⭐️⭐️一から学ぶ「本野式筋膜連鎖トレーニングXYⅡZ」⭐️⭐️① 「筋膜連鎖って何?」
人は皆、地面に立っている時には足の裏にある「土踏まず」に重心位置を取り、その上に体重を乗せて立っている。
ところが、いざその立位状態から一歩踏み出す時や走り出そうとする時、更にはジャンプをするために一旦「溜め」を作る動作時など、体重心を移動させて「行動」を起こそうとした時には、何故か体重を乗せる位置が人によりバラバラになります。
つまり、ある人は踵側に体重を乗せ、また別の人は母指球がある「足裏丘部分」に体重をかけて全身で動き出そうとする。
そしてそこから更に、踵の内側に体重がかかる人もいれば、踵の外側、母指球、そして同ライン上の薬指下あたりに全体重をかけて行動をスタートさせたがる人がいるのです。
この「個人差」については、廣戸道場御中の廣戸聡一先生が出版されていらっしゃる数々の書籍などから「4スタンス理論」を学ばれることにより、より多くの知見を得ることができます。
しかし、私が更にそこから追求したかったのは、「それは何故なのか?何を原因として結果となる「個人別重心移動」をはじめとする、様々なトレーニングフォームや所作が発生するのか?」という、その「理屈」そして「根本」の部分。
更には1900年台にケンダル博士が提唱された「4つの姿勢分類(フラットバック・カイホロードシス・ロードシス・スエイバックの4つ)」についても疑問が残ります。
この分類方法は基本的に運動や施術などによって「ノーマル」と呼ばれる五番目の分類種へと「矯正をした方が良いと考えられている姿勢」です。
しかしここで注目すべきことは、何故、約70億人もいる人口を「矯正すべき姿勢」によって分類した場合に、70億通りではなくたった4分類しかないのか?
そう考えた場合、もしかするとこれは「矯正すべき姿勢」なのではなくて、元々本来「こういった姿勢がノーマルである」という人類が地球上に4種類いるだけの話なのではないのか。
言い換えると、「姿勢には4種4様の個人差」が存在するのではないのか・・・・
皆様、こんにちは、いかがお過ごしでしょうか☺️
この原稿を執筆中の令和5年5月は季節の変わり目ということもあり、日々及び日中の寒暖差が激しく、体調を崩されていらっしゃる方も多い様子ですので、皆様には体調管理に気をつけながら、元気にお仕事やトレーニングに励んで頂けたらと願っております。
さて今回は私が提唱させて頂いております「本野式」に於ける2つの基幹理論となる「本野式筋肥大理論」&「本野式筋膜連鎖トレーニングXYⅡZ」の内、後者の「本野式筋膜連鎖トレーニングXYⅡZ」に照準を合わせて、数回に渡り連載形式にて皆様に親しんで&楽しんで頂こうという趣旨による内容とさせて頂きました。
そして第一回目の今回は、別称「タイプ別トレーニング」と呼ばれるこの「本野式筋膜連鎖トレーニングXYⅡZ」とは一体どの様な物なのかという点いついて、できるだけわかりやすく解説をさせて頂きたいと考えております。
尚、初回の今回は導入編ということもあり、最後まで「無料記事」として公開をさせて頂きますので、お時間及び「本野式筋膜連鎖理論」にご興味のある方は、是非最後までお読み頂けたらと思います。
それでは早速参りマッスル💪
先ず、「筋膜連鎖」の前に、その根本を作り出す「筋膜」について簡単に解説をさせて下さい。
「筋膜」とはその名の通りに、筋肉や筋細胞を包んでいる5種類=5層による「膜」の呼称なのですが、これをミクロからマクロへと順に並べますと
「筋内膜」「筋周膜」「筋外膜」「深筋膜」「浅筋膜」となります。
この内、最初の3者はそれぞれ「筋細胞を包んでいる膜」「筋細胞の集合体である筋束を包む膜」、そして「筋束が集まって形成されている筋肉(大胸筋や上腕二頭筋など)を覆っている膜」ということになり、上記3者は「筋膜連鎖」を「運動を伴う筋肉の連動=筋膜連鎖」として考えた場合、存在がマイクロ的な物となってしまい、あまり直接的に「運動」とはつながってはいないと私は考えておりますので、「本野式筋膜連鎖」としてはそれほど重要視をしていないパーツとなります。
それに対して、後者2つの「深筋膜」と「浅筋膜」は、直接的に「運動」へと関与をする「筋膜」と私は考えておりますので、「本野式筋膜連鎖トレーニングXYⅡZ」とは、この2者を活用した物であるとご認識頂けると良いかと思います。
それでは先ず「筋膜連鎖」という語彙についてですが、今では「筋膜連鎖ストレッチ」や「筋膜連鎖コンディショニング」など、巷でもこの語彙について見聞きされるケースが増えてきたと思いますが、今から約15年前の頃はこの様な言葉は、少なくとも「トレーニング業界」に於いてはまだ存在しておらず、私が勝手に造った「造語」の一つでした。
当時は「筋膜連鎖なんてあり得ない」など、SNS上にて罵詈雑言を浴びせられる日々でしたが、今では多くの方がおそらく同じ発想の元に同語彙をご自身で考え、そして使用される時代となりましたので、やっと市民権を得ることができたかなと嬉しく思っております(笑)
では、この「筋膜連鎖」とは一体どういうことかと申しますと、他の方々がどの様な意味合い、更には何をソースとして使用しているのかまでは厳密には分かりませんが、私は「医学書院」様から発刊されております「アナトミー・トレイン」という書籍の中にある「筋膜によってつながる筋肉のライン」をベースとして考え、それを「筋膜連鎖」と呼ばせて頂いております。
それでは同書内にあります「筋膜によってつながる筋肉のライン」とはどう言ったものなのかということを簡単に説明致しますと、例えば「広背筋下部」と「大臀筋」はそれぞれ個別で動く=収縮&伸展をするのではなく、両者が繋がった状態にて連動して動く=収縮&伸展をする、つまり「広背筋下部と大臀筋は一つのラインとして連動しながら稼働をする」という考え方が私の考える「筋膜連鎖」です。
そしてこの「ライン」を大きく分けると10ラインあり、それを更に細かく分類することにより14種類の「筋膜連鎖」を生む事となります。
それらの「筋膜によるライン」を紹介させて頂くと
①ディープ・フロントライン(DFL)
②ラテラル・ライン(LL)
③スパイラルライン(SPL)(本野式では2種に分類)
④スーパーフィシャル・フロントライン(SFL)
⑤スーパーフィシャル・バックライン(SBL)
⑥ファンクショナル・ライン(FL)(本野式では4種に分類)
⑦ディープ・バック・アームライン(DBAL)
⑧ディープ・フロント・アームライン(DFAL)
⑨スーパーフィシャル・バック・アームライン(SFBL)
⑩スーパーフィシャル・フロント・アームライン(SFFL)
となります。
そして私はこの10種14様の筋膜連鎖ラインを、それぞれ
①②③=地面に立つための身体深部ライン
④⑤=行動や動作を行う上でその人の基軸となる身体浅部ライン
⑥上半身と下半身を連動さえて行動をするためのライン
⑦⑧⑨⑩上半身の動きを司るライン。
と、分けて考える事にしました。
そして更に、③のスパイラルラインは2つに、⑥のファンクショナルラインを4つに分ける事で、何故、人は4つのタイプに分類できるのかという謎が全て解き明かす事が可能となったのです。
地面に立つために①のディープ・フロント・ラインを使うタイプは、その始点が「足裏踵内側」から始まっています。ということはつまり、「踵の内側」に重心を置いて行動をする事が脳や身体ににとって、無理がなく心地良い動作となるのではないかと推測できます。
次に②のラテラルラインを使って地面に立つタイプは、その始点が「土踏まず前方(中足骨)」の薬指下付近に位置しています。ということは、「土踏まず前方(中足骨)」の薬指下あたりに体重を乗せて行動をすると無理なく動作ができるという事になります。
最後は③のスパイラルラインを使用して地面に立つタイプですが、実は同ラインは足裏にて「踵外側から母指球下(土踏まず)にラインが抜ける」といった構造となっておりますので、「踵外側」に自分の重心を置くと安心できるタイプと「母指球下の土踏まず近辺」に体重を乗せると動きやすいタイプに分ける事ができます。
先に、スパイラルラインは2つに分けられると言った理由がこれです。
尚、余談と言いますか、とても大切なティップとして、「踵外側」に重心を乗せるタイプは身体正面と背面にあるクロスラインが鳩尾(みぞおち)の高さにて交差するのに対し、「母指球下の土踏まず近辺」タイプのクロスラインはお臍(へそ)の高さにて交差をします。
更にこれらの「地面に立つために使用する」ラインについて深く掘り下げて考えて行きますと、
①を使うタイプは身体中心に軸が出来ますので「中心軸=一軸」となり、動作自体はその「中心軸=一軸」を活用したニ軸動作となります。
では、②はどうでしょう。②は身体両サイドに同じ形状のラインが並んでおりますので、完全なるニ軸体であり、バスケットボール競技での「ピボット動作」的な動きを得意とします。
そして、③のタイプは、身体正面及び同背面を通るクロスラインを使って軸を作りますので、逆サイドの下肢と上肢を使う事により身体に「回転」をかけながら、まさしく「クロス動作」にて行動や動作をする事になります。
ということは、「軸取り」が非常に大事な野球や柔道などの「スポーツ競技」はもとより、ボディビルやフィジークなど「フィギュア系競技」に於いても、日常のトレーニングはもちろんのこと、大会時に重要となるポージングの取り方にもタイプ別にてそれぞれ大きな違いが出るというになります。
特に男子ボディビルや女子フィジーク、男子クラシックフィジークなどのフリーポーズやメンズフィジーク、ビキニ、ボディフィットネスなどに於けるウォーク審査でのパフォーマンスでは、それぞれのタイプ別で発生する特徴をフルに活用する事が善策となるでしょう。
更にここから読めるヒントとして、例えばバーベルカールなどを行う際なども、中心軸の①タイプや、クロス軸でも体幹部上方(鳩尾)にて軸がクロスする方の③タイプなどは、身体の中心に近い軸にてバランスを取りたいですからバーベルは「短い」方がカール動作をしやすく、その逆に②タイプや③でもクロス軸が体幹部下方(お臍)に位置するタイプは、身体外側に重心を置いて大きく動作をした方が身体が喜びますので、使用するバーは「長い」ものを好みます。
などなど、トレーニング動作に於いてもポージング動作に於いても、それぞれ得手不得手、好き嫌いがタイプごとにありますので、それらを理解する事によりご自身のパフォーマンスを上げことや、クライアント様の怪我を防ぎ競技成績を上げる事にも役立てて頂けるのではないかと思います。
では、④と⑤に関してはどうかと言いますと、このラインは「基本的な行動を起こす際に活用するライン」となります。
つまり①〜③の身体深部にあるラインを使って地面に立ち、その上で今度は身体浅部に存在する④もしくは⑤の筋膜連鎖を使って行動を起こす、という事になります。
例えば④のスーパーフィシャル・フロント・ラインを活用するタイプは身体前面が発達しておりますので、四肢や体幹部に於ける筋群にて筋力を発揮しようとする際には、身体前面を縦に走る表層筋群が収縮をしようとします。
では、⑤スーパーフィシャル・バック・ラインが発達しているタイプはどうなのでしょう。実はこちらは先程とは逆に、筋力を発揮しようとする際には、身体後面を縦に走るラインが収縮しようとするのです。
わかりやすい例としてバーベルカール及びトライセプスプレスダウンの動作を参考にしてみましょう。
通常バーベルカールを行う際には、カール時に身体を屈曲させたり顎を引いたりする様に指導を受けるケースが多いと思います。実際にほぼ全てのトレーニング指南書でも「頚反射」は「顎引き」となることを推奨されていると思います。
そして、トライセプスプレスダウン動作時には、その逆で動作のフィニッシュ時に「上を向いて(顎を上げて)力を入れる」事を基本とされてますよね。
ところが、④が発達しているタイプはバーベルカール時だけではなく、トライセプスエクステンション動作であっても「身体を屈曲させて顎を引く」方が筋肉を稼働させ易く、⑤タイプはその逆でどの様なトレーニングであったとしても「上を向きながら(顎を上げながら)身体を後方へ反らせる様に力を入れる」と気持ちよく身体を動かす事ができます。
そして④タイプは身体の上下運動が得意であり、⑤タイプは身体の前後運動を得意とします。つまり、これらの情報を持つだけでも「腰や首を痛める」可能性が低下するのではないでしょうか。
更に⑥のファンクショナルラインに至っては、4つのタイプで四者四様のラインが存在します。
一つ目は、広背筋下部と逆サイドの大臀筋を繋げて筋力を発揮するAタイプ。
2つ目が、広背筋下部と同サイドの大臀筋との繋がりを活用するBタイプ。
3つ目は、広背筋上部と逆サイドの縫工筋を連鎖させて筋力を出すCタイプ。
ラストが、広背筋上部と同サイドの縫工筋の連動運動にて筋力を出すDタイプ。
となり、ここから考えられる一番の大きな違いは、各タイプがそれぞれ得意とするチンニング動作(懸垂)のフォームでしょう。
例えばAタイプの人は、足を身体後面にてクロスをさせて、仰け反るように身体を引き上げると楽にチンニングができます。
次にBタイプの人は、足をクロスさせずに身体後面に位置させて、垂直に身体を引き上げることを得意とします。
ではタイプCの人はどうかと言いますと、足を身体全面にてクロスをさせて顎を上げながら身体を引き上げると楽にチンニングができるようになります。周囲の人々には、あぐらをかいた状態にてチンニングをしているように見えます(笑)
最後にタイプDの方は、足を交差せずに膝を曲げた状態にてレッグレイズをしながらチンニングをするとライクに動作ができるようになります。
尚、グリップに関しましては、それぞれのタイプで違ってきますので、先ずは自分が行いやすいグリップにて動作をしてみることをお勧めします。
因みに上記の身体の使い方をする場合は、Aタイプはリバースグリップの逆手、Bタイプはオーバーハンドの正持ち、Cタイプは正持ちとパラレルの中間位置、Dタイプは狭めのパラレルグリップが行い易いでしょう。
更にこのファンクショナルラインの違いが、ダンベルサイドレイズやブルガリアンスクワットなどのフォームにも大きな影響を及ぼします。
最後に⑦〜⑩のアームラインについてですが、
⑦ディープ・バック・アームラインタイプは、動作を行う際に上腕三頭筋を活用するとバランス良く効果的&効率的に動く事ができ、
⑧のディープ・フロント・アームラインタイプは上腕二頭筋
⑨スーパーフィシャル・バック・アームラインタイプは僧帽筋とリアデルト
⑩のスーパーフィシャル・フロント・アームラインタイプは大胸筋とフロントデルトなど、
それぞれのタイプが得意とするラインの動きを意識的に取り入れる事により、トレーニングや日常での動作がとてもスムーズに行い易くなります。
ここまできますともうお気づきであるとは思いますが、本日紹介させて頂いた10ライン14種類の筋膜連鎖を
「地面に立つライン」から一つ、「基本動作ライン」からも一つ、「上半身と下半身の連動ライン」、「上半身の動作ライン」からもそれぞれ一つづつ選び出し、4つのラインを組み合わせて合成させたものが本野式筋膜連鎖タイプのXYⅡZとなり、それぞれが持つ4ラインを複合的に使用して行うトレーニングが本野式筋膜連鎖トレーニングXYⅡZなのです。
そして、自分のタイプに合った4ラインのルールに沿って動く事により、関節や筋肉にかかる余計な負担を減らす事ができるため、怪我の防止、現時点で動作中に痛くなる箇所の痛み軽減などにつながりますので、より長いスパンにて、より集中をしながら、トレーニングライフの多くの時間を楽しむ事ができる事になります。
やはり、怪我や痛みがあるとトレーニングに集中できなくなったり、休まなくてはいけない、場合によってはトレーニングそのものが嫌いになってしまうケースもあるでしょう。
皆様にはいつも楽しく、そして効果的なトレーニングを行なって頂きたいと願っておりますので、これからも本野式筋膜連鎖トレーニングXYⅡZを発信させて頂きたいと考えておりますので、よろしくお願い致します。
次回は、本日紹介させて頂いた10ライン14種の筋膜連鎖をいよいよタイプ別にて振り分けて、各タイプがそれぞれが得意とする4つのラインを集合体として使うと、一体どの様な動きになるのかについて、タイプ別にて具体的に解説をさせて頂きたいと思います。
それでは今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
また次回会いましょう!!
アスタラビスタ、ベイベ!!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?