三分咲きのソメイヨシノと、満開の“赤桜”

割引あり

子どものころから3月も半ば、桜の開花が待ち遠しくなるこの時期がなんとも言えず好きだった。

酒を飲むようになってからは尚更だ。
三寒四温のなか燗や焼酎のお湯割りで体を温めるもよし、ビールやサワーで爽快感を味わうもよし、である。
そこに桜もおがめる、プロ野球も開幕が近いとあっては言うことがない。

そしてこの時期になるともう一つ、いや一人、必ず思い出す女の子がいる。

“まりちゃん”というその女の子は、22歳の公務員。くりっとした茶色の目、高くはないがすっきりとした鼻筋、小さな顎と唇。
「小動物系」とは彼女のために生まれた言葉だと思った。

彼女の印象がことさら強烈だったのは、知り合って1時間も経たないうちに男女の仲になっていたということもあるが、その言動があまりにぶっとんでいたからでもある。

世界史の教員免許をもっているという彼女は、なかなかの博識だった。私も学生時分に社会学を学んでいたから、「フランス革命はなぜ起きたのか?」といった話で盛り上がり、よく一緒に酒を飲んだ。
博識で公務員ときたものだから、こちらとしては「話せる可愛い年下の女友達」という感覚で会っていた。ところがある日、いつものように二人で焼酎を嗜んでいると「明日の土曜日、あなたの家に行ってもいい?」と誘われた。
明日は一日暇だしどうせ二日酔いで潰れているから都合の良い時に勝手に入ってきてくれと伝え、まだ肌寒い夜の新宿から千鳥足で自宅に帰った。

翌日、下腹部に違和感を感じて目が覚めると、布団が盛り上がっている。
見ると小動物が茶色い目でこちらを見ながら一心不乱に私のイチモツを舐め回していた。
一瞬、何が起きているか分からず恐怖に似た驚きの声を上げそうになったが、昨晩のやりとりを思い出し平常心を保つ。
それにしてもいつでも勝手に入ってきてくれと言ったとはいえ、早朝の7時から寝ている私の股間を咥えるというのは奇行以外のなにものでもない。
やはり人を肩書で判断してはいけないなと思いつつ、一言説教をくれてやろうと起き上がったところ、既にまりちゃんは“ほぼ”全裸であった。

“ほぼ”というのはふたつの胸の中心と、きれいに剃られた割れ目を覆うようにピンク色の何かが貼られていたからである。

視力の悪い私はそれが何かがすぐには分からなかった。
するとまりちゃんは目尻を下げ、「桜が、もう開花していたよ」と意味ありげに笑い、私のそりたった太い幹を自分の“桜”にゆっくりと接ぎ木していく。

避妊をしなくてよいのかと聞くと、「ピルを飲んでいるから大丈夫」という。
小柄な彼女が私の上で身軽に何度も腰を動かすと、全身が少しずつ紅陽していく。
彼女が動くたびに貼られた桜の花びらがひらひらと動くので、顔や体が赤らんでいくのと相まって、花見をしているような気分になった。

ことを終えて少し休むと、まりちゃんは花見にいきたいと言い出した。
私は二日酔いの朝から訳の分からないこと続きで混乱していたのでやんわりと断ったのだが、どうしても今日桜を一緒にみたいという。
やれやれと思いながらも、それじゃあ支度をしようと促すのだが、彼女の下着がみあたらない。
するとまりちゃんは少し恥ずかしそうにうつむくと、
「今まで黙ってたんだけど、私、露出が趣味なの」と言う。
聞けば花見というのは口実で、今日一日露出する自分を私に見ていてほしいというのだった。

露出ポルノは嫌いではないが実際に関わるとなると話は別である。そんなことで捕まりでもしたら末代までの恥だなと思ったからだ。
それでも、こんなことは人生でもあまりないだろうという好奇心が勝り、応じることにした。

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