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シャーマンキング名言集





シャーマンキングをバイブルにしている私による私のための抜粋。迷ったときはここを読みに来ること。巻数は旧単行本。


1巻



オイラはあつさと戦っているのだ
あつさから逃げるから苦しくなる
だからこうしてあつさに立ち向かえば楽しく生きられるのだ!!


2巻

しかし忘れてはならんのは人間も大いなる自然のサイクルからは抜け出せんという事じゃ
森が減れば木が減り空気が減る
土がなくなれば水は行き場を失いあふれかえる
この世の中のもんは全てこのように大きなサイクルの中でつながっている・・・
今の人間の行いが巡り巡ってこの地球にどんな作用を及ぼすか・・・最後のところは誰にもわからん
いくら文明が発達したとはいえ地球上の全てを把握する事など人間には出来んのじゃよ
・・・だからこそ人間にはこの地球に生きていくための”道標”が必要なんじゃ

ほう・・・全てを失ったか! ならば何故怒る?
全てを失うとは怒る心さえも失うという事
お前にはただ一つだけ奪われていないものがあるのではないか?
”導弾道を極めたい”という夢を持った心がな

武道を制するものは技術でも体力でも若さでもない
大事なのは己を殺す心
己を殺せばおのずと進むべき”道”が見えてくるはずじゃ


3巻

そいつをそのままあの世にやっちまったら
一体誰がそいつを救うんだ?
この世に救えねえ奴なんかいねえ
こいつは生きなきゃならないという責任を負うあまり
結局誰も信じることが出来なかっただけなんよ
こんなひねくれた奴どうやって救うっていうのよ
満たしてあげればいんだよ
満たす?
おお
トカゲロウの今まで満たされなかった気持ちをな

なんでこいつは・・・
オレのためにここまで出来るんだよォ・・・!!
クソッ・・・!
オレとした事がこの身体をブッ殺せねェとはどういうこった・・・!
・・・なんだよ・・・なんなんだよこの気持ちは・・・!!

憎しみは憎しみしか生まない
孤独なお前にとっての真の救いとは
他人を信じ他人に身をゆだねる事
だから葉殿はまずその身をもって・・・
お前を信じる事でお前の”信じる心”を呼びおこさせたのでござるよ


4巻

悩みがあるのか少年よ
それは『道』を見失ったという事
そんな時は心をカラにして星と大地の声に耳を傾ければいい──
さればお前は魂の進むべき道を見つけられるであろう

オイラは確かにいいかげんかもしれねえ
でも何が起こるかわかんねえ先の事におびえるよりも
今オイラにとって何が大事かって事の方がよっぽど重要な気がするんよ

知恵とは閃き無から有を生み出す力不可知を既知にする才能
それはつまりこの世に新たな可能性を見いだす光

あたしは「オレが世界を救う」なんて奴は信用しないし
「やってやるぜ」ってガツガツした熱血マンが大キライ
だってそんな奴らに限って己の欲望むき出しでしかも口先ばっかり
オレがオレがって普段調子のいい事言ってる割には困難にぶつかるとすぐへこたれる
なぜかわかる?
奴らは結局自意識と己の欲でしか目的を持たないからよ
でも葉は違う
あいつはラクでいたい意外の目的なんか持ち合わせちゃいないもの
だからあいつはいつも笑っていられるし
目的にしばられて自由とゆとりを失う事もない
それは逆に言えばいつでも自由な発想でなんでも出来るって事
人の欲望は満たされた瞬間消滅するわ
欲のために生まれた目的がシャーマンキングならそれを果たした後その人は何をしてくれるのかしら?
葉は何があっても葉でいられる
だからあたしはそんな葉を愛してる
だからあたしは──葉は必ずシャーマンキングになれるって信じているのよ

これは勇気でも無謀でもねえ
あきらめてラクになるくらいなら死んでラクになったほうがマシってだけだ
だって今あきらめてラクになっちまったら──一生ラクな気持ちでいられなくなるような気がするんよ

考えてもみよ
未来とはしょせんこの世において我々人間や自然がとる行動の結果の連続でしかない
故決して誰にも未来はわからないのだ
例えグレートスピリッツだろうがな
勝負の行方もましてや正義や悪 真実や偽りさえも──
だからその全てはーー全ては結果をもってのみ未来へと刻まれていくのだよ
だからこそシャーマンファイトは行われる
全ての「結果」という「真実」をこの世に具現化するために

「なんとかなる」は葉殿にとって己にブレーキをかけずにすむ最も重要な考え方でござるからな
それはつまり己を信じるという事
でなければ葉殿は決してオーバーソウルを完成させることはなかったであろう
そしてそれは拙者とて同じ
刀にとり憑き意識も消えるオーバーソウルとなれたのは
拙者もまた葉殿を信じ全てを任せることが出来た故──
だからまん太殿もなんとかなると思い一つ葉殿を信じてみてはどうでござるか?
信じる力というのは意外と何より大きいのでござるよ

当然だ
何故なら精霊とは自然の中にある魂
故その力は人間にとってまさに自然の脅威そのものといえる
お前らも自然の怖さはわかっているだろう
中でもオレ達の生まれ育った北の国じゃその厳しさはハンパじゃねえ
だからこそオレ達はその自然を克服するのではなく共存する道を選んだ
自然に対し耳を傾けその意識を理解する事で誰もが皆平和に生きられるように
つまりその自然と意思を交わす事がオレ達のシャーマン能力であり
よってそれだけ強大な自然の力を得る事が出来たのさ


5巻

これはいわば魂の塊・・・だからこのオーバーソウルは強いんだ

「山の神は時折強い人間と戯れたがるものだ」
オレの村に伝わることわざだ

だがオレ達はそれ(雪崩)を
「強き人間に対する山の神の挑戦」と考える

いや、守ったら負けだ
だったら!!こっちも全巫力をもって立ち向かうしかねーだろ!!

強い霊に強い媒介
確かに二人共間違ってはおらん
だがそれより肝心なことがあるのではないか?
つまり問題なのは持霊や媒介ではなく──それを操るシャーマン自身の資質にあるのじゃよ

ぼく思うんだ・・・
王様はきっと自分の夢をかなえられないって
何故なら国のみんなはそれぞれ自分の事でせいいっぱい
みんな夢に向かってがんばってる
でもそれはちゃんとした王様がいるからなんだ
きっとシャーマンキングになる人っていうのは
そんなみんなでいられる世界を作る人なんじゃないのかな・・・

愛してるわよ
真の愛とは相手を信じつくすこと
これがシャーマンキングへの試練の闘いなら
勝つも負けるも死ぬも彼は全て受け入れるわ
あたしは葉がシャーマンキングになるって信じてるから


6巻

人は遅かれ早かれいつか死ぬ
でも限りある命だからこそ
喜んだり悲しんだり出来るんだ
「死」を克服するなんて
初めから死んでるのと同じだろ

オイラは・・・・・・!!
オイラは今までずっと・・・何があったってなんとかなるって信じてた
それは・・・いつだってなるようにしかならないし・・・
見えない未来を考えたって不安になるだけだから・・・
そう自分に言いきかせてきた
なのに!!なのになんとかならなかった!!
オイラはもう少しで夢も命も友達も失ってしまうところだった・・・!!
オイラはただ楽になりたかっただけなのに・・・!
勝ち負けにこだわらなきゃ苦い思いもしないですむって知ってたハズなのに・・・!!
負けてこんなにくやしい気持ちになるなんて・・・!生まれて初めてだ・・・!!

それは葉殿に本当に大事なものが出来たからでござろう?
絶対に失いたくないもの
それを傷つけた許せない敵
いくら自分の感情を偽っていても
真剣な気持ちだけは偽れぬ
今葉殿は心の底から思っているのではござらんか?
「シャーマンキングになりたい」と

人は誰もが少なからず不安な気持ちをかかえて生きている
大事なのはその不安や恐怖をいかに克服していくか
葉殿の「なんとかなる」という言葉──そんな「勇気」があってもよいと拙者は思うでござるよ

生まれ持った力なら一度死にやり直せばいい
つまりお前がより高い巫力を望むならその肉体を捨て
己の魂を磨かねばならんということじゃな

何も見えず何も感じない恐怖・・・
裸になった人間の魂ほどもろく傷つきやすいものはない
それでもお前は・・・この穴に挑むのか・・・!!
・・・うーん
でもオイラそのつもりで来たしなあ
やっぱオイラ行くよ
だって困るんだ
もうなるって決めちまったから
シャーマンキングに

これって逃げてると思うか?
思わない
・・・自分の居心地のいいベストプレイスにこそ・・・自分のやりたい事はある・・・!!
好きな気持ちにわけはいらねぇ
オレはお前がいたいと思う場所にいればいいと思うぜ

闇は人の心の”負”をかきたてる力を持っている
それは例えば眠れない夜に不安が限りなくふくらみ続けるように
その”負”の感情は葉の魂をせめ続けるでしょうね
葉は別に誰かのためにがんばってるんじゃない
葉は自分のために自分の意志でヨミの穴に挑んだのよ
例えどうなったってこれを他人が邪魔していいわけがない
あたし達には葉を信じて待つ事しか出来ないのよ!


7巻

いい女は黙って家を守るものよ
男同士の対決に女が首を突っ込むものじゃないわ

あん時──オイラはファウストに負けた
それはやっぱ無理をしたからだ
無理はなんだか自分が自分でいられなくなるからイヤなんだ
自分を見失うのは本当におっかねぇ事だ
そん時自分が何をするべきか何をしてはいけないかさっぱりわからなくなっちまう
もしオイラがヨミの穴という真っ暗闇の中で自分を見失ってたら・・・
無事に出る事は出来なかっただろう
オイラはヨミの穴で何よりいつもの自分でいられる事の大切さと難しさを知ったんだ
だからオイラは自分に出来ないことはしない
今オイラに出来る事は阿弥陀丸を信じて
今ここでやるべきことをやるだけだ

それは無論シャーマンとしての戦い
つまり「精神の戦い」なのだ

「自信・・・」
「それは精神の強さ」
「けっして巫力ではなく」
「最後に戦いを決めるのはただ一つ」
それはゆるぎない心なのか


8巻

汚い言葉や暴力は一瞬で人の心を闇へつきおとす
”負”の力はそれほど強いものです
あの子は自分の悲しみを全て”壊す”事でおぎなおうとして戦っている
その”負”の力を受け止める事が出来るのはただ一つ
限りなく暖かな無から有を生み出す力ではないでしょうか

奴にはいくら力で挑んでもだめなんだ
どんなにしても風か水のように受け流してしまう
なのにオレに出来ることは力の限り相手を叩き壊すことだけ
力では風や水は壊せないのだな

人間って・・・本当はあったかいんだな
かつてのオレは道家を憎み・・・そして全ての人間を憎んでいた
だからその全て破壊するためオレはシャーマンキングになるつもりだったんだ
だが麻倉葉に触れそれが間違いである事にオレは気づいた
人間はそれほど汚くはない
だがオレは──それに気づくまであまりに多くの人間を殺しすぎた
この罪は何をしても償えまい
例えオレの死をもってしても
──だからずっと考えていた
オレには一体何が出来るのか
だったらせめて憎しみが憎しみを生む連鎖が続くこの世界を
死ぬ気で変えてやろうじゃないかってな


9巻

心なき人間に生きる価値なし
魂なき死体もまた生ける筈なし

仲間だろうが家だろうが今のオレにはどうでもいい事だ
オレは誰に頼るつもりも身を委ねるつもりもない
全ては自分の意志で決め自分で決めた道を歩んでいくだろう
・・・例えその道すがら人を信じ人に裏切られようがそれは自分で決めた道──我不迷

光と闇
美と醜
正義と悪──
これら全ては前があるから後ろがあるようにふとした拍子に変化してしまうものだ
大切なのはそのどちらにもとらわれる事なく──その表裏一体をうけいれる覚悟を持つ事──

この試練は「空を飛べるか」ではなく「精神の強さ」を試すもの
この勝負──死ぬとイメージした奴から負け死んでいくのだ


10巻

お前達には
過去にしばられ未来を見る事の出来ない私にはとうてい持てない力がある
夢を信じてそれを疑わずに前に進む力
強いなお前たちは

どんな奴だって行動には必ず理由がある
霊の見える奴に悪い奴はいねぇと思ってんのは今だって変わんねえからな
オイラだってハオのした事は許せねえ
でもハオだってどっかに理由はあるはずだ──悪いのはきっとそれなんだろうな


11巻

クマだけじゃねえ
火も水も月も太陽もクジラもフクロウも家も道具も
人間を取り巻く全てが神様なんだ
神は人間に食糧と衣服と住家の恩恵と時には試練を与え──
人間は神に感謝と祈りを捧げ神に落ち度があれば抗議する事も出来た
つまり神・・・すなわち自然と人間が互いに助けあって生きる事でそこに正しい調和が生まれると考えられたんだ

・・・あんまりじゃねえか
食うためでも着物にするためでも道具にするためでもなく
何も感謝されず殺された動物はそれじゃなんのために生きてきたってんだよ

効かねえよ
おおいなる自然の力に
魂の込もらねえ大量生産のナマリ弾はなあ


12巻

人ってやつはすぐ感情に支配されるからな
友達同士にしたってよ
みんな大して変わりはねえはずなのに
ふとした事で仲良くなったりケンカしたりするだろう
感情一つで人は敵も味方も作っちまうんだ
だから本当は敵も味方もこの世には存在しねえ
全部はてめえの正義感が生みだした苦しみなんだ

言ってしまえばシャーマンは心持ち一つで誰にでもなれる
まずは信じる事そして強く出来ると思う事
シャーマンに限らず全ての事は出来るという思い一つで事をなす
思いは全ての力の源であり強い肉体も様々な工夫も全ては思いによって作られる
もし何かが出来ないとすれば・・・それはすなわち思いの力が足りないのだ
全ては思い一つ
しかしこれが人間にとって一番難しい
その形なきーー思いはあまりにもろいのだ
どんなに強い人間でも思いが全く揺るがないことは難しい
しかし・・・精神の力のみが試されるシャーマンの世界ではその揺るぎない思一つが全てとなる

だから殺すなつってんだろ
邪魔だからって殺してんじゃハオとなんもかわんねえだろ

かの導きの声は──すべての魂に呼びかけられる
しかしその声を受け止められる事が出来るのは素直な魂の持ち主だけなのだ


13巻

黒いジャガーの末裔よ
お前のハナは全てを探しそのマナコは全てを見る
その足は全てを捕えその爪は全てを裂く
この大陸で最も強いお前
ジャガーの呼び声を受け止めたならばジャガーは魂を共にするだろう

殺してどうなる
殺してお前さんの心が晴れたことが一度でもあったか
笑いを忘れた悲しき子よ
笑ってみよ
笑いは風
お前さんの心の闇を吹き飛ばすには笑って忘れるほかない


14巻

怒るなと言っているのがわからんのか
怒りでは何も救えぬ
それはお前が一番身にしみてわかっとるはずじゃろう

わしの故郷はアマゾンの奥地にある小さなインディオの集落じゃ
だが部族の若者達は皆押し寄せる文化に目がくらみ村を捨て都会へ出て・・・そうしてほとんどの部族は絶えてしまった
だがこの都会というのはどうじゃ
皆が皆喜びを得るために争い身も心もすり減らして疲れきっておる
争いで得る喜びなど真の喜びではない
真の喜びとは平和な笑いの中にこそあるのだ
  

笑いの風で世界を救え
それがお前に残された責任だ
 


オイラにはあいつの悲しさはわからん
だからあいつは理解してくれる仲間を求めたんだろう
あそこが本当にあいつの選んだ楽でいられる居場所ならだったらオイラはそれでいい
 

正義だろうが悪だろうが選択すんのは人の自由だ
でも殺して選択する事さえ出来なくさせちまうのはだめだ
オイラは友達を信じる だから応援しに来たんよ
 

15巻

オイラ楽々が好きなもんでな
だが本物の楽々はきっちり頑張らんと味わえん
だからこうして戦いにも来てる

何が大事かは人の勝手だ
そいつが本気でやってりゃ上も下もねえだろ

最強のイメージ
揺るぎない心
その源は信頼 疑うは揺らぎ 歩んで来た過去に裏打ちされた自信
今オレはここに今まで関わった全ての人間と全ての経験に信頼と感謝を誓う

要するにことわざのあれと同じよ
「柳に風」「ノレンに腕おし」
葉のしなやかな巫力は「ICEMEN」の力押しの巫力を全て受け流す
だからって簡単に出来る事じゃあないのよ
少しでも葉が恐れを感じたらたちまち巫力はこわばって「ICEMEN」の巫力と衝突する事になる
だから葉は強いのよ
「ICEMEN」はその強さを過去のプライドに頼りすぎた
でも葉はいつだって今目の前にある事をゆるやかに受け入れ乗り越えていける
だから葉はかっこいいのよ

あいつはよ
頼んでもいねえのにいちいち人の事気にかける
もしこのまま奴らが負けたら奴らは納得出来るか?
失望から立ち直るまでにどれだけかかるか?
ヘタすりゃ一生葉の事うらむかもしれねえ
そんなのどっちにとってもちっともいい話じゃねえ
それはあいつの望む楽な世界じゃねえ
確かにそれで負けちまったらシャレにならねえが
だからあいつは負けねえんじゃねえのかな

本当の強さか
どうも巫力ってやつは
ふところの深え部分にたまるらしいな


16巻

水剋火
水は火を消すので火に勝つ
火生土
土生金
金生水
火は土を生み土は金を生み金は水を生む
それは即ち自然の摂理なり
そしてその自然の摂理をしめすのが彼のシンボル五芒星
あれぞ地球を構成する木・火・土・金・水五つの気のつながりなのだ
一つのつながりは五行相刻といい闘争による気の力関係をしめしたもの
もう一つは五行相生といいこちらは逆に気が順次発生する様をしめしたもの
つまりこの五行を完全に把握した者は全ての森羅万象を読み解き気を自在に操り変化させることが出来るという事

多分ずっとこの繰り返しなんだろうな
喜んだり悲しんだり自信持ったり失くしたり
乗り越えれば強くなれんのわかってんのになんでかガマンしちまうんだ
でも意外とすっきりするもんだ
ガマンしてた気持ちぶつけちまうのも
多分友達っつうのはそんな時のためにいるのかもしれん


17巻

何がどうなろうとも結局は自然に身を任せるしかないんだ
だから僕たちシャーマンは自然の流れを読み進むべき道を選ぶ
滅ぶのはそれが出来ない奴なんだ
人は業が深すぎた

一つだけ聞かせてくれ麻倉幹久
貴様ら大人は何故──それだけの力を持ちながらあえて希望を子に託すのか
・・・・・・僕らには見えてしまうんだよ自分の天井が
大人になるとある日ふと誰もが気づくんだ
頭上にせまっている自分の限界ともいうべき天井の存在にね
そしてそれは年をとるにつれ近づいて
シミや汚れがわかるほどますますはっきりしてくる
まあキミ達にはまだ見る事も理解する事も出来ないだろうがだがだからこそいいんだ
キミ達にはまだどこまでも強くなれる果てしない無限の空がある!!
・・・だからキミには決めつけてほしくなかった
だがキミは知ってしまったんだ自分も弱い人間一つにすぎないのだという事を
当然だこの世にオレより強い奴などいくらでもいるだろう
この大会ではそれを嫌というほど味わった
それでも認めないほどオレはバカでもない
だがそれをやすやすと容認するほどバカでもない
オレがオレの弱さを認めたとき勝利は可能性すら失うだろう
オレはたとえ死んでも吠え続けるつもりだ
オレは強い それがオレの不迷なんだ

敵を倒すには己がどこに進むべきなのか
かつての将達は星の変化を読み方位の吉凶を見極め軍を動かしたという
あらゆる形に変化する敵の巫力を読みとることが出来たならおのずと己の進むべき方位は見えてくる
それが超・占事略決巫門遁甲

問題は数字さ
おめェ・・・ガッコの数学のテスト最高で何点だった?
あ!?25点だよなんか文句あんのか!
・・・・・・それは・・・いい点なのか?
悪いに決まってんだろだからなんなんだよ
オレは確かに頭はワリィけどンなもんオレの人生にはどうだっていい事だぜ
それだよ
おめェはガッコのテストでロクな点もとれねえからてめえで勝手に頭が悪いと決めつけちまってる
出来るも出来ねぇも全ては「思い」一つなのに
数字ってやつはつい人にそのどっちかを決定づける魔物なんだ
学校の通知表会社の成績──給料バストウエストヒップ
そのクソみてェな数字を見せつけられた日にゃア
どんなに自信のある奴だろうが現実の前にねじふせられちまう
知るかよ!だから何が言いてえんだてめェはア!!
よく言うだろ?大人になると天井が見えるって
君達も社会に出ればいやおうなく己の身のほどを知らされる時が来るそして限界を覚えやがて成長を止める
シャーマンにとって巫力とはいわば「思いの力」
しかし「思いの力」ほど脆く傷つきやすいものはない


18巻

取り乱すなホロホロ!!!
・・・蓮の魂がここにいる以上・・・蓮はまだ死んじゃいねえ
あと一人だけなんとか出来る奴を一人だけ知ってる
なんとかなるうちは決めつけるなあきらめるな

君達はなんのために戦ったのだ?
大切なもののために戦うのはどちらかと言えば素晴らしい事かも知れん
だがもはや守るべきもののなくなった戦いを続けてなんになる君達が死んだら悲しいじゃないか・・・!!!
お言葉ですがおじさま
それでも私たちは戦うべきだったと思います
確かに今私たちは死にかけました
でもたとえ死のうと!!!
彼女らは我らの道を阻む敵なんです!!!
全くだね!!
何がみんな無事でよかっただ
ベタベタとなれなれしいにもほどがある
甘すぎだよ
ウチらはお前の敵なんだ!!!
・・・敵も味方もあるものか
どんな思いも全ては力の前に倒される
良い人も悪い人も
大いなる力の前で等しく平伏し等しく死に等しく無に還る

子供は無邪気というがあれほど怖い生物はいない
彼らはウソをついても決して己を偽る事はない
だがそれ故に真理
真理だけは決めつける事さえ出来ぬほどに現実
真理ほど我ら人間にとって残酷でつまらない物もない


19巻

大切なものがたくさんあるというのは大変な事だ
何かを欲しいと思えば
別の何かを捨てなければならない事も時折ある
大切なものは心だ

それはあなたには理解しがたい事かも知れナイ
大切なものを失う悲しみは分かっテモ
愛する事を知らぬあなたニハ
確かにそうかもしれないね
葉くんにとってシャーマンキングになる事は大切なことだけど
ここで蓮くんを見捨てたら僕は葉くんを軽蔑していたかも知れない
良かった僕はいい友達に出会えたから
葉殿──見事なまでの自決でござった

世界にはいろんな人がいていろんな夢があって
ぶつかって泣いたり笑ったり
その中で自分の夢を叶えた人はどれくらいいるんだろう
夢を叶え満足した人はどれくらいいるんだろう
それは多分誰にもわからない
答えはいつも自分が決める事だから

・・・戦争かあ・・・でも全然ピンと来ねえな
やっぱお前もたくさん見てきたのか?
この千年全て
ああますます見当もつかねえや
つうか千年前っていつなんだ?
それは大人になり自然に覚えれば良い事ですよ葉さん
興味の薄い事を無理に詰め込もうとしてもそれはまるで意味がない
ただね葉さん これだけはお前さんにも知っておいて欲しいのです
この世の全てに答えなどなく
同じく等しい人間など一人もいない
お前さんの進むべき道はいつも心で決めなさい
これも一つの戦争──500年前のシャーマンファイトに参加した者よりの心からのアドバイスです


各々理由は違えども
忘れようとすればするほどその思い強く
もがけばもがくほど思いという名に縛られて
それはやがて呪いにも似た思いのチカラと化す
──せつないではありませんか

葉王様は優しい
しかしその優しさ故にその強き巫力が故に 鬼に心を喰われた
霊視
何も見る事なく何も聞く事なく他人の心や事柄を把握してしまうその能力
より強ければ強いほど否が応にも人の心は流れ込み
その深きウラミや怨念はやがて己の心までもむしばみ 遂には自ら鬼をうむ
あの平安の名にふさわしからぬ鬼哭啾々たる時代
苦しむ民とその原因を作りし強欲な貴族達の権力争いの間で葉王様の見た闇はとても計り知れまい
そして葉王はシャーマンキングを目指すか
だがそれは優しさではない 弱さだ
確かにそこには我々など想像もつかぬほどの闇があるのだろう
だがハオが弱き己の心に負けた事には変わりはあるまい
お前もそれを承知で闘ったのではないのかマタムネ
無論 小生とてその正義今もうたがうつもりはない
だがしかし
だがしかし未だこの心 大切なものを選べなかった事悔やんでおるのです

紅白終わったらゆく年くる年あるだろ
それ終わったら一緒に初もうで行かないか
人混みはお前にはきついかも知れんけど お願い事するには初もうでが一番いいんよ
年の初めに神様の前で願いを言う
でもそれは神だのみじゃなくて自分に誓いを立てる事なんだ
今年は何をしたいとか今年の自分はこうありたいとか
誰にもしばられず一番ゆらぎやすい自分の心を神様に約束することで釘をさす
お前も──早くその力を何とかしたいだろ
・・・でも あたしは・・・
なんとかなる
もしお前が人混みの中でイライラして鬼が出たなら今度は一緒に逃げよう
もしお前の力がどんなに願ってもなんともならないのならそれでもいい
そん時はオイラがシャーマンキングになってなんとかしてやる


20巻

今宵は年越しそばでもたぐりたがったが──また後悔するより余程良い
これは心が決めた事だから

だがそれでもなんとかなる
仮に学校の成績がなんとかならなかったと嘆いても
葉さんの人生の結果 それがさほど問題でないように
あの娘が死ぬ それが最悪の結果とするならば手はまだある
小生の話は あの大鬼を倒す唯一の方法です

自分の進むべき道は心で決めなさい
青森に到着したあの日そう言ったはず
心とは今目の前にある現実にとらわれぬ信じぬく心
小生にも守りたいお方がかつて一人だけおりました
しかしそのお方を信じられなくなったあの日から
千年も続く後悔の日々ははじまったのです
今でも繰り返し続く人間の心の闇の歴史
戦争に巻き込まれる人々
悲しみを負う人々
そして数えきれぬ様々な諸行
それら全ての切なさの原因こそ
他と信じあえぬ事にありました
たとえいくら裏切られようと
信じる限りこちらから敵対する事などなく
むしろ疑いを持たずにいられる事こそが何より自身の幸せである事
それが愛なのだという事
あのお方が正しいかどうかなど問題ではなかった
信じる事をやめた小生のこの行いこそ──人の闇そのものだったのです

あのムスメは──その感受性が並はずれて強いだけに誰よりも神経質で臆病だ
だがそれも全ては本当の恐怖を知っておる故──
いつかそれらをのりこえた時あのムスメは何事にも動じぬ真の強さを得るだろう

全ての罪はその弱き心から生まれる
オレは相手を傷つける事でしかその弱さを否定出来ずにいた
だが奴に会いオレは変わった
だからオレはあえて刺された


21巻

所詮この世は弱肉強食
強ェもんが生きて
弱ェ奴は何もかもがそこで終わる

弱肉強食
それはあきらめの言葉ではない

弱肉強食──昔からオヤジがよく言ってたぜ
自然の掟は絶対だがくつがえす事が出来ねェとわかってるなら
それほどいい事はねェってな
空には空の王者がいて海には海の王者がいるように
どの世界にもそこだけの王者がいる
百獣の王ライオンだろうが空も飛べなきゃ海ももぐれねェ
ましてや土の中のモグラなんざ喰うつもりもねェだろう
モグラは土の中へ世界を移す事でライオンに勝てたんだ(中略)
ここはとっくにオレの世界でオレが王者だ

法は犯罪を抑制し人々の平和を守るためにある
もし罪人を許す事あらばたちまちに法は崩れこの世は悪に染まるだろう
故に法は絶対であり決して破ってはならないものなのだ
それは死刑とて例外ではない
わかります でも心がそれを認めようとしない
昨日 ブンスター ケビン ミイネは死んだ
それもメイデン様のために己の意志で
私には死にゆく者の心など知る由もないが
己の意志で死を選ぶという事は少なくとも己の心を殺すという事だ

やったら やり返される


22巻

だったら 初めからくだらない戦いなんかするな
憎しみで戦えば必ずお前も失う事になるんだ
やすらぎも大切なものも
二度と引き返せない道でもいいなら戦え
それが・・・多分覚悟なんよ

ま やったらやり返されるなんて
当たり前の事だしオイラだって怒る時は怒る
でもそればっかだとキリがねえからな
誰か出来る奴でいいからガマンしたりどっかで止めてやらなきゃならねえ
ここは地獄であって地獄でない れっきとした地球の上じゃ

言ってる事がよくわかんねぇな
じゃろうな ではお前さんの言うこの地獄は一体どこにある?
いやそんなの知らねぇけどよ・・・よくあの世だとか地球の底とか言うよな
そんで地獄の王様が仕切ってるってやつだ
では地獄の王とはどこのどいつ事を言うのかね?
その者はなんの権限があって裁く?
まるで人間だけに都合のいい世界はいつ誰がどこでなんのために 誰の意志によって作られた?
神とはなんだ
チョコラブよ 当たり前の事だかこの世には存在するものしか存在しない
そして意志なき元に作られるものはない
この世界は グレートスピリッツの中にある
ここがグレートスピリッツの中って…!
お前も一度ここを訪れたならわかるじゃろう
グレートスピリッツ…この地球上の全ての魂の還る場所──
さよう そして似かよった魂は呼びあいひかれあい
この中でそれぞれのコミューンを形成する
動物には動物の 人間には人間の
それぞれの育った環境や世界観──宗教によって その風景は様々だが魂とは記憶そのもの
つまり生前の魂のあり方が死後ここでありのままに反映されるという訳じゃ
光の国を信ずる者は光の国へ行き 心の闇のある者には闇の世界へ行く
この「地獄」と呼ばれる悲しい魂達の集うコミューンにな
地獄と呼ばれる…コミューン…
じゃ…!じゃあなんでこいつらここから出ねぇんだよ!
だったらさっさと他の場所に行きゃあいいじゃねぇか!
人間とは特に物事や善悪に白黒をつけたがる生物じ
観念に縛りつけられた魂には 外の世界など見えはしない
じゃが我々シャーマンにはそうでない者も大勢いる
ついて来いチョコラブ お前を偉大なる魂の元へ案内しよう

この世界 つまりグレートスピリッツの内部にはそう言ったコミューンが無数に存在する
だが ただむやみある訳ではない
何故かレベルの高い魂ほどその居場所はグレートスピリッツの高い位置にあるらしい
まさに天国と地獄と言った具合にな
天国と…地獄…
至難の業じゃ 下へ落ちるのは簡単だが上の世界に行くのは
じゃがお前は行かねばならん
我らが目指すはグレートスピリッツの遥か上にある

……──よくわかんねえよ
偉大なる魂どころか……今のオレには何がなんだかさっぱりわからねえ
だってオレ死んじまっただろ?
要するにここはあの世なんだろ?
今 オレがその場所に行ってどうなるってんだよ!?
…オレだって別にここに居すわりてえ訳じゃねえ
けど何故かここに居なきゃならねェ気がするんだ…
悔いておるのだ 己の罪を
え?
この地獄はお前や同類の魂の記憶が作り出した世界 言わばお前の心そのもの
自ら気づかずともお前は心のどこかで罰を受ける事を望んでおるのじゃ
心の平和を守るためにな
心の平和?
心の罪にうしろめたさがある限り気持ちよくはないじゃろう
だから人は罪ほろぼしをするために罰を受ける
例えどんな悪人でさえ心に罪悪感を覚えない者はおらん
快楽とはうしろめたさの表側にあるもの
おったとしても今はまだ気づかぬフリをしているか より大きな快楽で己を誤摩化してるにすぎないのじゃ
…人は歳をとる 歳をとれば他人の痛みがわかってくる 罪の意識は歳をとるほどに大きくなる
人は裁かれねばならん
……だからオレは…
死んでこのまま罪の意識に縛り付けられる位なら
生きておるうちに裁かれた方がよほど幸せというものじゃ
だからチョコラブ お前は生きて罪を裁かれよ
…ええ?
お前の肉体は通常ならとうに死んだと言える状態じゃが お前はいい友達を持った
今お前の肉体は蘇生されようとしている
肉体が蘇生されればお前の魂は再びそこへかえる事出来る
そのためにまず お前がここから出る事を許されねばならない
他の誰でもない お前自身の心に
これは試練だ 己の罪を受け止め強くなれ
我らがインディオの偉大なる魂! オルメカの元へ這い上がるのだチョコラブよ!!!

治癒能力
(中略)全ては思い一つ
体のしくみ 血の働き 細胞の一つ一つを想像して呼びかける
蘇るイメージ
オイラ達も試してみようぜ オーバーソウルで治癒能力を


23巻

だな…悪い奴どころかいい奴もいねえんだ
結局そんなの誰にも決めつけられるもんじゃねえからな
何をやったっていい ただしその責任は全て自分に返ってくる
法の社会で法を破りし者は法に罰せられ
無法の世界では例えその身に何がおきようと法に守られる事はない
やったら やり返される
でも大切なのは心だ
オイラ達には その覚悟がある

あわてたら負けだ そう葉に教わってなかったのか?

フン…一人の男がなけなしの意地を見せようとしているのだ
それにオレの巫力とてまだ完全に尽きてはいないのでな
オレが飛んで囮になる ルドセブに協力してやろうじゃないか
結果がよかれ悪しかれ 奴はそれで強くなれる

奴はただ示しているのだ 己の魂を
奴は暗闇を恐れていた
幼い頃両親を殺され 己もまたギャングとなり同じあやまちを繰り返してしまったその苦しみ
それは君だってよくわかっているはずだ
何せ殺した相手には二度とあやまる事さえ出来んのだからなあ
たとえ霊を見る事のできる我々でも 失った肉体を返せぬ以上同じ事だ
この犯した罪はどう償おうと決して消えるものではない
いくら悩んでも いくら悔やんでも いくら考えても
その思いは思えば思うほどに重くなる
地獄へ落ちようが刑務所へ行こうが誰かが許そうが許すまいが
結局答えを出すのは自分自身でしかない
だが奴には希望の光もあった それが夢と君達 友達じゃ
人は人と関わってしか人として生きる事が出来ない
奴自身が答えを出すには何より君達の裁きが必要だったのじゃ
被害者家族は当然の事 同じ能力── 同じ過去を持つ友達に
だから奴はあえて再びここへ戻って来た
ありのままの魂を示し 裁きを得るために

チョコラブよ よくぞここまで辿り着いたな
……これが インディオのコミューン
(中略)しかし本当に見事じゃった
グレートスピリッツの中では魂のあり方一つで全てが決まる
時も場所も全ては己の心が決める世界だ
時を超えようと思えば超えるし
場所を思い描けばすぐにでもそこへ行く事は出来る
しかし現実なかなかそううまくはゆかない
少しでも心に否定ややましい気持ちがあればそれなりのコミューンへ飛んでしまう
まさに魂がむき出しとなるここは決して己の心に嘘はつけない世界なのだ
お前がここまで来れたと言うことは 正真正銘魂をみがきあげる事が出来たと言う事じゃよ
オレだってもう何十年もさまよった気がしてるよ
けどもう大丈夫だ 多分オレは二度と心に否定する事はねェだろう

いろんなコミューン廻って来たが数えきれねェほどの魂があってみんながみんな違うんだ
当たり前の事かもしんねェけどさ なんかオレの小ささがすげェわかったような気がしてるよ

パスカル・アバフ
この像のモデルになった少年はシャーマンファイトに出場し我らに希望を与えた
巫力の強さとはすなわち心の強さ
彼は優勝こそ逃したものの その勇気はやがて神格化し我らインディオが祈りをささげる神となった

本当の……勇気──
巫力の強さは心の強さ──でも心に歯止めをかけるのは暗闇の恐怖
𠮟られる嫌われる殴られる 落ちる転ぶ怪我をする
人は日常のあらゆる見えない恐怖に怯え行動を抑制してしまう
でもそのほとんどの場合 実際なっちまえばなんて事のないものばかりだ
別に死ぬわけでもねェなら恐れる事なんか何もねえのに
つまり全ての生き物にとって死を超える恐怖はねェって事だ
だがオレは死んだ! 一度死んだと思えば誰だって何も怖がることはねェじゃねェか!
違う 死を恐れない生き方なんて 生きる事をあきらめるのと同じだ
それは本当の勇気じゃねェ 一度死んだオレだからわかる
あの痛みは克服出来るもんでもねェし するもんでもねェ
けどオレは それを知ってるから進む事が出来るんだ
地獄のコミューン
希望を失いあの暗闇に縛りつけられる事の方が 死ぬ事なんかよりよっぽど怖ぇって事をな
確かに3年前 オレはあんたを殺しちまった
だが それがどうした
あんたの科学者としての シャーマンとしての魂はちっとも死んじゃいねェじゃねェか

我らシャーマンは太古の昔より人々の為に存在するもの
それぞれの民を守る為 それぞれの家族を守る為
国益や欲望の為ではなく 皆の心の平和の為にシャーマンは戦ってきたのだ


24巻

父ちゃんは悪い父ちゃんだったな
全く情けない限りだな お前達の相手もロクにせず研究にあけくれた結果がこのザマだ
まあ当然の報いというやつだな
今ならわかる 私は観念に縛られ一番大切なものを見失っていたのだ
これが良かれと思い心を鬼にしてまで完成させたゴーレムの末路とは
大切なのは心か──本当にすまなかった

…良いも悪いもない
この地球の歴史がしめすように 真実とは結果のみに存在するもの

で…あんたはどうするつもりなの?葉
んー…そりゃ男が決めた事だ二言はねぇ
と言いてぇところだがあんな条件出されたらことわる訳にもいかねぇし
つっても昨日の今日でシャーマンファイト辞退しませんなんてあいつに言っても結果は見えとるしな──
(中略)そうじゃなくて
あたしは あんたの気持ちを聞いてるの
オイラの…気持ち……
そう あんたの心よ

葉殿もまた敗北を知ったが
敗北を知った葉殿の敵はもはや己に非ず
大切なものは どうかその心でお決めくだされ
…ハハ ったくオイラも何やってんだろうな
情けねえ……願えばまた争わなくちゃならんのに
まだこんなに未練がある…!!!

あんた よくも私にだまって勝手に辞めようとしてくれたわね
すまん
あたしはシャーマンキングの妻になる女よ あやうくいい笑いものになるところだったわ
すまん
あやまりなさい
………すまん
でも蓮は助かったけど
いいんじゃない? 友達も助かって自分も悔やまなくてすむんなら
あのなまいきアイアンメイデンの巫力だって一晩眠れば回復するし
生きてくにはたまにはおいしいトコどりしても
…アンナ
あんたは今夜おやつ抜きだけどね
ハァ…
けど楽じゃねぇぞ あいつを説得するのはよ
あんた まだこれ以上つべこべ言うつもり?
む… だな オラクルベル 拾ってくれて本当に助かった 礼を言うぞアンナ
うしっ じゃあいっちょハラくくって頼みに行ってみるか
またシャーマンキング目指して!

どうするもこうするも止めるしかねぇだろ
殺して憎しみが増えるのはもうたくさんだ
……葉くん…
ありがとう葉くん ボクも戦うよ 大切なものを守るために
? リゼルグ?
ボクにとって今一番大切なのはX-LAWSだ
だから例え隊長に逆らう事になっても ボクはマルコを死なせるワケにはいかない
あの人はああいう人だからちっとも融通がきかないし
何でもすぐ極端に考えちゃうからすぐ死刑とか言うけど
本当に死んじゃったらそこで終わりなんだ 憎しみも 悲しみも消えないまま
あの二人の間に何があったかは知らないしそれに
マルコが何を隠しているかもわからないけど きっといつかはわかりあえるから
だからとにかく今は殺しちゃいけない
ボクはやっと気づいたんだ
戦いに勝つというのは相手を倒す事じゃない それで自分が笑顔でいられるという事に


25巻

おやおや葉様 いきなり飛び込んでは危ないではございませんか
もしや今度はこの私を倒そうと? それはまたわからぬお考えですなァ
あなたはX-LAWSにシャーマンファイトへの復帰を頼むためにここへ来た
ならばそのX-LAWSがなくなればそれですむ話でございましょう
バカ言え それじゃ頼む事になんねえだろ
オイラは奴らに蓮を助けてもらったんだ だからちゃんと許しをもらわねえと気分が悪い
しかし 力ずくなのでございましょう?
確かにマルコの石頭には何を言っても無駄 故に実力行使しか手は残らぬのはわかります
が それでは結果我らの行為と何らかわりはないはずだ
違う それでもオイラは頼みに来たんだ
そりゃお前が来なかったらオイラはかなり不利だったろう でも大事なのは心だ
だから例え負ける事になっても それは心を変えた責任だと思った
心を?
オイラは 何が何でもシャーマンキングになる

そういうものだろ?
この地球に転がる小石になんの意味がある?
真実には正義も悪もない ただ人間だけが理由をつけたがるのさ
麻倉葉 君の言う この弱い心を納得させる為にな

オレは必ず奴と戦い 必ず奴に勝つ
今日の敵など その通過点にしかすぎん事をおぼえておけ

強いじゃないか
見ればわかる だが恐れはない
何故なら
今のオレはその先を見据えているからだ

ああ 世の中には何とかして無理しないですむ方法はねえんかなぁ
…ねぇよなあ
当たり前よ 何今更そんなバカ言ってんの あんたはそもそもその為に戦ってるんじゃない
そうだった すまん
いいのよ その気持ちを忘れなきゃね
わかった

我らガンダーラその全員に全ての巫力は空と化すそれが我らの力
正義でも悪でもない──中庸という事
それ故我らは争いを好まず 全てをありのままに受け入れる
…君にはとうてい理解出来まい
いや 世界中多くの者がこの真理を理解出来ず苦しみの中にもがき生きているのだ

かつてのオレは常に敵をうちのめす事のみを考え生きてきた
だがやがてオレの前にたちはだかる「奴」があらわれた
「奴」には何をしてもオレの攻撃は通用しない
全て風や水のように受け流してしまう
「奴」の巫力に勝つ為に 幾度の敗北を繰り返し至った道はただひとつ
敵をうちのめそうとするこの弱き心を殺す事
それ即ち己に勝ち 敵に全てを与える事
(中略)壊す力ではない 自然と一体になる巫力

まずはそれをイメージし直すところが始めるんだ
なァに心の世界に時間なんざ関係ねえ
女を見ろ 奴ら一晩で平気で心変わりしやがる
この夜でお前ら生まれ変われるぜ


26巻

言葉には言霊がある
心がその名を受ければ名はやがて体を成す
僕たちがイメージし作りあげるオーバーソウルのようにね
おもしろい話じゃないか もとは「炎」を意味する彼らの言葉「ウフュイ」が
国政により文字をあてられ碓氷となった
「炎」を意味する「氷」──まさに今の彼そのものだ

巫力無効化だよ
ハッキリ言や経験の差だな お前ェら無効化に甘えすぎてその先の戦略がまるでねェ
いくらガンダーラの武闘派だろうが所詮中庸の中の武闘派だ
中庸は現実の前に無力なんだよ

何かをやると必ず褒める人とけなす人がいる それはみんなの大事なものがみんな違うからだって
それに どんな事だってよいふうにも悪いふうにも理由ならつけられる
だから正義か悪かなんて決めつけるのがおかしいって
だから大切な事は心で決めるって
感情じゃなくて 心でね
だが その心をよしとするなら それは自身の正義とも言える
我々の正義は法に従い秩序ある世界を築くことにあり X-LAWSはその為に戦う
そうですねメイデン様
…はい 世界が平和でありますように──

ハオーーーーッ てめェはどこまで奪えば気がすむんだよ畜生がーーーーーッ
なら どうして君は戦うんだい?
失うのが嫌なら 初めから戦わなきゃいいじゃないか
(中略)僕の言ってる意味がわかるかい ジョン
君達がX-LAWSにいる事は決して偶然じゃない
君達が僕に巡りあってしまったのは 君達が等しく争いの場にいたからだ
人が死に憎しみの連鎖を生むだけの 争いの場にね
僕はこの時代に生まれ変わり世界中を見て回ったけど ただの一度だって戦争がやむ事はなかった
そして改めて思ったよ 何だかんだ言っても人は争うのが好きなんだと
周りには ホントいい迷惑だよね


27巻


要するにここが思い一つでどこにでもいけるグレートスピリッツの中なら
逆に思い一つで何だって出来るという事だ
あって当然と思う心 全ては思いの力 一つ
つまりオーバーソウルとおんなじ理屈だ

こいつはこの地獄に縛りつけられている それは今も悔やんでいるからだ
500年前に自分の先祖を殺した事を
奴はただ倒すだけでは幾度となく転生を繰り返す となれば残された手段は二つしかない
ハオの魂を完全に消滅させる──
オイラはもう一つのやり方選ぶ
難しいぞ
わかってる でも 心がそう言っている

葉 阿弥陀丸 そなたらのオーバーソウルにもあった我が家紋の意味を知っておるか?
? これの事か?
うむ 元来我らが麻倉家の家紋は始祖葉王による陰陽の印五芒の星であった
やがてその葉王を倒すべく麻倉は生まれ変わり 星を砕き樹木へと変える印となる
お主達ならあるいは本当に変えられるやも知れぬ ハオの心を──

ここは魂がある限り死なない世界だ だから心が負けない限り負ける事はない
いくぞ 阿弥陀丸!!!


28巻

…それでも 私は待つのが得意だから
待てないといい女になれないってアンナさんが言ったから! だから私は戦います!

無理じゃねえさ
だってここは地獄でグレートスピリッツの中なんだろ
だったらもう死ぬ事も守らなきゃならねえものもねえ
これ以上失くすものがねえならビビる事なんか何もねえだろ
心が無理って思ったら その時点で負けだからな

あの悪魔の事ならおめェもわかってる通り奴はおめェ自身だ
てめェの憎しみがあれ位で消えるなら苦労はねェさ 一番手強い相手は胸の奥いるんだからよ
人はてめェの思いひとつで幸せにでも不幸にもなれる
だが次々とふりかかる現実を前に幸せだと思える奴はそういねェ
だからこそそれが出来る奴が──一番心の強ェ奴なんだよ


29巻

世の中いつ何が起きても少しも不思議じゃないし ちっとも理不尽でもない
どんなに偉い人だって何でもない事で死んじゃうし どんなに努力を重ねたってふとした事で無にかえる
逆に何もしなくても生まれついての幸運で一生を幸せに終える奴だっている
バカみたいだろ? そんな事にいちいち本気でつき合うなんて だから結局どうだっていいんだよ

もう限界だろ? 正体を見せなよアンナ
アンナに正体なんかねぇぞ アンナはアンナだろ?
遅れてすまん ただいまアンナ

彼だけじゃない──みんなが僕を怖がる 初めから裏切られた気分だ
力で押さえつけるからだろ
そうだね 「それだけじゃない」事だって僕もわかってるし
気持ちがあるからこうやって生きてもいられる
オパチョとラキストは好きだよ オパチョは心の底からきれいだし ラキストはひたすら強い
花組とそのほかの事は少し残念 だけどそれも仕方ない 彼らはあれ以上強くならない
…魂が乱れたぞ 葉

この世には真理がある
争いや種の絶滅も それを全ての魂が及ぼしたありのままの姿とするなら 我らが愚行もまた真理
我らは導かねばならない 悲しみさえも魂に満ちた幸せを与えるために
我らは導かねばならない それを具現する五人の戦士を

貴様らが兄弟だろうが何だろうが──奴は敵だ
情が移るようなマネはよせ
…蓮… サンキューな でもやっぱそういう訳にはいかんよ
何故だ
だってよ あいつ本当は弱えとこあるだろ
そりゃシャーマンとしちゃ最強だけどさ 何かあいつの強さは弱さを隠すためみてえな感じがするんよ
長え経験の知識と理屈で固めた強さっつーかな
地獄に行ってみてわかった 確かにあいつに勝つにはあいつ以上の力をつけなきゃならねえ
でもそれは何か悲しい力だ
オイラは あいつの心になら勝てる気がする

オイラだってシャーマンキングになる為に戦ってんだ
それはみんなが楽でいられる世界が作りてえからだ
でも戦って仲が悪くなるんじゃそいつはまるで意味がない
だからオイラは啀み合うようなケンカはしねえ
だからハオとだって苦えコーヒーだって飲む
だって あいつ友達いねえだろ

違う…葉くんはそんなことが言いたいんじゃない
『友達だから助けるんだろ』
そうだ…葉くんは絶対憎しみでなんか戦わない
葉くんはあのハオでさえ助けようとしているんだ 竜さんやトカゲロウをそうしたように
千年前から何度でも蘇る無敵のハオは倒せなくても 心でなら止められるかもしれない…!

無無明亦無
葉が地獄で身につけた「浄」の力による技さ
つまり巫力無効化を攻撃に変えた技というわけだ

こいつは今何をするべきか必死で考えている
それは予め立てた作戦ほど脆く崩れやすいものはないと知っているからだ
戦場では柔軟な知恵と発想だけがものを言う だからこいつは危険なのだ
平常心を与えるな!

何故だ!オレはオレたちの関係にケリをつけるためにあえて貴様を殺した!
たとえどれ程の痛みを与えようと仲間を断ち!
貴様の甘さに勝つためにあえて心を鬼にして我が奥義をくれてやったのだ!
なのに何故貴様は生きている!!!
お前の心に迷いがあったからだろ
いくらハラを決めてもどこかでひっかかっちまうんよな 殺すってのはよ
シャーマンファイトは心の強さを競うバトルだ
心にためらいが出来るような戦い方じゃオイラは倒せん
(中略)すぐに勝負は終わらせる 殺すんじゃなく前に進む為にな

情けないものだ
地獄であれ程の思いをしながらその挙句がこのザマか
二人がかりでやっとここまで
確かにてめェの言う通りシャーマンファイトは心の強さを競うバトルだ
だとしたら最期に勝つのはやっぱ心に少しの曇りも無ェ奴なんだろう
『だってあいつ友達いねえだろ』
殺すのではなく 前に進む為の戦い
迷い無き心 ためらう理由もない信念


30巻


道教の法にも基づく雷
無量の水分をもたらすは雨の恵み
アステカの象徴たる鷲の翼がおこすは駆け抜ける風
大地の如く構え樹木を育み金属をかかえるは土
そして全てを燃やし尽くすは火の力
(中略)僕のマステマドルキームは君の為のものじゃない
僕がこのオーバーソウルを操る意味──
それは!!!僕の心の中にある敵意の炎にのみこまれぬよう支配する為にある!
ハオ!僕は来たるべきその日に君を倒すだろう!それまでの残り少ない日々を大切にしろ!
今は風呂に入りたくば入るがいいッ!!

修行!?
そうよ だってあんた今のままでも全然ハオには届かないでしょ
けどなんでシャーマンじゃない普通の人間なんか それもよりによってまん太の…!
別に誰でもよかったのよ 人間のする事なんてみんな同じ
たまたままん太の父親が利用出来ただけで特別まん太の父親が悪いって訳じゃないのよ
ちょうどいいじゃない これがキッカケであんたの家族関係がうまくいくかも知れないし 雨降って地固まれば
とにかく人間を相手に戦うのはシャーマンにとって一番の試練なのは間違いないわ
心をなくした兵器 欲がうんだ社会のひずみ 理想にそぐわない理不尽の連続
ある意味 ハオより手強い相手よ

別にあれ位どうってこたねェんだろ!?地獄で修行して来たんだろ!?
ハオは その地獄に900年近くもいたんよ
でもあいつにとってはその900年より この世にいた100年の方がよっぽど辛かったかもしれん
あの悲しい力がその100年分なら 確かにお前の言う通りだ竜
別にどうって事ねェよ


31巻

すんだ事にとらわれるな
じゃねえと変化する状況に心が負けるぞ

いくら表面で冷静を取り繕っても心では決してごまかす事は出来ない
心の強さこそシャーマンの強さ つまりそれが君達の実力に他ならないのだ

バカめ!倒すと言うのなら何故先に断る! 本気で勝ちを望むなら今のチャンスは決して逃すべきではなかった!
…オレはもうためらいが生まれるような戦いをしたくはない…
その挙句がその不様なのだろうが! 君達の言い分など初戦は弱者の戯言にすぎない 生き恥を晒すな!!!
オレだって死にたいほどそう思っているさ しかしマグナ
今オレが卑に屈すれば 尚更それは不様じゃないか


32巻

私の夢は 今 潰えた
思えば正義とは何かわからなくなったあの時より 私は既に夢からさめていたのかも知れない
今の私に出来る事唯ひとつだけ
それは戦士の為に祈る事──

しかしやがてムー(大陸)にも滅びの時が来る
いかに高度な技術をもっていたとしても所詮は人間
大いなる自然の災害──いや生業には無力に等しかったのです

オイラ達は魂が敗けねえ限り敗ける事はねえ

速ェじゃねェか!
つーよりこの速さは何のためらいの無さによる
戦う意志のあらわれと考えるべきだな

ラジム お前も今までずっとありがとな
愛する事は簡単だ 難しいのはそれを受け止める事なんよ

葉サンも言ったように 我々にとっての死とは魂の死───
砕かれし心には 冥福さえ祈れナイ

神よ あなたに伝えたい歌がある
それは生きるよろこびの歌
野を駆ける事がうれしかった私が いつしかそれを忘れ
兄弟に勝つ為に走る事をよろこびと覚えぬよう
そのはてしなき争いに身を沈めぬよう 私に勝つ為の力を与えて下さい
グレートスピリッツ 大自然たるあなたと共に あり続けられますように

でも本当になんとかなるのか!?
わからん やってみん事にはな
…!
だが可能性がまるでない訳でもない
通常では蘇生できぬ程に破壊された肉体も 魂さえあればその記憶を元に復元は可能だ
最悪 その魂が砕けてしまっていたとしても──
グレートスピリッツには 地球の全記憶が刻まれているのだからな
何でもかんでも生きかえらすのが決していいとは思わねえけどな
寿命で死んだ訳じゃねェんだ 可哀想だろ
何が良くて何が悪いかなんて僕達にはわからない
けど出来ることはやる それでいいじゃねェか
だから医者がいるのでスシネ

ハオの奴め オイラ達を怒らそうと思ってこんなマネしとるんだろうが その手はくわん
オイラ達に取って本当の負けは魂の負けなんだ
だから絶対キレもしないし 諦めもしない
もしあきらめちまったら それが本当の負けになるんだからな

最後だなんて この世に終わりのある戦いなんてないわ
それどころか葉達にしてみれば この戦いなんて遊んでいるようなものよ
だってあいつら 今をつらいなんて誰も思っちゃいないもの
人にとって生きる事は戦う事 食べる事も眠る事も服を着る事も
それがどんなにささいな事だって 幸せを求める程それは大きな不幸になる
ましてやそれが人同士ならなおの事

変な話ね 普通なら戦士達はとらわれんの姫を助ける為に魔王をやっつけに行くんでしょうけど
葉達はその魔王を助けようとしている でもそれもそのはず
だってこのお話のお姫様は 執念という魔王にとらわれたハオなんだから

みんなはハオを助けようとしている
死んでも死なない 倒したくても倒せない
ハオを止める唯ひとつの魔法は ハオの心を倒すこと
さびしんぼの彼に通用するたったひとつの武器は 心だ


完全版26巻

阿弥陀丸 今まで本当にありがとな
なっ…!何を突然言い出すのでござるか!まだ礼を言うには──
早かねえさ だってシャーマンキングになるって事は死ぬって事だぞ
シャーマンファイトは500年に一度の この星の神さまを決める戦いだ
そもそも500年も生きる人間なんている訳ねえし 現にハオだって今死の眠りについて王になるその時を待ってる
どの道あいつと戦ったらただじゃすまねえ 死んだら二度とあの世のコミューンで会えなくなることだってあるんだからな
…しかし葉殿 それではアンナ殿は…
なあに そんなのあいつはとっくにハラが決まってんだろうさ
人は遅かれ早かれいつかは死ぬ
だからオイラ達は長生きするために生きるんじゃなく
ちゃんと死んでいくために生きてる
だから阿弥陀丸 今日で本当に最期の戦い あらためてよろしく頼んだぞ

心を読む力 その最も大きい要因は──「寂しさ」にある
僕らの霊を見る力は正しくは人の魂を見る力だ
外面ではなく内面を見る力 そこに人も霊も違いはない
だがある局面において この力を持つ者はよりその内面を見ざるを得なくなる
あの人は何を考えているのだろう 自分は嫌われてはいないだろうか
そういったものが強くなれば強くなる程 より内面を見る力に特化する
たとえばアンナだってそう 彼女はあまりに強い霊能力のせいで親に捨てられ
大人の顔色ばかり窺い その幼少期を過ごした
おかげでますます内面を見る力は強まり
絶え間なく流れ込む様々な思念はやがて 鬼を生み出してしまう

何が憎めだ 何が不迷だ お前矛盾してるじゃないか
憎しみの連鎖を断ち切るなんて! やっぱりお前には出来ないんだよ!!!
出来るさ 全てオレが受け止めるのだからな
あの日 確かにオレはこの世にある憎しみの連鎖を断ち切るために 不迷の誓いをたてた
故に迷わぬために道を探し続け 今ようやく一つの答えに辿り着いたのだ
人の肉体は殺せても 魂までは殺せない
ならば憎しみの心はどうすれば殺すことが出来るのか
答えは 悩みきることだ
押さえ込んでも消えぬ心なら解き放て キサマが大切に抱え込んでいるそのもう一体の霊も用いてな

どうしたんだ蓮 全部ハラ決めてきたんだろ? かっこ良かったぞ憎まれ役も
そんなものじゃないさ オレは今不安で仕方ないんだ
オレが受け続ける憎しみが やがてオレをもむしばみ オレも鬼を生むのではないかとな
なあに大丈夫さ だからお前には今オイラ達がいるんだろ
それに心を殺す方法だが 実はもういっこある
愛だ マルコも言ってたろ お前もいつかいい人が見つかって 家族が増えりゃ きっと憎しみなんか全部ふっ飛ぶさ


完全版27巻

ホロホロの氷に 蓮の雷 リゼルグの炎 そしてまだ見ねえ葉の土の力
オレ達は大いなる自然の力をもってハオに立ち向かうためにここに来た
じゃあオレの風の力ってのは何だ
吹き荒れる風か嵐か それとも全てを巻き込むハリケーンか
だが北風じゃ人の心は動かねえ もっとすげえ風の力──
(中略)風は大地を乾燥させて植物を枯れさせる
山を削り 岩を削り 石を削り やがては全てを砂漠へ変える滅びの力──風化──

ああ…今までさんざん迷いもしたが ようやく私も見つけられたよ
これまで多くの友が死んだ だが彼らの魂は皆美しく穏やかで清んだものだった
戦いは己のためにするものではない 誰かのために 愛をもって戦うことでようやく自己から解放される
全ての迷いや悩みは己の心が生み出す偽の敵 あらがえばあらがう程 強大になるただの自己愛
ずいぶん遅くなってしまったが これで私も誰かのために戦える
先へ行きたくば私を倒せ これが私が君にしてやれる最期のテストだ

私にとってこれ程嬉しいことはない 今日は死ぬには良い日だ

葉くん──君は本当に強くなった
あの日私が教えたオーバーソウルはこれ程までに成長し もう私の技が届かないところにいる
それでいいんだ
こうして魂が受け継がれていく限り 人は死なない
ありがとう

オレが弱ェのは知ってるさ… でもオレだって役に立ちてえ 最後ぐれえは命張っておめーらを守りてえんだ
今のオレには…おめーらが最高のベストプレイスだからよう

でも宇宙人は何故地球に…!?
解明だよ
全ての知的生命体は 常に更なる何かを求め進化してきた
だが その欲望はとどまることを知らず やがて 知恵と引き換えに重大な問題を引き起こすことになる
心だ 知恵故の悩みや苦しみは どんな技術をもってしても 心を消去する以外解明する術がない
シャーマンファイトは 誰かがそれを解明するために始めたとしたら?

なんとかなる──今までそう信じることで事実なんとかなってきたし
実際どうにもならない状況になってしまったとしても 最後までそう思っておくのがベストだってことはわかってる
わかってるのに 更にそれを上回る絶対的な絶望と現実がこれでもかと押しよせる
もう なんとかならない

…いいかげんにしろ ハオ
お前は…何のためにお前の死体をもてあそぶ
オパチョの言うとおりお前の魂はここにはねえ お前はすでにこの星じゅうにあまねく魂
こいつは 単にわざわざ自分の死体を動かしてきたにすぎねえ偽の姿だ
お前は そうまでしてオイラを試したいのか
よくもみんなを殺しやがって おかげでくじける気が失せた

しかし参ったよ まさかお前が本当にシャーマンキングになっちまうとはな
…で これからどうするんだ?
もちろん大嫌いな人を滅ぼす
やっぱやるのか
止めないのか?
知ってんだろ オイラもあんまり人が好きじゃねえってこと
ああ…お前のような人間にとって その他大勢に流され生きる人間ほどうとましいものはない
だから僕やアンナは そんなお前に共感し お前を求めた
……やっぱお見通しだよな
じいちゃんも言ってたよ 人って奴はガン細胞に似ている
ガン細胞は食欲旺盛で どんどん周りの細胞を食いつくしでは仲間を増やす
そして食いすぎて増えすぎて やがては自分の住んでるはずの 人間もろとも自滅する
今の時代の流れはもう止められない 一度滅ぶかよっぽどの力でくつがえさない限り
それがシャーマンキングの力───オイラはそう信じて戦って でもお前に負けた
それはお前が人を憎みきれなかった何よりの証 その迷いが勝負の明暗を分けたんだ
(中略)なのに何故 お前は未だ地上での生にとらわれる
未来が ねえからだよ
これから生まれる子供や家族のいる未来 死んでちゃ楽でも楽しくねえだろ

勘違いしてるのは君だよハオ
オレ達はおめーを全うな王にするために来たんだぜ?
(中略)どこまでもバカな奴らだ ここでの死が何を意味するかわかっているのか?
それは完全なる魂の死
僕の星の力はお前達の心に絶対の絶望を与える ここで心が折れたなら二度と復活することはない
それでもやるというんだな

まだだ!!!
まだオイラ達はあきらめねえぞ
(中略)無駄だ ブラックホールは光さえも呑み込む大重力!お前ごときの重力では何ともならん!
いや葉の言う通りだ!
シャーマンの力は全て思いの力一つ!
たとえどんな攻撃だって心の前には通用しない!
信じる限り思いは強え!!!
なんとかなる!!!

そりゃそうだよな 神サマになってさえ見つけらんねえ魂なんてあった日にゃ悔しくてしょうがねェ
よぉ 久しぶりだな麻葉童子
乙破千代…!? お前今までどこにいたんだ あれ程探してもどこにもいなかったお前が…
おめェの母ちゃんのとこだよ おめェが1000年探し続けた母ちゃんと同じコミューンさ
母さんだと…!? バカな!母上の魂は……!
ずっとおめェの側にいたさ
だがお主自身の魂がそれを遠ざけた 怒りと悲しみに支配されたその心がな
僕自身が遠ざけただと…!?
グレートスピリッツ内に多くのコミューンがあるように 魂は似た波長の者同士が引かれ合う
逆に言やあ どんなに近くにいる奴だって 一生縁もねえまま互いの人生を過ごす奴らがほとんどなんだ
わかるかハオ てめェがこの1000年抱き続けた徹底的な怒りと悲しみは
絶対揺るがねえ最強の力をお前ェに与えた
だが それと引き替えに失ったのが てめェの母ちゃんの持つ波長
愛の波長だ

どう?1000年ぶりに人の心が読めなくなった気分は?
何ぃーっ! ハオが 心を読めなくなっただと…?
もうその必要がなくなったからさ 今のおめェはもう 誰の顔色をうかがう理由もねえ
要するにおめェは オレと出会った時の状態に戻っちまったんだよ
あの 心優しいキレイな魂のおめェにな
(中略)バカね まだわかんないの? あんたの見えてる乙破千代が何よりの証
あんたはもう怒りと悲しみから解放されちゃったのよ
葉と出会って力をなくした あたしと同じにね
あんたの心はみんなの魂を前にして すでに折れてしまっていたのよ

僕は納得が出来ません!母さんは下らん人間共に殺されたのですよ!なのにどうしてあやまることが出来るのです!?
あなたはまだかような小さき事を 人を憎むことは自身を憎むこと 許せば自身も救われるのです
母はあなたが思う程弱い人間ではありません
喜びも悲しみも怒りも憎しみも 全てを包んでそれが人
あなたも王となるのなら まずは人を愛さなくてはね

あれからもう7年────
オレ達が正義と言うつもりはねえ
ただ確実に世界は金に振り回されてどんづまりに向かってる
ハオは──手を下すまでもなく こうなることをすでにわかっていたのだろうな

それでも みんなも答えを探してがんばってるから ぼくだってがんばれる

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