牌譜添削⑪雀豪1さん

さて、今日も元気出して牌譜添削シリーズやっていきましょう。

●成績概観

今回の牌譜主さんは雀豪1さん。

主さんの成績

まださほど打数が多くなく、これからといった感じですね。しかも直近20戦以上トップなしで、非常に苦しんでいらっしゃる状況。安定段位も雀豪1.38と、このままでは昇段は難しい見通し。
攻守傾向はバランス型。雀聖へ登っていくには、和銃差(和了率-放銃率)は最低でも10%は欲しいところなので、攻守いずれもテコ入れ余地がありそうです。
ただ、いくつか牌譜を見せていただいた感想としては、主さんは非常に麻雀センスがありそうだなと感じました。所々光る素晴らしい判断もありましたし、何より麻雀で一番必要な要素「我慢強さ」を持っている。これだけトップが取れなくて焦りもあるだろう中、しっかりとこらえるところはこらえることができていました。恐らく今はやや下ブレ気味で、打数を増やせば自然と安定段位も上がってくるのではないかと感じています。

●牌譜検証をして感じた課題

一方、もちろんいくつか課題も見えました。
今回、3つ指摘させていただきました。ただ、3つの中でも優先度の差がかなりあるので、優先度も併記しております。

①牌の危険度の評価・比較(優先度"特大")

これは非常に重要な論点なので、必ず意識頂きたいと考えています。他の2つとは優先度が大きく差があります。
主さんは非常に我慢強く、オリるべき局面ではしっかりとオリることができていました。しかし、その「オリ方の手順」が良くない局面が非常に多かったです。
その原因は、恐らく各牌の「危険度」を正しく比較評価できていないことにあると思います。重要なのは「3方面をしっかり見渡すこと」「放銃になる形のパターンを想定すること」です。後程事例を交えてご紹介しますね。

②安全度を意識した手組(優先度"小")

自分の手の価値があまり高くない時は、敵の先制に備えることが求められます。そんな時に、後手で受けに回りにくい手組にしてしまっているケースがいくつか見られました。ただ、これは結構高等テクニックで、注意事項も多いです。安易に採用すると逆効果になりがちなので、優先度は小としました。心の片隅に置いておいていただき、さらに雀力が上がってきた頃に改めて思い出していただく程度で良いかもしれません。

➂悪い手の進行でトイツ手を意識(優先度"中")

攻撃面では、少しトイツ手の評価が低すぎるかな?と感じる打牌がいくつかありました。特にメンツ手で仕上がりそうにないあまり良くない手牌の場合、トイツ手は有力な候補になります。また、②で記載した「安全度を確保しながら進める」がやりやすくもあります。

●事例集

10/9 00:29の半荘南2局

打6mで放銃

しっかりとベタオリしてましたが、無念の放銃。とても惜しいです。ここで課題①です。
6mも安全度が高めの牌ではあります。3mが通っていて36mは否定、8mが早くに切られているので、愚形で当たることもほぼ無さそう。あるのは8m先切りされたレアケースのワンチャンスの69mだけ。しかし、今回見事にそのレアケースにストライク。とても悔しいですね。ただ、ここは打5mの方が良かったと思います。
理由は2点あり、
1. 当たるパターンがほとんどない
28mが通っているので両面は無し、83mが早く切られていることを考えるとカン5mも相当不自然なのでなさそう、自分が暗刻持ちなのでシャボもない、謎の赤5m単騎は否定はできないけど、さすがに薄い。このように、放銃になるパターンを洗い出して消去する思考をクセ付けすれば自然と「より安全な牌」があぶりだされてきます。
2. 次の巡も切ることができる
そして大きいのが「もう一巡切り番が回ってくる」ということです。自分に安全牌が尽きてしまった時は、この瞬間だけではなく次巡以降もしのぎ切ることも意識に入れると良いと思います。仮に6mが通ったところで、次巡安全牌を引けなければもう一牌通さなければなりません。一方、5mを通しておけばもう一度切ることができます。トータルの放銃率がどちらが低く抑えることができるかは、既にお気づきの通りです!

10/8 22:19の半荘東4局1本場

打7mとしたところ

両面固定の7mも悪くは無いですが、私はここで7sを打ちます。課題②「トイツ手」ですね。6巡目という中盤でまだ愚形含みの2向聴。結構間に合わない感覚を持てるでしょうか。そうなった時、トイツだらけのこの手で7sはあまり機能しておらず、切ってもメンツ手の待受ロスはあまりありません。一方、4トイツあるので、七対子の2向聴の含みも逃したくありません。特にドラ3sを引けたら一気にチャンス手になる感覚を持ちたいです

10/8 22:19の半荘南2局2本場

無念の打6s一発放銃

早すぎる敵の先制リーチ。理不尽な放銃であることは間違いありませんが、これを台パンして終わらせてはいけません。ここも課題①です。
安全牌がなく、親の十分形一向聴。押していい状況ではありますが、切る順番は7pが先です。6sは36sと69sの両方に当たり得るのに対し、7pは47pにしか当たりません。放銃率は約2倍違います。なんとなく6pにつながっているので7pを残してしまったものと思いますが、58pのターツで使うことはほぼ無いので関係ありません。放銃は結果論だとしても、ここは明確に7pから切るべきです。

10/8 16:56の半荘東1局

打9sとしてオリ

惜しいです。しっかりとオリ選択をしたところまでは素晴らしいですが、ここは3pから抜きたいです。理由は「他家への安全度」です。対面や上家から追いリーがきたら苦しくなってしまいますので、先に3pから逃がしておくべきです。実際、上家に4pが入ったら36p待ちのリーチが飛んでくるのがお判りでしょうか?
※形式聴牌で粘りたい気持ちで9sから切っていたのだとすれば、その発想は悪くないです。実際9sから打つ上級者もいるかもしれませんが、手牌の安全度が十分ではないためかなり難易度の高い道であ今はオススメしません。

10/8 16:56の半荘東2局

打北としたところ

手牌はまずまずですが、愚形残りで先制できそうとまでは言い難い形。ここは課題②安全進行で、私は1mから切ります。安全な北を二枚抱えつつ7mや3sのチーから発信してクイタンのアガリを狙いたいからです。
これは結構マニアックなテクニックですので優先度は下げて良いと思いますので詳細記述は避けますが、ご興味があれば私と近い考えだと勝手に思っているほら和了さんのNote(https://note.com/horahoora_mjs/n/n5de1a8fd1c4a)もご参考になさってください!

10/7 16:36の半荘東2局

打5mとしたところ

これは少し雑ですね。打8mに勝る点が一つもありません。5m8mの危険度の比較は既に述べた点と同じなので省略します。事実上家はマンズ下のブロックを持っていてスレスレでした。

10/7 16:36の半荘南2局3本場

筋の7mを切るが

これは不用意です。丁寧にオリていましたが、3pを引き戻したところで色気がでてしまったでしょうか。スジの牌の危険度を適切に評価したいところです。スジはあくまで「両面」が否定されるだけで、カンチャン、ペンチャン、単騎、シャンポンには普通に当たりますので全く安全牌ではありません。今回自分の手は2シャンテンで浮き牌も無筋だらけ。押し返しもほぼ絶望的であることも鑑みると、丁寧にもう一度3pを切りたいです。

10/6 17:12の半荘南2局

打9pとしたところ

これは課題①~➂に該当しない番外編ですが、打4sがいいでしょう。4555の形は3面待ちの良形ではありますが、3面待ちが機能するのは「雀頭が無い場合」に限られます。既出の7mを切ってしまったケースと同じミスですので、悪いクセになっているかと思い一応指摘させていただきました。

10/6 17:12の半荘南3局

打1pとしたところ

オリ判断自体は良いですが、ここは5sを合わせましょう。次の巡目には下家に対して5sが打てなくなります。この僅差の南3局、ラス回避のためには放銃は本当に最悪の局面ですから、3方面への配慮を欠かさずに行きましょう。これ、細かいようでめちゃくちゃ成績に影響大きい部分です。

10/6 16:45の半荘東4局

4pチー打南

悪くはないですが、安全度の低い手牌で非常に怖い仕掛けです。優先度は低いですが、同じく課題②のポイントだと頭の片隅に置いておいてください。

10/6 16:45の半荘南1局

打1mとするが

課題➂です。ほぼほぼアガリが厳しそうなこの手は、トイツ手が生命線です。どれを切るかは難しいところですが、3つのトイツだけには手をかけることは無さそうです。

●まとめ

繰り返しになりますが、課題①が最重要です。全部が全部指摘をしませんでしたが、他にも気になったオリ手順は複数ありました。この点を改善するだけで成績は劇的に向上するはずです。
また、今回指摘したポイント以外にも、牌効率の基本的なミスもちらほら見られました。メッセージの一貫性がなくなりわかりにくくなるので今回は記事には含めませんでしたが、ウザク本などで手組の座学にも一度取り組んでみることをオススメします。
今回は以上です。主さんの成績向上を心より応援しております!


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