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004投資信託をみてみるか

いま、あなたの心の中には、どの様な音楽が流れていますか。
 
前回は、「信託銀行」の役割みたいな話題で終わってしまいました。
さらに、その際に「投資信託」の仕組みなどをお伝えするとしていますので、本やWebなどと同じ内容かも知れませんが、お付き合い願います。
 
「投資信託」の起源って?と思いまして、少しだけ調べてみました。

投資信託は、多くの人が資金を出し合い運用する、集合投資と言うイメージかと思います。

いわゆる、集団投資スキームとしての投資信託の起源は、19世紀のヨーロッパとも言われています。
一般的には1868年3月に英国で設立されたThe Foreign and Colonial Government Trustが近代的な投資信託の最初とされているそうです。

このTrustの目的は、“多くの種類の証券に分散投資を行いかつ余剰収入の一部を元本返済のための減債基金として積み立てることにより、外国および植民地政府証券投資の危険減少を図り、中流階級の投資家にも大資本家と同様な利益を享受せしめることにある。”とされているそうです。

また、文献には「信託約款(trust deed)は、受託者(trustees)と証券保有者(certificate holders)代表により作成」され、「信託基金(trust fund)の管理は、受託者と毎年総会で選出される5名の証券保有者で構成された委員会とで実施」、さらに「運用面では、1銘柄10万ポンド以内の投資制限、ロンドン証券取引所の上場銘柄に限定」とされていたそうです。

いまの契約型投資信託の基本的特徴を備えていた様です。
 
さて、日本の投資信託の発展ですが、戦後の財閥解体、証券市場の沈滞と言った中で、証券民主化が必要と言う流れの中で、1951年に「証券投資信託法」が制定され、現在の法律的な基礎が確立しています。

1965年の証券不況を受け、委託会社の受益者に対する忠実義務などを追加する法改正が行われています。

その後、日本経済の本格的な経済成長を背景とした株式市場の活況から、株式投資信託も順調な伸びを示しました。また、公社債投信も1980年の「中期国債ファンド」の登場を機に飛躍的に普及しました。

国民の金利選好意識の高まりと資産運用ニーズの多様化を受けて、運用資産は拡大し、1989年末には純資産残高は58兆6,492億円に達します。

ただ、その後はバブル崩壊などにより残高は純減が続きます。
1992年には、MMFが登場し残高を大きく伸ばしますが、1989年の残高を超えるのは2001年となります。

その後も、組入債券のデフォルトにより複数の投資信託委託会社の運用するMMFの元本割れが発生したことなどから、再び残高が減少します。
しかし「日本版金融ビッグバン」の一環で、投資信託の銀行窓販が解禁され、証券会社でしか購入できなかった投信が銀行でも購入できるようになり、個人にとって投信がより身近な金融商品になり、銀行窓販が投信市場の成長をもたらします。

特に、銀行窓販の急成長を支えたのは毎月分配型ファンド。
世界の債券に投資する「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」は象徴的な商品でした。
同ファンドによって、毎月分配型の認知度が高まったといえます。
株式型で初めての毎月分配型となる「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」も人気化しました。
「グロソブ」「グロイン」と呼ばれ、2005年から2008年までこの両ファンドが投信市場のけん引役になりました。

同時期には「財産3分法ファンド(不動産・債券・株式)毎月分配型」「マイストーリー 分配型(年6回)」「GW7つの卵」など、複数の資産に分散投資するバランス型ファンドにも資金が流入しました。

状況を一変させたのが2008年のリーマン・ショックでした。
ほとんどの資産が大幅に下落し、投信も大きく値下がりしました。
低リスクを売り物にしていたバランス型ファンドも基準価額の値下がりにより資金流出が拡大し、グロソブ、グロインをはじめ大型ファンドも資金流出に見舞われました。

リーマン・ショック後の相場回復局面で、台頭したのが通貨選択型ファンドです。
2009年1月設定の「野村米国ハイ・イールド債券投信(通貨選択型)」がヒットし、通貨選択型ファンドが大量に誕生しました。
この時期には、ブラジル債券型、豪州債券型ファンドなど、ハイリスク・ハイリターンの投信が投信市場をけん引しました。
さらに、2013年以降は、米国の景気回復が顕著となり、米国不動産投信(REIT)、米国ハイ・イールド債券など米国資産を対象とした毎月分配型ファンドが人気化しました。
特に、2016年ごろになると、人気が米国REIT型に一極集中するようになり、高分配の「フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)」「新光 US-REIT オープン(愛称:ゼウス)」など毎月分配型ファンドが主役になりました。

しかし、まもなくして金融庁の方針のもと「フィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)」の強化が課題になります。
金融庁は運用実態より高い分配金を出す毎月分配型ファンドに厳しい評価をし、その結果、多くの毎月分配型ファンドが分配金を引き下げて、大量の資金流出につながりました。
これを機に毎月分配型ファンドは失速していきます。

2018年にはネット関連のテーマ型ファンドが人気化し、従来型の毎月分配型ファンドはほとんど販売されなくなりました。
一方で、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」のように、運用実態に見合った分配をする「分配金が控えめな毎月分配型ファンド」が設定され始めました。

金融庁は、貯蓄から投資へとして、国民の資産形成に資するため、2014年1月にNISA(少額投資非課税制度)をスタートさせます。
その後も、2016年4月にはジュニアNISA、2018年1月にはつみたてNISAがスタートし、2024年1月から新NISA制度がスタートしています。

この流れの中で、著名なFPの方や、SNSなどで発信される投資家の方々の力で、資産分散、時間分散といった投資の基礎となる情報が多く発信され、積立投資の効果が徐々に理解され始めてきます。

2019年後半から、SDGsやESGがテーマ型ファンドのように多くの運用会社により設定され始めました。
ESGにかかる世界的な流れ(グリーンウォッシュ等)を受け、金融庁は、ESG投信の範囲、ESGに関する公募投資信託の情報開示や投資信託委託会社の態勢整備について、具体的な検証項目を定めた「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」の一部改正を実施しています。

この様な流れと、さらに世界的な株式市場の上昇により、2024年1月末の公募投信残高は、208兆3613億円となっています。
 
「投資信託の仕組み」というより、歴史みたいな話題で終わってしまいました。
次こそは、「投資信託の仕組み」について、お伝えしたいと思います。
 
本日の1曲は、Vaundyさんの「タイムパラドックス」です。
この曲は、『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』の主題歌となっています。

本日は、ここまで。お付き合いいただき、有難うございました。

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