(たとえ家族が崩壊しても)子どもをやる気にさせるたった1つの大切なこと チャプター6 それは絆:でも、絆ってどうやって作るの?
私がこのブログを始めたのは、ステップファミリーや子どもたちについて、折角学んできたことをシェアしないのは勿体ないと思ったから。
私は気がついたらステップファミリーの一員になっていた。
元夫の息子のうち、上の2人はユダヤ系でもあって(前のブログでも書いた通りお母さんは実家が靴のクラークスの人)、一番下の子は母親がオランダ人の学者の父を持つというインターナショナルな顔ぶれだった。
ロンドンに来て右も左も分からず、イギリス英語にも慣れていないなか、ステップファミリー でうまくやっていくスキルも学ばなければならなかった。
自分でもよくやったと思う。笑
20年前にイギリスへ渡る前、私は元夫に尋ねた。「子どもたちは何を一番望んでいるのかしら?」
「彼らは僕にハッピーでいて欲しいと思ってる」それが元夫の答えだった。
子どもというのは親が幸せで楽しそうだと、それだけでもう充分幸せなのである。
落ち込んでいたり、怒ってばかりいたりする親は、大抵、その人自身が幸福を感じていなくて、劣等感があり、自分のコンプレックスを子どもに押し付けている。
親に精神的な余裕がなければ、子どもを褒めることなんて不可能だ。
どんなに醜い親子喧嘩に発展したとしても、最後は「あなたがどんなに失敗しても、間違えても、私はあなたのことが大好きよ。産んでよかった。育ててよかった」と言って、子どもをフォローしてあげて欲しい。
そうしないと、子どもは成長した後、親から心が離れてしまうだろう。
家族全員をボウガンで射殺した青年も、そんな温かい瞬間を一度も経験したことがなかったのだと思う。
元夫は一番下の息子と一日過ごして母親の元へ帰す前に、その子と一緒に、必ずその日にどんな面白いことをしたかを振り返った。これもしたね、あれもしたね、楽しかったねという具合に。そして「今日はとてもいい一日だったね!」で締め括った。
お金をかける必要は全くない。元夫と息子がやっていたのは、おしゃべりしながら散歩したり、サイクリングしたり、一緒に料理を作ったり、パンを焼いたり、本を読み聞かせたり……。そんな何でもないこと。
それでも楽しく過ごす方法は幾らでもある。道端の花の香りを嗅いだり、タダで得られる美しいものは世界に溢れている。
幸せとはそんな感受性を持つことだ。
そして絆とは、楽しく美しい思い出を一緒に作ることから形成される。この絆が子どもに自信を勇気を与え、やる気に繋がっていく。
他のブログに書いたモナコ君はいつでもハッピーになれる天才だ。
24歳のモナコ君はモナコ育ちで、自転車のアスリートでもあった。香水について学ぶ専門学校を出た後、世界最大の化粧品会社ロレアルのインターンを蹴って香水の研究所に就職。新米サラリーマンとして飛び回っている。
モナコ君と2年前にプロヴァンスで知り合った時、会う度に何かと必ず事件が起こった。頭の回転は早いけど、おっちょこちょい。ある時は財布を失くしたかと思えば、次は鍵がみつからない。その次には突然骨折したり、怪我をして血を流したり……。
それでもモナコ君はそういうことが起こった時、いつでも笑っている。
血を流してるのに「なんだこれ?」って自分でもびっくりしながら、最後はケタケタと笑う。自分のトラブルを全て笑い話に変えてしまうのだ。
トラブルについてずっと愚痴を言い続ける人もいる。モナコ君はそれをしない。カラッと忘れてしまえる。
私はモナコ君の両親は彼をうまく育てたなあと感心する。
彼の両親もスポーツ好きで、小さい頃から一緒にスポーツをしてきたから、そんな両親から学んだのだろう。
アスリートというのは立ち直りの早い人が多いのかもしれない。
競技や練習中、何が起こるか分からない。たとえ何が起こってもすぐに体勢を立て直して続けられるよう、頭や心の切り替えが瞬時にできなければならない。
いつでも「ギャハハ」と笑える人は本当に強い。
人生とは何でもない毎日の積み重ね。子どもに勇気と自信をつけたいなら、たとえ何があっても、親が笑っていることが一番だと思う。