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出穂の季節

日本の原風景と言えば、圧倒的に水田の連なる光景です。
青々とした稲の葉が、渡ってくる風に次々になびいていくさざ波の様なうねりが、いかにも盛夏を感じさせますね。

そして、8月ともなれば、稲の穂がぐいぐいと伸びてくる頃です。
今日、家から5分ほどの所にある、川沿いの田んぼの様子を見に行ってきました。整然と区画整理された田んぼは、脇を流れる農業用水路からのたっぷりとした水を引き込んで、しっかりと稲に安定的な環境を用意していました。

よくよく、田んぼを一枚一枚見ていくと、広い面積を一度に田植えすることなどできませんから、数日かけて植えていくことになります。
その日々のずれに応じて、稲の生育状況ははっきりと差がついています。

最初に植えた田は、もう稲穂がかなり伸び始めています。出穂ですね。
そして、その場所から、奥へ奥へ進むにつれて、稲穂の背丈が低くなり、一番奥の方は、まだ出穂していませんでした。

そして、稲と言えばぶんけつ(分蘖)の状況を見れば、生育の良し悪しがはっきりと分かれます。一本一本植えた苗は、成長とともに根っこから次々に新しい茎が生えてくる(これを分蘖と言います)のですが、その数が多ければ多い程良い生育状況を言えます。凄いのになると、あの細かった苗が、両手でつかめるほどに太ってくるのです。生命力をしっかりと確かめられるお手本のようです。

タイトル写真の稲の根を見てください。
これがあの一本のヒョロッとした苗が、約3か月かけて大きく成長した姿です。田の土にがっちりと食い込んだ根張りの力強さは、田植えの時のひ弱さと好一対です。

間もなく穂が伸びきって、受粉の季節を迎えます。
穂が伸びきると穂先の方から開花します。と言っても花弁がないので、見た目には6本の雄蕊(おしべ)がグイっと伸びてきておしべの根元にあるめしべが受粉すると、すぐに閉じてしまいます。
開花は朝方の1~2時間くらいらしく、午後になるともう閉じています。

開花期は約1週間です。
そして、出穂してから約一か月で、コメの実が熟していきます。
ここで田んぼを水を全部抜いてしまいます。これを落水(らくすい)と言います。水を落としてから10日ほど経つと、一般的には稲刈りを行います。

籾からの作業を開始してから数えて、約155日目くらいになります。
こうして、籾は米になっていくのです。


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