第6回AKB48グループ歌唱力No.1決定戦 決勝大会感想
前回大会では、予選からファイナルに至るまで8割から9割方予想通りの結果になって、それはとりもなおさず、特に波乱もなく順当な結果に落ち着いたということだったわけなのですけれども、今大会は一転して、予想は付け難いわ外しまくるわで、波乱の大きな大会でした。
もっとも、そのぶんワクワクが増して楽しかったのではありますけれども。
以下、決勝1曲目の歌唱順に各メンバーについての感想を述べたいと思います。
Aグループ
秋吉優花(HKT48)
彼女は極端ですよね。
予選では演歌に挑戦して、「天城越え」を成り切りで歌ったかと思いきや、決勝では一転して結構置きにきた選曲でしたからねぇ……。
少々彼女らしくない感じはありました。
もしかしたら、歌唱順がトップバッターだったからなのでしょうかね。
もちろん歌唱自体は申しぶんないのですけれども、もう少しパンチの効いた曲で勝負をかけてくるのではないかと期待していただけに、やや拍子抜けしたところはあります。
次回リベンジしてほしいですよね。
加藤皐生(SKE48)
選曲はこれで良かったのでしょうかねぇ……。
なんだか背伸びしすぎているようで、もう少し明るいはじけた感じの曲でも良かったのではないかなという気はしました。
ただ、華奢な見た目とは裏腹に、とても声の張れる人ですから、発声のコントロールがしっかりできるようになってくると、ぐっと伸びてくることは間違いないのでしょう。
次回以降の成長振りを楽しみにしておきましょう。
倉本羽菜(SKE48)
彼女の歌声はとても特徴的ですよね。
その歌声に選曲はマッチしていたとは思うのですけれども、緊張からなのか、やや不安定に感じるところもありました。
それほど大きく目立つというわけではないのですけれども、大会のレベルがこれだけ高くなってくると、そうしたほんの些細な点がマイナスに評価されてしまいますから、歌う側としても大変ですよね。
大塚七海(NGT48)
本当になんで今まで出てこなかったのでしょう?
6回目にしてようやく初出場とは、いったい今まで何をためらっていたのでしょうかね。
もしかしたら、こんな感じで食わず嫌いのあまり不参加を決め込んでいるメンバーも少なからずいるのではないでしょうか。
小難しいことなど何も考えずに、とりえず出てきてみれば良いのに。
やってみなければどう転ぶのかはわからないのですから。
歌が得意ではないと自分で勝手に思い込んでいたりするのかもしれませんけれども、あの池田裕楽ですら、歌が上手いとは自分ではまったく思っていなかったというのですから、わかっているようでいて自分のことを一番わかっていないのは自分だったりする。
それにしても、大塚七海は初出場でファイナルまで行ったのですから、大したものです。
素直できれいな歌声は、とても聴き心地が良い。
そんな彼女が、もっと毒気のある曲やエモーショナルな曲を歌ったらどんな感じなんだろうかというのは、興味が湧いてきますよね。
ルル・サルサビラ(JKT48)
彼女もエムミーも日本語で歌いましたけれども、これはそういう縛りがあったからなのでしょうかねぇ……。
そのわりには、清水紗良がQueenの「Bohemian Rhapsody」を英語で歌っていましたから、どうなんでしょうか?
ひょっとしたら、特に縛りはなかったけれども、日本での大会開催ですから、本人たちが気を遣って、あるいはもしかしたら戦略的に日本語の歌唱を選択したのかもしれませんね。
いずれにしても、日本語での会話はあいさつ程度しかできないようですけれども、歌うと結構流暢な日本語でしたから、かなり歌い込んできたのでしょう。
しかも歌詞の意味もちゃんと理解してきているようで、特に2曲目は、かなり気持ちが入り込んでいる様子がありましたね。
この大会に向けてとても頑張ってきたのだろうなというのが感じ取れて、とても好感が持てました。
ファイナリストLIVEを大いに楽しんでほしいですよね。
Bグループ
曽川咲葵(STU48)
かなり緊張していたのでしょうね。
歌唱が不安定になることがあって、予選のときほどにも自分の持てる力を発揮できていなかったのではありませんかね。
まあもっとも、緊張するなというほうがどだい無理な相談で、生バンドの演奏で客席を前にして一人で歌うなんてことは、生まれて初めてのことでしょうから。
今回、決勝ステージにも立って、いろいろと得るものもあったでしょうから、次に生かして頑張ってほしいですね。
もともと歌う力は持っている人なのですから。
成田香姫奈(AKB48)
彼女は若手の中では年長の部類に入る人だからなのか、比較的落ち着いていたように見受けられました。
やや特徴のある歌声が彼女独特の世界観を作り出しているようで、引き込まれますよね。
わりと歌唱も安定していましたし、心地の良い歌声でした。
彼女は、今後決勝常連になっていくのではありませんかね。
坂本愛玲菜(HKT48)
彼女は凄いですよね。
何が凄いのかというと、6大会連続で決勝に進出していて、しかも常に予選で15位以内に入っている。
そんな人は彼女ただ一人だけなのですよね。
2度目のファイナリスト返り咲きというのも、彼女だけではありませんかね。
彼女は、初めのころこそ声量がやや足りない印象があって、歌唱も不安定になるところがあったのですけれども、あれからずいぶんと声量もアップして安定感もすごく良くなってきていて、ずいぶんと努力してきたのでしょうね。
1曲目は、彼女らしい優しい歌声で、安心して聴き入ることができました。
そして、2曲目はミュージカル曲でした。
チャレンジしてみたとのことですけれども、今なお進化し続けようとしているその姿勢は素晴らしいですよね。
三村妃乃(NGT48)
彼女は、やはり強かった。
歌と向き合っていると言えば聞こえは良いですけれども、彼女の場合は、もがき苦しみながら歌と格闘しているという感じで、闘う人のイメージなのですよね。
そこがまあ彼女の魅力ではあるのですけれども。
彼女は、こういった大きなステージになればなるほど、存分にその持てる力を発揮してくる人ですから、彼女の真価はそこを見ないとわからないのですよね。
予選で酷評していた審査員の今井さんも脱帽していたように。
そんな予選での酷評を受けて、1曲目はもしかしたら得意とするミュージカル曲を久々に持ち出してくるのではなかろうかと思っていたら、結構クセの強い曲でチャレンジしてきましたよね。
まあもっとも、こういったクセの強い曲も以前から歌ってはいましたけれども、ここでそれを持ってくるあたりは、やはり勝負師なのですよね。
2曲目の「人生は夢だらけ」は、曲の感じが結構ミュージカル調で、彼女の真骨頂が示されていたのではありませんかね。
最終結果は3位と、過去最高順位まで戻ってきました。
次に狙うのは「優勝」ということになるのでしょう。
倉野尾成美(AKB48)
歌唱でステージに登場したときには、いつになく顔がこわばって見えたのですけれども、強心臓と思われる彼女でも、さすがに緊張していたのでしょうかね。
あと、ひょっとしたらのどの調子が良くなかったのでしょうか?
予選のときのような伸びやかな歌声は聴かれませんでしたよね。
歌唱の安定感にもやや欠けるところがありましたし……。
少なくとも、彼女本来の力が十分に発揮されていたとは思えませんでした。
彼女は歌える人なのですから、次回ぜひともリベンジしてほしいですよね。
Cグループ
鈴木凛々花(NGT48)
彼女も選曲はこれで良かったのでしょうかねぇ……。
彼女のキャラ的には良かったのかもしれませんけれども、コンテストの歌唱として勝ちに行くのであれば、もう少し別の選択肢があったのではないかなという気はしました。
まあしかし、今回決勝まで進んでしっかりと爪痕は残せましたから、次回以降どんな歌唱を展開してくるのか、歌える人ですしこれからの人ですから期待しておきましょう。
岡村梨央(STU48)
素晴らしい歌唱でしたね。
抜群の安定感と抜群の表現力。
池田裕楽がどちらかというと天才型であるのに対して、岡村梨央は徹頭徹尾努力型の人なのですよね。
見た目は可愛らしい印象を受けますけれども。
やはり、幼いころよりASH(アクターズスクール広島)で鍛えられてきたというのが大きいのでしょう。
彼女の話によると、ASHというのは、体系立った教育カリキュラムみたいなものがあって手取り足取り教えてくれというわけではなくて、あるのは切磋琢磨する競争環境だけなのだそうです。
何か特定のスキルを身に着けたければ、自ら専門の先生のところに教えを乞いに行くシステムらしくて、ASHに入ったからといって誰も何も教えてはくれないし、自ら学び取っていかないと置いていかれるだけという……。
なかなか厳しいですよね。
そんなところに長いこと身を置いていたわけですからねぇ。
今大会のSTUからの決勝進出者の4人中3人がASH出身者ですし、これまでも池田裕楽をはじめASH出身者が常に上位にランクインしていることを見ても、この大会に対するASH出身者たちの親和性が高いということは言えるのかもしれませんね。
競争の中で切磋琢磨してスキルを磨いていくという点で。
さて、初出場の前回は、体調を崩しながらも6位でファイナルまで行きました。
今回は、体調も万全で歌唱もさらなる進化を遂げて、見事優勝トロフィーを手にしたわけです。
特別な才能があったわけでも運が良かったわけでもなく、努力によって勝ち取った栄冠なのですよね。
大会史上最年少での優勝。
まだ15歳ですから、これからまだまだ進化していくことになるのでしょう。
ご褒美のソロ曲も、どんな曲になるのか楽しみです。
最上奈那華(HKT48)
彼女の歌声は、とてもきれいですよね。
個人的な印象としては、予選の歌唱よりも決勝1曲目の歌唱のほうが良かったのではないかなという気がします。
もしかしたら彼女も、大きなステージのほうが本領を発揮しやすい人なのでしょうかね。
もともとHKT加入前から芸能活動はしていましたし、ステージ慣れしているということもあるのでしょうか。
歌に関しても、HKT加入前から評判は良かったようですし。
今大会の予選や決勝では、わりとしっとりとした曲を歌っていましたけれども、他のパターンの曲を歌ったらどんな感じになるのか聴いてみたいですね。
田口愛佳(AKB48)
ようやくファイナルにまでやって来ました。
彼女は歌が上手いなと思って目を付けて以来、必ずファイナリストになると思ってずっと待っていたのですけれども、長かったですねぇ……。
力はあるのだけれども、いかんせん自信のなさが災いして、本人がなかなかその気になってくれないところがあったのですよね。
けれども、前回大会で審査員特別賞をもらい、ファイナリストLIVEに参加したことが大きなきっかけになったのではありませんかね。
やはり、あのLIVEに参加したメンバーは皆、何かしらの刺激を受けて帰ってくるようで、彼女も何かをつかんだのでしょう。
今回は本気でファイナルを目指してくれたようで、見事手中に収めることができました。
前回大会で審査員特別賞をくださった黒沢さんをはじめ審査員の方々には感謝ですね。
彼女は、とても表現力の高い歌い方をしますし、独自の世界観をしっかりと自分の中に作り出せる力を持った人ですから、やっとふさわしいポジションにやってきたという感じでしょうか。
エムミー(BNK48)
彼女もルル・サルサビラと同様に日本語での歌唱が流暢でしたね。
予選の歌唱のときから、やけに滑らかな日本語で歌っていて、もしかしたら日本語を喋れるのかなと思ったのですけれども、そうではなかったようですね。
日本語は喋れないけれども、ひょっとしたら日本の歌が好きで日頃から聴いたり歌ったりしているのかもしれません。
そのくらい、日本の歌を歌い慣れている感じがしました。
Dグループ
豊永阿紀(HKT48)
彼女の今大会の歌唱はとても素晴らしかったですよね。
予選に関しては1位ではないかと個人的には思うくらい過去一で素晴らしい歌唱でした。
決勝1曲目の「地球儀」も素晴らしかった。
もしかしたらDグループ1位通過は彼女なのではないかなと思ったのですけれども、結果は同点1位が2人いて、彼女は1点差の3位という……。
Dグループはファイナリストクラスの人が集中してしまっていたのですから、もう1点差なんて誤差の範囲で、いっそのこと同点1位3人で、Dグループからは3人がファイナル進出ということでも良かったような……。
まあ何にせよ、審査員特別賞をもらいましたから、ファイナリストLIVEには前回に引き続き出場ということで、彼女としては、それだけでも嬉しいのではありませんかね。
清司麗菜(NGT48)
覚醒しましたねぇ……。
この大会ではずっと予選落ちを繰り返していて、苦杯をなめ続けていましたけれども、前回大会のユニット戦で優勝してファイナリストLIVEに参加したのが大きな転機になったのではありませんかね。
自信が付くと、これほどまでに変わるものかという……。
今大会で、出場者20人中で最も楽しんでいたメンバーはおそらく彼女だったのではありませんかね。
もちろん緊張はあったでしょうけれども、それ以上に楽しさが勝っていたように見て取れました。
のびのびと楽しそうに歌っている彼女の姿を見ていると、こちらまで楽しい気分になってきますよね。
岡田あずみ(STU48)
こう言って良いのかどうかわかりませんけれども、彼女は不運でしたよね。
歌唱は、彼女らしい優しく丁寧な歌い方で、特に悪いところもなく素晴らしかったと思うのですけれども、いかんせん同グループの他の4人が皆ファイナリストLIVEに出場したことのある強メンの上に、歌唱においてもある種アクの強い面々ですから、インパクトを残すとか印象付けるとかといった点では、かなり不利だったのではありませんかね。
いっそのこと、これまでの歌い方をガラリと変えて、「岡田あずみがこんな歌を歌うんだ」とか「岡田あずみがこんな歌い方をするんだ」とか言われるような挑戦的な選曲をしていたら面白かったかもしれませんね。
清水紗良(STU48)
仕掛けてきましたねぇ……。
何かやりそうな気配は感じていましたけれども、やはり予選審査で思わぬ酷評をされたのがカチンと来たのでしょうか。
本人としては自信もありましたし、上位で(あわよくばトップで)予選を通過する腹づもりだっただけに、予選審査の後、かなり落ち込んでいましたね。
彼女は、難しい歌を上手く歌わせたらピカイチと言って良いくらい歌は上手いのですよね。
ただ、予選審査で今井さんがおっしゃっていた通り、完璧ではあるのだけれども物まねになってしまっている。
つまりオリジナリティがない、もしくは自分なりの表現に欠けている。
個性を出すためには、豊かな表現力が必要になってきますからねぇ。
そこはたしかに彼女にとってウィークポイントなのかもしれません。
上手いのだけれども、あまり感情移入をせずに冷静に歌ってしまうという……。
そこでというわけでもないのかもしれませんが、決勝ではQueenの「Bohemian Rhapsody」を英語で歌ってきました。
英語での歌唱は、過去回に秋吉優花がチャレンジして以来のことではありませんかね。
もともと清水紗良は英語もできますし、たしかスペイン語もできたはず。
まあそんなわけで、英語での歌唱は彼女にとっては何ら問題ないのでしょう。
注目すべきなのは、彼女の歌唱としては、これまでになくエモーショナルなというよりもむしろファナティックな感じで髪を振り乱して感情を露わにした歌い方をしてきたことでしょうか。
こんな歌い方をしている彼女を見たのは初めてでしたね。
もしかしたら、予選審査での酷評を受けて、こういったチャレンジをしてみたのかもしれません。
賢い人ですから、おそらく自分でもわかっているのでしょう。
いずれにせよ、次につながるようなチャレンジをしてきたのは良かったのではありませんかね。
ファイナル発表のときに悔しそうな表情をのぞかせていた彼女が印象的でした。
村山彩希(AKB48)
彼女は、こちらが思っていた以上に、この大会に対して熱くなっていたようですね。
まあ、「優勝を目指します」とは言っても、彼女はいわゆる歌唱力ガチ勢というわけでもありませんでしたし、多分にリップサービス的なものだろうくらいに考えていたのですけれども、その後の彼女の言動を見聞きするにつれ、かなり本気で挑んできているということが感じられるようになって、とても意外な感じがしました。
選抜総選挙への立候補を頑なに拒絶し、岡田奈々と同様に彼女もまた、人と競ったり順位付けされたりするのを嫌う人だったのですよね。
そんな人が、この大会には遅まきながらも積極的に参加するようになり、勝負にもこだわって本気で優勝を目指すようになるとは、思いもよりませんでした。
けれども、彼女をしてそれほどまでに熱くさせるものがこの大会にはあるということですから、それは何だか嬉しいことですよね。
どうして彼女がそこまで熱くなれるのか、この大会への不参加を決め込んでいるメンバーたちは考えてみてほしいものです。
さて、歌唱のほうですけれども、1曲目はいつもの彼女らしい安定した歌いっぷりで、さすがだなと感心させられましたけれども、2曲目は、かなり力強く気合の入った歌い方をしていましたね。
曲自体がそういった雰囲気の曲ではあったのですけれども、それを踏まえても、彼女自身の内面から滲み出てくる気迫が感じられるような歌唱で、息をのむ思いがしました。
最終結果は2位と、大健闘だと思うのですけれども、結構悔しがっていたのが、嬉しいですよね。
本気で悔しがっている。
きっと次回また本気で優勝を狙って挑んでくるのでしょう。
最後に
さて、終了した今大会の最大の注目ポイントは、何と言ってもNGTの大躍進ということになるのでしょう。
これまでずっと三村妃乃がたったひとりでNGTを背負って健闘してきていたのが、今回は4人が予選を突破し、そのうちの3人がファイナルに残ったわけですから、素晴らしい結果を残しましたよね。
三村妃乃がずっと夢見ていた光景が現実のものとなったわけです。
こうなってくると、かのNGTの運営サイドでも、大きな結果を残した歌唱力組の面々に対して、さすがに何かしら曲を用意するなりしないことには、NGTファンの人たちも黙ってはいないのではありませんかねぇ……。
第7回大会が開催されることを祈りつつ……。
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