刺激的なニュース

自分はやっぱり、飛行機物が好きなんだなと実感したのが、今日のニュース配信です。超音速旅客機が時代の寵児ともてはやされたのは、今や過去のこととなり、音速を超える旅客機が再び企画はされてはいますが、亜音速の世界で一服しているのが今の航空業界の常識です。

と思っていたところへ、今日のニュース配信のタイトルを見て、「そんな馬鹿な?」と思った方は、相当の飛行機好きでしょう。
でも、それは「こうなんだよ」即座に説明できた人は、相当のオタクでしょう。

そのタイトルは、「1300km/hだと!? 米国で「“超音速”で飛ぶ航空便」なぜ多発? 普通は900km/h前後…でも「安全上問題ナシ」のワケ」と題された、乗り物ニュースの記事でした。

この話は、音速を知っていないと成り立ちません。音速とは、文字通り音が空気中を進む速さですが、空気の温度によってその速度は変わってきます。通常、温度15度においての音速は340m/秒です。
時速にして1224Kmとなります。

対して、いま世界中を飛んでいる旅客機は、概して860~920Km程度が巡航速度での最大速度となっています。
で、タイトルに謳う1300Kmで通常運行しているという記事は、多少航空関係に首を突っ込んだ程度の人には、「そんな馬鹿な」となります。

そこで、オタクに語らせましょう。
「通常飛行機の速度は、対気速度で語られます。ところが、上空には空気の流れ=風=が吹いていますね。進行方向の真正面から、風速15mの風が吹いてきたとしましょう。すると、対気速度は変わらないものの、地表から見れば当然遅くなっていることが観測されます。時速にして15Km速度が遅くなっているわけです。

ここで、偏西風を思い出してください。北緯60度付近を恒常的に流れている風のことです。吹いている高度は、1万メートルぐらいです。時速は360Km程度です。ちょうど、ジェット旅客機が飛行する高度ですね。この風に後押しされたら、それはそれは、楽に飛べることでしょう。

巡航速度が900Kmの飛行機を時速360Kmで後押ししたら、地上から見れば1260Kmで移動していることになりますね。
そうです、新聞のタイトルは少しばかり刺激的過ぎたのです。

普通に考えれば、ちょっと強めの風と、やや高めの巡航速度もってすれば、地面から見える対地速度が、音速を超えても少しもおかしくないことになります。」と、得意げに話すことでしょうね。

対気速度と対地速度との違いが判る話でした。


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