牌譜添削⑬雀傑3さん

さて、少し間が空いてしまいましたが、添削シリーズ今日も行ってみましょう!

●成績概観

今回の牌譜主さんは雀傑3さん。金の間と玉の間のハザマでご苦労されている様子。

主さんの玉・金合算成績

守備寄りなスタッツですね。しかし、それにしても和了率が20%を切っていては厳しい。恐らくまだ平面での手組も課題がありそうです。
守備面は及第点とも言えそうですが、和銃差(和了率-放銃率)は8%に満たないことを鑑みるとまだまだ向上余地があるでしょう!
では、実際の牌譜を見ていきます。

●牌譜検証をして感じた課題

複数回同じ系統のミスをしているパターンがあり、結構明確な課題が見えました。

課題①孤立数牌の扱いが苦手

孤立数牌を早々に捨てていってしまう手組が頻繁に見られました。十分なターツ候補が5つ揃っている場合は孤立数牌は不要となりますが、そうでない場合は優秀なくっつきでのターツ形成候補となります。ブロック数が足りてない場合や、手の内に愚形等の自信がないターツがある場合はもう少し孤立数牌を手の内にとどめても良いかもしれません。
また、孤立数牌で打牌候補が複数ある場合の選択もミスがちらほら見受けられました。

課題②典型的「間違ったスリム」

守備意識の高さは主さんの強みだと思いますが、序盤で明らかに損をしている「間違ったスリム」の手組が多く見られました。
ここ重要なので詳細に書いていきます。
以前ツイッターでも記載したのですが、間違ったスリムとは以下のことを言います。
・勝負手で1-3巡目に受入を狭めてしまう
・悪い手で1-3巡目にオリ気味に打ったのに7-10巡目で結局ブクブク
・逆に勝負手の一向聴で7-10巡目に危険牌先逃がしできない 等
そして、こうなる背景としては、スリムに受ける目的が大きく分けて二つあること理解していないからではないかと推測します。
①悪い手で終盤手詰まりしないための「オリ前提スリム」
②勝負手で聴牌打牌放銃を回避するための「押し返し前提スリム」

正直、スリム打法は結構な高等テクニックですので、もう少し段位が上がってから考え始めても良いと思います。主さんの今の牌譜を拝見するに、スリムに受ける恩恵よりはるかに多くのデメリット(和了逃し)を受けているように感じました。現段階では、「1-6巡目は素直に打つ」、「7-10巡目くらいで無理のない範囲で安全牌を持つ」程度の意識に改革することをオススメしたいです。

課題➂ベタオリ手順

主さんは守備意識が高く、くだらない手で攻め込んでしまうことはほとんどありませんでした。副露手に対してのオリ判断も素早く、Goodです。これは大きな強みだと思います。
一方、オリと判断すること自体はできているものの、その「オリ方」には一部課題が見られました。特に、リーチがくると一件しか目に入らず、脇へのケアを忘れがちになっています。守り中心のスタイルの主さんは、守りのミスは致命傷になります。一層注意を払うようにしたいです。

●事例集

10/16 14:48の半荘東1局

打5pとしたところ

孤立数牌軽視&間違ったスリムの両方に該当する事例です。まだブロック数が足りていない中ですので、5pは超貴重なくっつき候補です。また、まだ巡目も5巡目で過度に守備を意識する必要はありません。さらに、残した発も生牌で全く安全ではありません。ここは素直に発切が良いと思います。

10/12 23:18の半荘南1局

7mをツモ切り

間違ったスリムです。あまり手形は良くなく、浮いている字牌もダブ南とドラの白。スリムに受けたい気持ちはわかります。しかし、逆にこの手で役牌以外で和了できる可能性がある有力な候補は七対子です。打7mはその可能性を消してしまっています。ここは素直に南か、少し難易度が高いですが9p3枚切れに気付ければ、打8pという選択もあります。

10/9 17:16の半荘南2局

8mをツモ切り

これは相当打8sですね。ブロック数が足りてないにも関わらず、ここではなぜか孤立数牌の8sを残して、既にターツを形成していた8mを外してしまいました。もう少し丁寧に比較できると良いかもしれません。

10/9 17:16の半荘南2局1本場

打4pとしたところ

これは打8sが良いでしょう。繰り返しになりますが、まずはこの手はまだブロック数が足りてないことを把握しましょう。そうなったときに、4pと8sがどちらがくっつき候補として優秀かと考えれば、それは大差で4pです。シンプルに4と8では4の方が良形くっつき率が高いですし、今回はさらに8sの受け入れである7sは既に56sでカバーされています。孤立牌同士の比較ももう少し丁寧に行いたいところです。
もし三色が頭にチラついていたとしたら考えすぎです。この手はほとんど三色にはなりません。

8/12 01:54の半荘東4局

打2mとしたところ

対面の3副露に対して、前巡アンコの2mを抜いてオリ。いいですね。ただ細かいですが、次巡のここはベタオり手順として個人的に5p切が好みです。理由は「上家への安全度」です。あの3副露に対して5mを叩き込んできている上家からリーチが飛んでくる可能性も否定できません。そうなったとき、手に5pが残っているより2mが残っている方がしのぎやすくなります。

8/12 01:54の半荘南3局

対面のリーチに対して打東

東も安全度は高い牌ではありますが、ここは丁寧に89pを選びたいです。自分の手は押し返してのアガリは厳しい。89pはシンプルに対面の現物でもありますし、他家に将来危険になる可能性があります。その際に東が有力な受け駒になる意識は持ちたいです。

8/11 09:57の半荘東1局

打5pとしたところ

再び孤立牌軽視&間違ったスリムです。ここは発か西を素直に切りたいです。
まずは、しつこいですがターツが足りていないことを意識しましょう。次に、巡目としてはまだたくさんの安全牌を抱える必要がある局面ではありません。もしかしてホンイツが頭にあったかもしれませんが、字牌がこれだけ切れてしまっていては厳しいです。運よく西が重なっても、ホンイツのみにしかなりません。それよりはメンツ手でリーチを目指す方が良いでしょう。
また、この局には続きがあり

打7s

ドラまで切り飛ばしてしまいました。うっかりミスでなかったとしたら、さすがにこれは孤立牌を軽視しすぎです。

●まとめ

まとめると、主さんの負けパターンは
・序盤で過度にスリムに受けてしまい、先制機会を逃す
・なのに、敵が攻撃してくる中盤では結局ブクブク
・苦しい手牌からオリたはいいものの、オリ方を間違って放銃

という感じに見えました。序盤中盤終盤それぞれ課題がありそうです。いずれも非常に勝敗に影響が大きい部分ですので、見直せばすぐに効果が期待できると思います。
繰り返しになりますが、主さんの守備意識からは本当に真摯に麻雀に向き合っている姿勢が伝わってきました。あと少し、本日お伝えしたような課題がクリアされれば飛躍的に成績が伸びることを確信しています。少しでもお役に立てれば幸いです。

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