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フューチャーフォン

その昔、『日本初防水携帯』を愛用しておりました。

携帯電話に”世界初”防水機能が付いて、不意の『濡れ事案』から人類が解放された画期的な瞬間でありました。

それまではどうしていたか?なぞ覚えている由もない、最早『やかんに水を入れて火にかけたら湯が沸く』くらい『防水機能』なぞ商品開発にあたって当たり前の事案となりました。

ジーンズの尻ポケットに入れるクセから摩擦によって携帯電話の四隅が擦れて、角に穴が開いている状態で長く使っておりました。その頓着の無さゆえに防水機能は無いに等しい防水機能付き携帯電話になり果てました。

技術が発達し、高機能化したとて、いつでも問題は人間側、その使い方にありました。

そして現代、猫も杓子もスマートフォンの時代、『電話に出るのが怖い』ティーンが急増中という最早『フォン』の機能こそ使わない現在、『スマホ』などという呼称もそぐわない現状ではありましょうが、それでもやっぱり究極は『電話機能の排除』どころか『携帯型端末を持たない生活』であります。

例えば『AIマネージャー』がスケジュールも伝達も何から何まで全て一元管理してくれる時代になるとか、逆に『精神的に世間とは隔絶するスタンス』に移行するとか、『何かあれば電話してください(留守電あり)』と昭和のライフスタイルを貫くとか、周囲は困惑すれど『持たないという解脱』へ向かう究極のシンプルライフの実践でしょう。

現代に生きる人類は実に病的なまでのモバイル端末依存状態にあります。

仕事中だろうからと気を遣って込み入った用件を詳細に文章で送ることで余計に時間を使ったり、なのに誤読されたり、返信が文字だけだったことで不安になったり、読んでるだろうに返事が来ないことでイライラしたり、家に忘れて一日ずっと不安だったり、『故障かな?』の対応をスマートフォンが無ければ出来ないとか…

携帯端末のあり方やその機能は格段と向上しているものの、開発のスピードとその性能にユーザーがまるでついていけてないといった現状でしょうか?

一方で、セキュリティーシステムは日々向上しているんでしょうけれども、『闇バイト』などを通じた犯罪の道具としても格段に都合良くなっておりますし、攻める守るがいたちごっこなのはこれからも永遠に変わらない、ただただ研ぎ澄まされてゆく諸刃の剣でございます。

しかも、ここまで生活の中のど真ん中に入ってくると、その『便利さ』が圧倒的に勝っちゃいますから、もう全然リスクなんて目を瞑っちゃいますしね?

ツールがイージーに便利になればなるほど、ほとんど知りもしない人とも、大した根拠無しですっかり安心してフランクに繋がれる。ある意味『理想的な世の中』であるとは思いますけどね?

『知らない人からの声かけ案件』に対して過敏なほど防御線を張り巡らしていた子育て中のママでさえ、動画でたまたま観たセンセーショナルな陰謀論を展開する『知らない誰か』に無防備になってついてってしまうんですから…

任せれば任せただけ人間がしっかりしてなきゃ、あの頃に思い描いた『未来』とは程遠い未来でございます。

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