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クマったクマった熊田曜子

現在、人間と野生動物は『エリア』で棲み分けが出来ています。と人間側は少なくとも思っています。現に、今まで人間もクマもお互いに『猿の惑星』のごとき全面戦争という殺伐とした関係になったことがありません。

偏に人間側が『この境界を越えて入って来たら一頭たりとも残さず駆除しつくしてやる!』という認識では無いからに他なりませんし、ニホンオオカミで懲りているということかと思います。

『里山の不在』

その昔、日本人は『里山』と暮らしておりました。植林をし山を手入れすることで木々が育ち、間引いたスペースに多様な植物が育つことで『保水力』が向上し、引いては『防災』に繋がり、豊かな山の養分は川へ流れだし、海にもプランクトンが増え、魚介類が育ち、実りとなって人間社会に『よい循環』として戻っておりました。

人間が里山へ入る際には『クマ対策』として、たばこやキツイ匂いのするものを持ったり、音の出るものを持ったり、クマが危険を察知し近づいて来ない対策をしました。

ですからクマは『里山』を危険なエリアであると認識して生息エリアへ戻っていく…引いては人間と野生動物の『里山』を緩衝エリアとした棲み分けが成立していたと言えなくもない。

現在、放棄された里山が増えています。林業に従事する人も減り、人が山へ入らなくなったことで里山という『緩衝エリア』が失われ、クマは自ずと行動エリアを広げ、里まで降りて来ているだけではないか?

『クマがかわいそう』

その昔、奄美大島で『ハブ対マングース』を根拠に、どこかの大学とコラボして『マングースを野に放つ』実験が行われ、その結果、奄美の固有種であるウサギやネズミが絶滅寸前になりました。

つまり、マングースはハブを『好物』として食べているワケではなく、よしんば『好物』だとしても、よりリスクの少なく捕獲しやすいウサギやネズミを食うでしょう。

同様に、山にどんぐりを運んだとしても精々キツツキやリスが蓄えるくらいで、クマは人間の匂いの付いた大量のどんぐりには目もくれず、今食える果物を今と変わらず食べるでしょう。

先日、宮津の漁師さんが面白いことを言っていました。『ヒトデが海藻を食べたり被害が増えている。』ことで、ヒトデを獲って肥料にする実験をやっていると、その中でこの”ヒトデのニオイ”が『野生動物を遠ざける効果』があることを発見したと言うのです。

恐らく『今まで嗅いだことのないニオイ』に対して警戒しているだけだとは思うんですが、確かに効果はある。では、この『ヒトデ作戦』をクマ対策として引用出来ないか?という提案です。

どんぐりを拾い集めて山へ運ぶ運動をしておられる動物愛護団体の皆さん、試しに『ヒトデ』を山へ運んでみませんんか?

もちろんヒトデもそのうち腐食しますし、それが生態系にどう影響するかわかりませんが、現状で野生動物が警戒して近づかないことは確かです。環境保全はともかく動物愛護の観点から確かめてみる価値はあるのではないかと思いますが…


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