三日月宗近を4Kで見て思ったうちのけのこと

2019年7月31日(水)、13時から13時30分までの30分間、4Kで撮影された三日月宗近と岡田切吉房を見てきました。これは、現在、東京国立博物館で開催されているVR刀剣という有料の企画で、このVR刀剣の鑑賞券と通常展示が見れるチケットが窓口で販売されています。大人1000円、学生800円です(たぶん)。

月曜日と火曜日はお休みなのでお気をつけください。あと1時間に1回、そんなに大きくないシアタールームでの鑑賞です。事前にチケットを購入しての予約が必要となります。5分前に来てくださいと言われますが、場所は地下1階の端っこなので早めに会場入りをされることをおすすめします。私はギリギリすぎて早あるきしながら冷や汗かいた。

先日、京都国立博物館の土曜講座の講演のなかで、末兼先生よりこんなコメントがありました。以下、ニュアンスです。

広くたくさんの人に日本刀文化が受け入れられ、需要があることが認識としても広がると予算が付きやすくなり、最先端の研究も取り組めるようになります。今開催中の東博のVRがその例です。

以上、末兼先生のありがたいお言葉(ニュアンス)でした。需要がないと、お金がつかない現代社会で、刀剣界隈は盛り上がりつつあると言えそうです。審神者の皆様のアカデミックな部分も含んだ『推しへの愛』が今後の日本刀の研究を後押しする、そんな未来を可視化した、その一端がこのVR刀剣かなと個人的には思いました。

で、肝心なその内容ですが、是非たくさんの方に見てほしい映像です。一番すごいなと思ったのは肌がめっちゃはっきり見えるところ。映りがはっきりで地金がみにくい岡田切でさえ肌がうっすら見えました。4K映像に比べたら私の目、ほんと節穴だった。会場ではお姉さんが分かりやすく刀剣用語も含め説明してくれるので、日本刀鑑賞初心者に向いてます。私も初めて日本刀鑑賞する前にこれ、見たかった!!

地金や刃文などは、お姉さんがプレステみたいなコントローラで操作しながらじっくりみせてくれます。

それと、実際の刀鑑賞をリアルに感じられるように、お姉さんがアクリル製の実物大三日月や岡田切を使って鑑賞手順を教えてくれるのも良かったです。その辺りの様子を見たいかたは、スクリーンにむかって右手奥前方に座られることをおすすめします。

初心者向け解説として分かりやすいなーと思ったのは、名物というのは享保名物帳に掲載されているからや、号というのはニックネームみたいなものですとか、反りを接線を引いて見やすくしているとか、良いなぁって思いました。わかりやすいー。地金とか最初に刀を見たときにはどれかわかんないと思うんですよ。あと刃文もわりとわかんないと思うんですよ(私は結構時間を要しました)。だから、4Kはいいぞ。って思う。

ここから本題です。三日月宗近のうちのけについても、じっくり見ることができました。ライティングが絶妙で、本当によく見える。末兼先生の講座を聞いているので、もう、二重刃にしか見えない呪いにかかっています。実際、4Kでみると、砥減りした部分もうっすら二重刃が見えそうな気がするほど、しっかりと映像で捉えていました。

解説では(手元のメモなので以下ニュアンスだと思ってください)

三日月の刃文は小乱で、三日月のようなかたちのうちのけ、ヤキがとんだような部分があることから、この名前がつけられました。また、上の方(切っ先側)は線でつながっているように見える二重刃となっています。(ニュアンス)

うちのけ『のような』という表現を使うことで、学問的にも齟齬がなく、分かりやすい説明をされていました。さらに二重刃についても紹介されていました。これは、一見の価値ありなので、ぜひVRと本物を見比べながら体感してほしいなと思います。

あと、気になったことがありまして

三日月は京都の刀としては珍しく地金に鍛練されたときの折り返した模様がはっきり出ている。板目の大模様で、古雅や奥雅といわれる。通常、京都の刀は地金が細かく見えない…(ニュアンス)

というような解説があったのですが、地金が見えやすくなってるのも、砥減りの影響とかないのかなー??と新たな疑問がうまれました。

以上、VR刀剣はいいぞ。一度はいくべき。私はもう一度行きたい。という感想でございました。

お粗末様でした。

追記

VR刀剣、京都国立博物館の陸奥守吉行さんでもやってもらいたいなぁと思いました。というのも、4Kならはっきり焼失前の刃文見えそうだなと思ったから。

末兼先生の講座のなかでも、撮影技術などの向上により、再現性のある(誰がいつみても、そうだとわかる証拠が明示できる)証明ができるようになったので、坂本家の吉行だと再発見された的な話が出てたと思うので、分かりやすい画像でみてみたいなーと思いました。

あと、三条の刀たちの刃文と肌の見比べ大会とか、ちょっとどうですかね?

あと、岡田切の匂出来がはっきり見えたので、粟田口でもやってほしいなぁとか←これは私の趣味です。厚藤四郎の刃文を4Kで見られる日が来たらいいな。あと、乱ちゃんの真偽とか目で見ても結構違うけど、4Kだと全然違うんだろうな~、とかふと思いました。

1本撮影するのに時間も技術もお金もかかると思うので、少しずつ増えていったらいいなぁと思います。そのためにも、応援、期待してる人がこんなにいるんだよ!!っていうのを示さなくてはならないので、刀展やトーハクVRにも積極的に行こうと改めて思いました。






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