理想のデートプランをシュミレートした!

前編

# デート当日の朝
.....iPi♪ PiPiPi♪! PiPiPi♪!!
「むくり」。普段より1時間半早い目覚ましのアラームで目が覚める。
季節は秋。朝は寒い。そして今日は付き合い始めて2度目のカレとのデート!ぜってーぜってー待ち合わせに遅れるわけにはいかない。眠い目を擦りながらパジャマを脱ぎシャワーを浴びに浴室へ向かう。

「!!?」。心臓が止まるかと思った。冷たいシャワーを頭から被ったからだ。予期せぬ冷や水を被る事には慣れているがその時受ける衝撃には慣れない。そしてこれからも月に数回ごとのスパンで冷や水を被り続けるのだろう。
そんな自分のこれまでとこれからに辟易としている暇はないわ!完璧な状態でカレに会うことは今日の私の使命。ズボラ女子は卒業するのよ!

体を清めた後、温かいジャスミンティーで心を整える。先週親友のちぃちゃんと一緒に新宿に行き購入した戦闘服を身に纏い寒く狭い部屋を後にする。

# 集合 ~ 往路
集合時間の13分前に都内某駅に到着。緊張が私を襲う。嗚呼、帰って漫画を読みたい。心に飼っているみさとさんに叱られながら歩を進め、待ち合わせ場所にたどり着く。
知らないバンドのTシャツを着て待っているカレの緊張した面持ちを見て少しホッとする。
挨拶を交わし、コンビニへ立ち寄る。カレはじゃがりことチョコエッグを2つ購入し、さらになんと私の分の飲み物も一緒に買ってくれた!些細な優しさが嬉しいのです。

予約した時間にレンタカー屋で車を借りた。青いセダン。カレは運転席に、私は助手席に座り、カー・ナビゲーションに行き先を告げると、2人を乗せた青い車はゆっくりと発進する。

話は弾まない。私はまだ眠いしカレは運転に集中しているようだ。
「眠かったら寝てていいよ。」
不覚。なんてこと言わせてんだ私は。
「ごめんね、大丈夫だよ。」
嗚呼、帰りたい。心に飼っているしんじ君と心の中の駅のホームまでたどり着いた。

料金を払い高速道路に乗る。カレはアクセルを踏み込み上手に合流した。
その刹那、私の右隣から奇声が聞こえた。
「うぉ〜!!高速だぁ〜!!」
なんとカレはスピード狂だったのだ!
スピードを上げた瞬間に、意図したかのようにご機嫌なナンバーがカーステレオから流れる。奇声をあげるカレ。いますぐこの車を降りたい。降りて死ぬとしてもこの空間にいるよりマシだ。
為す術のない私は全てを諦める。カレの顔を見ると顔を真っ赤している。どうやらカレは生粋のスピード狂なのではなく、恥ずかしいと思いながらも、車内のテンションを無理やり上げるべく、狂人のフリをしたようだ。とんだバクチ打ちだ。どんなユーモアだよ。
右隣の狂人に倣って奇声をあげてみる。乗せられた私のテンションは爆上がりした。眠気は吹き飛び話も弾み始め、途中で寄ったSAでソフトクリームまで食べてしまった!

# 到着 ~ 早めの朝食
高速を降りコンビニに寄り運転を代わる。もう少しで目的地付近だ。

・・・

「海だ〜!!」
2人は車内で絶叫する。
有料PAに車を止め。早めの朝食を取るべく事前に調べた食堂に入店する。
生しらす丼を食べよう と2人の意見は一致していた。大抵朝には売り切れてしまう生しらす丼であるが、カレが遅い時間まで生しらす丼を提供する店を調べてくれていた。
昼食代はカレが出してくれた。嬉しい。嬉しいのは確かだが、この行動はカレ自身の気持ちなのか、ステレオタイプの行動なのか。そんな事を気にする私はダメな女だ。

# 江ノ島
ご飯を食べた後江ノ島に入島した。
江ノ島にはネコが多く分布する。私はネコが別に好きでも嫌いでも無いが、ネコを可愛がる女子はウケがいいだろうと思い、おもむろにネコの写真を撮ってみた。チラッとカレを盗み見る。カレの足元には何故だかネコが群がっている。カレは猫にもモテるようだ。しかしカレはネコにはまるで興味が無いようだ。なにやら思い詰めてるようにすら見える。失敗した。
一頻りネコを愛でる振りをし終えて立ち上がろうとしたら、立ち上がる際に手を引いて起こしてくれて、なんと!聞いたください皆さん!カレがやっと手を繋いでくれたのです!

手を繋いだまま江ノ島を散策し、展望台まで到着した。ここでお茶休憩にしようとカレ。私は昼食を奢ってもらったのにカレの優しさを疑ってしまった後ろめたさからお茶代を出す事を打診する。

2人で海を眺めながらソフトクリームを食べた。夢のようだ。
嬉しすぎて食べかけのソフトクリームを落としてしまった。島を汚してしまったことは申し訳ないが、そういえば今朝もソフトクリームを食べたので諦める事にした。

# 夕食
カレの勧めるカレーの美味しいレストランへと向かう。少し前にインスタの投稿で見た気がする。有名なのかな。
私は美味しいカレーを食べた事がない。ママのカレーが美味しくなかった訳ではないよ。

カレと同じドライカレーを注文した。いい匂い。一口目を口に運ぶと今まで味わったことのない幸福感に見舞われた。
「たっだんうめぇ。」
しまった。あまりの美味しさに思わず方言が出てしまった。めんどな(恥ずかしい)。
カレは一瞬驚いたようだが、面白がってもくれた。その事件以降カレも心を開いてくれたような気がする。
「江ノ島でネコに囲まれてたのに興味なさそうにしてたけど、ネコ嫌いなの?」
私の質問に待ってましたとばかりにその真相を語ってくれた。
どうやらカレは小学生の時に家に居ついたネコに餌を与えたりして可愛がっていたそうだ。しかしネコが居つく事をよく思わないカレの両親が軽トラの荷台にネコを乗せて山に捨てにいき、それ以来ネコに対する愛情を失ってしまったようだ。
さすがに酷いね と感想を言ったら、
「もしいま俺の子供が同じことしたら、俺も親と同じことすると思う」って、子供って!気が早すぎるわよ!ちょっと~

# 帰路
そんなこんなで夜はふけ、帰路に着く時間になった。
カレのかけるBGMはなんだか色っぽくて少しビビった。果たして無事帰れるのだろうか?無事じゃなくてもいいけどね!

レンタカー屋に車を返し、その日は案外あっさり別れる事になった。運転で疲れてるようだ。
楽しかったことと、またどこか行きたいとカレに告げその日は別れた。
別れの挨拶を告げるとカレ数歩後退りをし、一瞬ピカッと光り、爆散した。最後は爆発落ちかよ。良んす。
画像1

終了。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?