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不機嫌利得

春ですね。雨が降ります。

交差点で親子連れを見かけました。

雨は一時やんだのですが、子どもが傘をさしている。

父親は、その子に向かって、「みんな傘なんかさしてないだろう。やめなさい」と不機嫌に言うけれど、子どもはイヤイヤと…


よくある光景です。

この時、周囲で親子の様子を見ているハタの人間は、「子どもは雨が降ったことではしゃげるんだなぁ…傘をさすだけでウキウキできるんだなぁ…いいなぁ」とほのぼのしているんですが、父親だけが傘をさすのをやめさせようとしている状況。


雨がやんでいる。子どもは傘をさしている…という状況。これは「事実の世界」。

父親は、子どものしていることは間違っているという「解釈」をしています。周りの人は子どもが傘をさしていることを不快と捉えている…子どもは父親の権威に従おうとしていない…などなど。こっちは「解釈の世界」です。


私たちは、解釈の世界の住人で、事実の世界を忘れ去っていることが多い。


今、私は、子どもの父親ではなく、他者だから、父親の解釈の世界と事実の世界が対立していることに気が付いているだけで、

私が普段から、事実と解釈を分離できる賢い人だということではありません。


もう一つの話。

先日、電車に乗ったら、その電車はボックス席で、隣のボックスには、男性の二人連れが座っていた。

一方の男性が不機嫌になって、もう一方に、「お前のせいだ!」と言っている。(何についてかは知らない)

イライラしているようで、ぶちぶち、ぶちぶち、何か言い続けている不機嫌な男。


私には全く何の関係もないので、ツレと面白い話をして笑っていたのですが、隣の不機嫌男、「おい、隣の車両に移動しようや」と言っているのですね。

それだけの話なのですが、しばらくして私の頭に「不機嫌利得」という言葉が下りてきました。


不機嫌を周囲にまき散らし、何か声を荒げていた男。

困った顔をして、苦笑いのツレの男性。

「お前のせいだ!」という言葉。


不機嫌は誰のせいなのか?

不機嫌は、本人の解釈のせいです。


不機嫌な雰囲気をまき散らし、周囲に威圧的な空気をかもそうとして、失敗したんでしょうね。(私の解釈です)


他人の不機嫌は、私には関係ありません。

それが身内であろうと、私の機嫌とは全く関係ありません。

本当に苦しんでいるなら、私も苦しくなりますが、不機嫌だけは、伝染しない。

それは伝染しないからではなく、伝染させない、と決めているからです。


不機嫌に対して、不機嫌を返してしまうのはNG。

不機嫌に対して、機嫌を取ってしまってもNG。

と判断しているからです。


不機嫌に対して、不機嫌を返してしまうのはNGというのは、説明不要かもしれません。蛇足ですが説明すると、際限がないからです。八つ当たりに対して、八つ当たりをするのが生産的じゃないみたいなね。

やられたら、やり返すんじゃ、すぐ戦争ですよ。

やられても、やり返してはダメというのが、刑法という法律がある理由です。やられても、本人がやり返すのではなく、ちゃんと相応の責めを負わせる…公権力がそれを保証するというのが、刑法という法律の趣旨です。

(それでも自分自身や、大事な人を傷つけられたら、やり返したいという気持ちになるんですけどね)


不機嫌に不機嫌を返したら、結局千日戦争スタートにしかならないので、やりたくないからやらない、と理解してもらったらそれで充分です。


じゃあ、不機嫌に対して機嫌を取ってしまったら?

不機嫌でいることを増強するから駄目です。

不機嫌に対して、機嫌を取るということをしてしまうと、不機嫌でいる動機付けが強くなっちゃうじゃないですか。


不機嫌に対する対応は、無反応が一番。

自分の機嫌は自分で取れ、と突き放します。


悲しみを無視しろって話じゃないです。


「私、朝は機嫌悪いんだぁ…低血圧だからさぁ」とかいうのは、無視するってことです。

機嫌が悪かろうが、良かろうが、やるべきことは勝手にやってねって話です。

朝起きて、顔洗って、うんこして、朝飯食って、仕事行ってねって話。

代わりにそれらを、私がしてやるわけには行かないので。

そして、上機嫌というのは、朝起きて、顔洗って、うんこして、朝飯食って、仕事に行く…というのを、スムーズに行うために「都合が良い」メンタルセット?(←意識高い)だってことです。


人間、怠惰なのも、意識低く、都合悪いことをするのも自由です。


ただ、私はそういうのに付き合わないし、機嫌も取らないよというスタンスは示しておく必要があります。

でないと、私の朝起きて、顔洗って、うんこして、朝飯食って、仕事行く…という一連の足を、他人の不機嫌のために止める必要が出てくるからです。


電車の隣のボックスの不機嫌丸出し野郎に対して、クールであることは簡単ですが、これがグズるわが子だったりすると厄介です。


でも、利害関係はより深いし、不機嫌利得を与えて、不機嫌を増強すると、自分の首が締まる…


別に人生、何やってもいい。時間を無駄にすることさえ自由だ。

でもやりたいことがあったら、他人の機嫌を取っている場合じゃない。

他人の不機嫌利得を増強しないように。

同時に、自分の不機嫌利得を客観視しましょう。

電車で騒ぐ、程度の低いおっさんと一緒なんて、恥ずかしいと感じるのがまともなのです。

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