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4発ジェット機

ジェットエンジンを4発装備する機体は、登場時エンジンの数の多さによる万が一の時の安全性が一番の売りでした。
ところが、大推力のターボファンエンジンが開発されるにつれて、その安全性能を示すMTBFが飛躍的に長くなっていきました。

そして、双発機で洋上を飛んでも良い時間の長さを示すETOPSもどんどん長くなっていきました。
簡単に言えば、海岸線から何時間ぐらい離れて飛んでもいいよという「時間」を表すETOPSは、5時間越えは当たり前で6時間を超す機体も現れてくると、経済性では4発機より双発機の方が絶対に有利なので、4発機が淘汰されるのは当たり前となってしまったのです。

しかし、短距離離着陸を必要する場合や、長時間哨戒などにはやはり4発機の方が飛行エンベロープの面積が多く取れるので、軍用機には4発機が多種類見ることができます。

そんなことをたまたま考えながら夕刻の散歩をしていました。
はるか上空からジェット機の音が聞こえてきました。いくつになっても好奇心の強さは、子供並みの私は空を見上げて、音の発生源を探しました。

すると、見つけました。かなりの高さをゆっくりと移動している4発機が、南から北へ移動していました。
自分の指を空に伸ばして機影と重ねると、小指の爪で隠されてしまうくらいの大きさにしか見えませんので、何の飛行機なのかを特定するのは、かなりな難題です。

しかし、じっくりと観察すると、高翼配置の4発機で、胴体はふっくらしています。最大の特徴は、T型尾翼だということです。
ここまでわかると、C-141かC-5ぐらいしか候補は頭に浮かびません。しかし、C-141はもうすでに全機退役しているし、C-5はあのTF-39ターボファンエンジンの独特の金属音が聞こえてくるはずなのに、それが聞こえません。そして、ハタと気が付きました。

答えは、マグダネルダグラス(現ボーイング)C-17グローブマスターⅢだったのです。実際に間近で見たのは、もう10年近く前に、藤沢の海岸近くの小高い丘の上で、真正面から超低空で正面から迫ってくる機影に、圧倒される思いを持った時以来です。

今回は、逆にとんでもなく小さな機影だったので、機種名が浮かばなかったのですが、分かってしまえば藤沢で遭遇したあの時の圧倒的な存在感を思い出しつつ、じっくりと見つめていました。

あまりに高いので、その移動速度は極めてゆっくりでしたが、北の空に消えていくまで、じっと眺めていました。
その姿を別の私が見ていたら、なんて思うんでしょうね。

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