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男と女のラボゲノム

近頃でこそ『涙は女の武器』とならない時代になったはなったが、その昔、やたらと女は泣いたもんだ。

テストが満点じゃなかったと言っては泣き、隣の男子が何か言ったと泣き、友達が泣けば泣き、都合が悪くなれば泣き、そんな情緒不安定な女子をクラスの男子どもは、なるべく波風立てず腫れ物に触るかの如く対応する。

男子、自ずと技術力が上がる。

男性が女性に対して最も冷静で的確な対応が出来るのは8歳~10歳くらいなんじゃないだろうか?

ただ、女の生理を察知し対応する機能が備わっていない男子が、泣いている友達に同情して一緒に泣いてあげている自分に酔っている女子に『おめー関係ねーのになんで泣いてんの?』と、確かにみんなそう思ってるけどわざわざ言わなくてもいいよってことを言った時ですね。

『一緒になって泣いてあげる』という思いつく中でも最大級の友情を見せたのに、その菩薩的慈悲の心をバカにされることで、女王の気高き自尊心が傷つけられてしまう。

すぐさま確率変動の『パニック状態』に突入です。この噴出したマグマが冷え固まるまで一般人にはどうすることもできません。

嗚咽、過呼吸、その苦しそうな姿に今度は周りの女子がアメフトのディフェンスのごとき鉄壁の布陣を敷き、同時にこの粗野な男子に圧力をかけてきます。

いつの時代もどの世界ででも、揉め事なんてのは当事者同士が解決するのが最善の策ではありますが、『泣いている子をほっとけない自分』に酔うタイプの女は、このトラブルの原因も、この後のスケジュールもそっちのけで風のように割って入ってきます。

突発性の呼吸器系疾患でない限り、その嗚咽とその過呼吸にも、必ず『原因』があるワケでして、泣いていることが即ち被害者とも限らない。コナン君でなくても『ん?』と思うところかと思います。

しかし100%『泣いてるやん!謝りなさいよ!』と、ここが最大の問題点であります。

もちろんこの状況をひっかきまわしてややこしくしてやろうと思っているワケではないとは思うんですが、結果として『ごめん』で済まない話に一瞬でシフトさせてしまう。

そもそもこの嗚咽と過呼吸女子は、この粗野な男子に『何よりも謝って欲しい』と思っているのか?ということですね。

おそらく『謝るまで泣き止まないからな!』なんて、『被害者であるこの状況を利用して追い詰めてやる』なんてことは先ずないでしょう。

幾ら8歳~10歳の女児とは言え、そんなほとんど収穫の無いことに嗚咽や過呼吸までをも動員し無暗にエネルギーを使うワケが無いし、おそらくクラス中が注目するだろう『泣く』という行為でアピールするリスクを考えれば、『謝った。じゃ許す。泣き止む。』という流れが自然だとは思えない。

最初は衝動的に泣いてしまったものの、おそらく『しつこく泣く』ことによって、相手の良心に訴え続け、その肥大していく罪悪感によって復讐することを目的にすり替えていくしか手が無い。

ここで最も満足を得たのは『泣いてるやん!謝りなさいよ!』と真横から飛び込んできた女ですね。『謝るだけでいいんだから、こんなもの安いもんでしょ。』と、自分の欲求を満たしてなお余りある充足感に浸れる正義厨ですね。

ともすれば、今後の学校生活でのポジショニングが確約されたようなもんですから、この先『泣いてアピール』なんてまどろっこしいことをしなくて済む。実に経済的です。

そして最も残念な結果に終わるのは最初に『泣いた女』であります。

『自分ひとりで対処できない女』というレッテルが自動的に貼られたワケですから、女たちからは『足手まとい』とされ、そのまま5年も経てばすっかり『同姓から嫌われるタイプ』への道を進むことになる。

やがて『アイツ、なんかっつーと泣いてんな』と厄介者のように扱われ、最終的には敵であったハズの男になびくことでしか自分の立場を確保できなくなっていく。

そして最後、やっぱり損するのは男であります。

謝ったからと言って状況は変わらず、その場しのぎとわかっていながらも往々にしていつも謝らなくてはならないポジションを強制される損な役回りとなります。

この先の5年は『女を泣かせた』ことが心象を悪くし、最も人間がモテたいと思う思春期を『女心もわからない粗野な野郎』というレッテルを貼られて過ごすことになる。

どうせ謝っても許されたことにならないなら謝らなくても同じじゃないかと思うんですが、謝らなければ謝らないで『冷酷』『非道』『下衆』『最低』と格付けされてしまい、そうなると今度は学校生活そのものにも支障を来たすことになりかねません。

意外とその後の人生を決めるかも知れない8歳~10歳、人生のほぼ初手を間違うと軌道修正に追われる思春期になるやも知れません。

男女平等な世の中がやっぱりいいですよ、ホントに。

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