってたのか

「ハローはマッツに死んでほしくないと思っている」とディスコに看破されるほど、2人は仲良くなっていたようには見えなかった、ということでこの質問をいただきました。
確かに作中では、結局2人は友人同士という関係にはなれていなかったかもしれません。
ただ、四部の時点では5代目ハローは、特殊な生い立ちの中ディスコやセドなど凶悪な囚人たちに囲まれて育ったとはいえ、つまるところ至って普通の少年だったのだと僕は思っています。
そこに突然現れ、今まで信じていた価値観と真逆の話をするマッツという存在は良くも悪くもハローにとっては大きな刺激でした。
その上、マッツはハローの人殺しを止めています。ハローは自分では、人を殺すことに躊躇が生まれたのはマッツの言葉を聞いたからだと思っていますが、今まで大して悪いこともしていない普通の少年にとって、人殺しというものは元々大きな抵抗があって然るべきです。
なので、心の奥ではマッツが犯行を止めてくれた事に対して、ホッとした気持ちがあったのだと思います。
前世が嘘だという話も否定しきれず、自分のやりたくない事に対し「やらなくていい」と言ってくれたマッツ、ハローが彼に好意を抱いていたかどうかはわかりませんが、少なくとも、もっと会話を交わしたいとは思っていたのではないでしょうか。

ディスコにとって5代目ハローは偶像崇拝の対象でしかなかったのか

上の質問にも関連する質問です。
そもそもディスコは異常者なので、精神的にさまざまな矛盾を抱えています。
凶悪犯罪者なのに信仰心が強いところはいい例ですが、5代目ハローに対して抱いている感情にもちぐはぐな部分がたくさんあります。
ディスコはハローの魂を特別な存在だと本気で信じていたのと同時に、ハローのこころが普通の少年に過ぎないことも理解していました。
だから作中で葛藤していたようなハローの心のうちも、大まかなところはディスコに見透かされていたのだと思います。
それで、前質問の「ハローならマッツに死んでほしくないと思うだろう」という考えが出てきたんですね。
僕らは自分より若い少年少女の悩んでいる様を見て、微笑ましく感じたり、同じ頃の未熟な自分と重ねてそら寒い気持ちになったりしてしまいますが、ディスコがハローに感じているのも基本的にはそれと同じようなものです。(ある程度の倒錯は入っていますが…)
ただ、そういう愛玩に近い感情と、ハローの事を本気で崇拝する気持ちを自分の中で矛盾なく完璧に両立させてしまっているのがディスコの異常なところです。
しかし…「懲役339年」のような国が本当にあったなら、似たような矛盾を抱えて生きる人間は決して少なくないと思います。
制度、信仰と感情の矛盾、それを自分では矛盾と気づかずに生きる人々、そういうものも第四部の一つのテーマだったのではないかな、と、ディスコの事を考えているうちに改めて思いました。

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