監督が誰であろうと関係ないー巨人の現状と展望

プロ野球のシーズンは3分の1が終わろうとしている。一時期首位をうかがう勢いだった巨人の勢いが落ち、貯金消滅と4位転落の危機らしいと聞く。原監督の信者で、今年の阿部巨人を冷めた目で見ている私はそのことに別に悲しくはないし、かといって嬉しくもない。
しかしそうなると人はファンは戦犯探しを行い、もっぱら監督が集中砲火を浴びる。ネットでは阿部監督叩きと、その擁護のために原監督よりはマシ!という罵り合いが起きているようで、それは悲しく思う。

必要なのはまずは視点を変えることであり、お気持ち表明が誰かしらに届いて、その人の気持ちが監督叩きから変わることを期待したい。
まず現状を生んでいる理由と、そこからわかる今後の展望、そして最悪の未来とそれを避けるためにはを考えていく。

1.監督の能力


今年の巨人はハッキリしていて、投高打低、最低レベルだった守りは良くなったが、逆にリーグNo.1だった打線は取れて2点の貧打線になった。
これを監督の違いだという声は多く、中には「守備は阿部監督のままで、攻撃は原前監督がやってほしい」というジョークも見られた。
ただし、別に原監督なら打撃力が上がって阿部監督なら投手力が上がるなんてゲームみたいなことがあるわけではない。
監督にも好みがあり、当然使う選手や戦術はは当然変わるし、指導の合う合わないもある。しかしそれだけでこれだけチームが180度変わるかというともちろんそんなことはない。
ではなぜチームがこんなにも変わったかというと、こちらの以前書いた野球関連のNOTEでも書いたが、それは選手層だ。

2.オフの補強を振り返る

昨年監督交代のあった巨人はウォーカーを放出してソフトバンクから高橋礼と泉を獲得し、金銭でオリックスから近藤を獲得。
またファースト岡本、サード坂本、ショート門脇という構想からファーストの中島と中田、安定感に欠けるブリンソンをリリースした。ドラフトでは競合1位で中央大学の西舘を獲得。支配下は大学社会人のみの投手3、野手2のドラフトになった。現役ドラフトでは内野手の北村を出して、投手馬場を獲得。大砲としてオドーアを獲得するもオープン戦終了時に電撃退団した。

さぁこう書くと分かると思うが、巨人はオフに明確な弱点だった投手を補強して、充実していた野手は中堅~ベテランを放出した。
そうしたら無事に180度チームが変わったというわけだ。まさに編成の狙いどおり。

3、チームの展望

オフの補強によってチームが変わったなら今チームの問題も補強によって解決できるかというと、それは無理だ。
まず支配下枠がない。期待の若手である京本と中田をオープン戦後に支配下にして、阿部監督の教え子ウレーニャや立岡をいれた。オドーアの代わりに慌てて途中で外国人野手をとった。私は賛成していたが、筒香獲得も失敗した。トレードしようにも投高打低は他チームも同じで打てる選手を他所に出すチームなぞなく、補強においてはシーズン途中で有効な手はない。

ではチームに良くなる兆しはあるかというと、それもあるわけではない。
故障した○○が復帰するということもなく、夏場の暑さに投手が崩れ、少しは巨人の打者が打てるようになるかといえば、それは他所のチームも同じであり、巨人は強みの投手力が苦戦することになる。プラマイゼロだ。

DeNAからメジャーで記録的な投球を続けるエース今永、外国人エースバウアーが抜けたため繰り上がりで3位にはなれたとしても、優勝出来る戦力ではない。

4.最悪の未来とその回避法

文章に出てるかもしれないが、私は原監督の頃から巨人のフロントに不信感を抱いている。
育成と発掘などといってチームに必要な補強をせず、結果として将来への投資であるはずのドラフト戦略もおかしなことになっている。

最悪の未来とは由伸巨人1年目のオフに他ならない。
2016年原監督から高橋由伸監督になった巨人は若手を打ち出すも折り返し地点で最下位、ベテランの力に頼りなんとか2位になるも無理矢理引退させた由伸を勝たせられないことに焦り、30億円大補強と言われた補強を行う。しかし狙っていた西武岸やオリックス糸井には振られたため、第二候補でハム陽岱鋼、ベイス山口、ホークス森福を獲得。見切りをつけた若手を放出して日本ハムからかつてのエース吉川光夫と石川慎吾を獲得した。ドラフトも上位を即戦力投手で揃えた。

その結果は調べてもらえば良いが、新戦力は働かず、交流戦ごろに球団最悪の連敗で最下位を走り、GMは責任を取って解雇。放出した若手は新天地で大活躍をした。
その2017のショックがあまりに大きかったのか、2018はフロントもやる気を無くした消化試合のようなシーズンとなり、巨人のために現役を諦めた由伸監督は契約年数を残しながら辞任という形で解任された。
岡本が最後の3年目に出てきたことで美化されているが、それが由伸巨人の実態だ。

阿部巨人がこのまま低空飛行を続ければ責任は野手をきちんと補強しなかったフロントにも及び、オフには今度は慌てて野手を補強するのだろう。
歴史が繰り返されるのであれば、原監督時代から成績を落としている大城、秋広あたりが放出され、後には何も残らない。その後に第4次原政権に期待するのは流石に酷だ。

そのためにも今度はファンが監督の采配の責任とせず、叩く相手としてはそれらの指示を出していた親会社の読売新聞であり、山口オーナーだろう。
現場に口を出したいがために適当な巨人OBを編成部長として、耳障りの良い、やりたいことを押し付けるのではなく、GMとして正しい人材を全ての権限と責任を任せるべきだろう。
巨人が正しい道を選ぶことを願っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?