優しいね

ごめんね、ぼく。

ごめんなさい。
泣いていたのに、無視していたね。
泣き声も、聞かないで、ふたしてた。

誰が悪いの。
お母さんが、悪いの?
お父さんが、悪いの?

ううん。違うよ。
お父さんも、お母さんも、悪くない。
絶対に、悪くない。

お父さんも、お母さんも、
たくさんのことをしてくれた。
たくさんのお世話をしてくれた。

なんでかな。
ありがとう、って言えないな。

たくさんのことを、してくれたのに、
ありがとう、って言えないな。

だって、悲しいんだもん。
だって、泣きたくなるんだもん。

お父さんもさ、お母さんもさ、
悲しかったんでしょ。
辛かったんでしょ。

なんで言ってくれないの。
なんで言ってくれなかったの。
なんで、そんなに優しく振る舞うの?

ぼくが、つらくなっちゃうじゃない。
ぼくは、ぼくの悲しさを封じ込めなくちゃいけなくなっちゃうじゃない。

もっと怒ってほしかった。
ダメなものはダメって、はっきりいって欲しかった。
なんでそんなに、わかりにくい態度ですましたの?

ぼくは、お母さんを愛してる。
ぼくは、お父さんを愛してる。

生きていくたび、知りました。
どうにもならないことが、あるってことを。

だから、ぼくは知りました。
お父さんと、お母さんが、大切に信じているものを。

でもね。でもね。
でもね。でもね。

ぼくは、とても、いま、悲しいんだ。
泣きたいんだ。

いまの自分を、ぼくは大切にしようとしていることが、ぼくはうれしい。

ぼくは、優しくて、汚いよ。

ぼくの優しさは、お父さんとお母さんの、おかげ。
ありがとう。

ぼくの汚さは、お父さんとお母さんの、せい。
ごめんね、って言いたいけれど、、

ぼくは、憎んでる。
ぼくは、生まれてきた、この世界を憎んでる。
とても激しく、すべてぶっ壊したいくらいに、憎んでる。

だからかな?
なんでかな?
ぼくが、病気になったのは。

でもね。聞いて。

ぼくは、すべてをぶっ壊したいのと同じくらい強く、すべてが好きなんだ。
狂おしいくらい、愛してる。

ぼくはね、秘密だったけどね、
凶悪な殺人者のね、気持ちがわかるんだ。

同じようにね、
淋しくてね、
哀しかったよね、
ひとりで泣いてる、
子どもたちの気持ちがわかるんだ。

哀しいね。
切ないね。

みんな、幸せで、あって。

助けてくれた人、
何人かいるよ。
ぼくを助けてくれた人。

どうしよう、ってくらい。
すみません、っていうくらい。

言葉になんない。

だから、ぼくは信じてる。
大切なものを信じてる。

なにを、ぼくは言いたいのかな。

生きてるってことが、
うれしいのかな。

あ、生きてるな、ぼく。

#詩 #エッセイ #優しさ #お父さん #お母さん #統合失調症 #ありがとう #ごめんね

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