第5回ファイナリストLIVEの感想
2023年7月25日
立川ステージガーデン
今回のライブの全体的な印象ですけれども、前回のファイナリストLIVEに出演したメンバーは3人しか残っていませんし、返り咲きが秋吉優花と豊永阿紀の2人、残りの7人が初出演ということで、顔ぶれはだいぶ新しくなっている。
時間的にはコンパクトにまとめられていましたけれども、出演者が増えたぶん、にぎやかな感じが増して、前回よりも楽しさやクオリティがさらにアップしていた。
オープニング曲
だいたいいつもオープニング曲には、やたら難しい曲を持ってくる傾向がありますよね。
第3回のときの『I Will Follow Him』にも度肝を抜かされましたけれども、今回は『世界はあなたに笑いかけている』ということで、これまた難度の高い曲でした。
こういった難しい曲を持ってきても、しっかりと仕上げてくるあたりはさすがだなと、ただただ感心してしまう。
ゴスペラーズ・黒沢さんの的確な指導の賜物でしょうかね。
新披露曲
ソロ歌唱1曲目は、岡村梨央による『夢見る少女じゃいられない』。
みごとにライブ冒頭の盛り上げ役を果たしていました。
ポーズから始まる歌唱は、もしかしたら彼女の定番になるのでしょうか。
それにしても、14歳とは思えないくらいステージ慣れしている感じがする。
彼女自身も重視しているという表現力も高い。
さすがに歌声にはまだ子供っぽさが残っていますけれども、声量はありますし、低音域を得意としていますから、これから大人になっていくにつれてどんなふうに歌声が変化していくのか、楽しみな人です。
『未来のひとへ』を歌った浅井七海ですけれども、リラックスしてのびのびと歌っていました。
彼女は、表情を見ていると緊張しているのかどうかがわりとわかりやすい。
やはり大会のときは、その緊張が表情に現れてしまう。
今回のライブでは、そんな張り詰めた感じはまったくなく、本当に楽しそうに、というよりも幸せそうに歌っていました。
ずっと悲願であったこのライブですから、この瞬間を噛みしめながら歌っていたのでしょう。
澤田奏音の『ピーチソーダ』には驚かされました。
まさか自作曲を持ってくるとは。
こういう手もありなのですね。
才能があれば、自分で作った曲を一流ミュージシャンの生バンドの演奏で歌える。
最高のステージではありませんか。
このブロックの最後は、秋吉優花による『第ゼロ感』。
客席もかなり盛り上がりましたね。
本人は、こういうタイプの曲はあまり歌わないと言っていましたけれども、あのハスキーがっかた声とパワフルな歌声は、まさにこういったロック調の曲こそ合っているのではありませんかね。
ユニット曲
ユニット・ブロックの1曲目は、村山彩希、浅井七海、三村妃乃による『アイドル』。
三村妃乃に関しては、もともとアニオタですし、癖の強いアニソンを歌うこともありましたから、いかにもという感じではありますけれども、村山彩希や浅井七海がこういった曲を歌うのを意外に思った人も多かったのではありませんかね。
特に浅井七海に関しては、大会での歌唱の印象が強い人にとっては、「こういった曲も歌うんだ、こういった歌い方もするんだ」と新鮮な感じで受け止められたかもしれません。
村山彩希は、必ずしも自分の歌に納得はしていないみたいですね。
前回、初めて大会に参加して、審査員特別賞でファイナリストLIVEにも出演しました。
そこで、歌に向き合うということに彼女は目覚めたわけです。
このときは、次回大会に参加するかどうか問われても「自信がついたなら……」と、ややためらいがちな返答ではありましたけれども、今回同じ問いに対して「出ます」と断言しているのですから、歌にこだわっていくということに大きく意識が変わっていったのでしょう。
古畑奈和がそうであったように、そして岡田奈々がそうであったように……。
みんな最初は、競い合うのは嫌だの順位を付けられるのは嫌だのと言って渋っていたけれども、ファイナリストLIVEを経験することを通じて意識が変わっていった。
岡田奈々に至っては、今回の放送の中で「もう少し頑張れば良かった」などと口にしていますしね。
そう考えると、ファイナリストLIVEには、不思議な魔力がありますよね。
なぜ、三村妃乃が他のNGTのメンバーたちをファイナリストLIVEのステージに連れていきたいと言ったのか、わかるような気がする。
池田裕楽、新井りりのによる『初恋サイダー』ですけれども、池田裕楽がコテコテのアイドル・ソングを歌うというのが、なぜだか新鮮に思えてしまう。
本業であるにもかかわらず……。
本人も、一番苦手なタイプの曲だと言っていますからねぇ。
まあ、ほとんど新井りりののムチャ振りと言っていいのかもしれませんけれども、見ていて楽しかった。
李始燕と岡村梨央による『夏の終わりのハーモニー』も素晴らしかった。
2人ともパワフルな歌い方をする人ですけれども、この曲では本当に奇麗にハモっていました。
それだけに、李始燕がこんなに早くに卒業してしまうというのが惜しまれてならない。
彼女の歌声が、この先どんな進化を遂げていくのか、とても楽しみにしていたのですけれども……。
豊永阿紀と田口愛佳は『目抜き通り』を歌っていましたけれども、この2人、感情表現豊かな歌い方をするという点では似たもの同士ではありますけれども、意外と良いハーモニーでした。
グループは違えど、2人とも2016年加入ということで、同期でもある。
ちなみにこの曲では、浅井七海がサックスで加わっていましたね。
過去曲
過去曲披露は、今大会で優勝した2組のみでした。
池田裕楽は『花になれ』を歌いましたけれども、やはり本人の中でも一番思い入れのある曲なのでしょう。
なにせ、自分自身を1段ステップアップさせた曲でもありますから。
今回の歌唱は、前回大会の決勝で歌ったときよりも洗練された歌い方をしていて、まるで自分の持ち歌であるかのような安定感抜群の歌唱でした。
前回歌ったときのような感情がほとばしるような歌い方も、悪くはないと思うのですけどね。
NGTチームは、当然のごとく『好きだ。』でしたね。
この曲は通算3回目の歌唱になるのですけれども、1回目は決勝2曲目に緊張感の中で歌い、2回目は優勝を決めて最後に感極まる中で歌い、そして3回目は今回のライブで生バンドをバックに幸せな気持ちに包まれて歌っている。
しかもこの3回目には、バンドメンバーとして、またしても浅井七海がサックスで加わっている。
なんとも贅沢な光景ですよね。
彼女らを見ていると、今回のユニット戦は大成功だったのではないかと思えてくる。
記念回ということで行われたユニット戦ですけれども、できることなら次回以降も続けてほしいものです。
個人戦に出場するよりも心理的なハードルは低いでしょうから、まずは試しにユニット戦に出てみるというのでも良いですから、多くのメンバーにこの大会に参加してもらいたいですね。
48グループ・メドレー
今回は国内6グループ揃い踏みで良かった。
前回はNMBが欠けてしまっていましたから……。
それはさておき、楽曲のほうですけれども、NMBの『初めての星』は良かった。
気のせいかもしれませんが、李始燕が心なしか涙ぐんで歌っていたような……。
いったいどんな心境でこの歌を歌っていたのでしょうか。
NGTの『渡り鳥たちに空は見えない』も良いパフォーマンスでした。
3人バージョンの振りを考えて、振り付きでの歌唱にしたと三村妃乃が言っていましたけれども、清司麗菜が歌もダンスも両方いけるパフォーマーですから、そこをアピールしたかったのだとか。
STUは『夢力』。
池田裕楽と岡村梨央ですから、言うまでもなく歌唱は完璧。
岡村梨央は、いずれ池田裕楽を脅かすような存在になるかもしれませんね。
なにせ、まだ14歳ですから、いったいどれほどの伸びしろがあるのやら……。
本編エンディング曲
本編最後は『はじまりの唄』。
メンバーが12人に増えたということもあって、今回はやらないつもりだったと竹中Pが言っていましたけれども、それはありえませんよね。
歌唱力No.1決定戦から生まれたこの曲は、極めて象徴的な曲ですから、ファイナリストLIVEで歌わないなどという選択肢はないと思う。
ファイナリストの顔ぶれが変わっていったとしても、その都度そのときのファイナリストたちによって歌い継がれていくべき曲なのではありませんかね。
アンコール曲
1曲目は、池田裕楽がリクエストしたという『Maxとき315号』。
優勝特典のハワイ旅行をともにして、NGTチームの面々とはずいぶんと仲良くなったようで、そういった縁もあってのことなのでしょう。
この曲を、プロの生バンドの演奏で、48Gを代表する歌うまメンたちが圧倒的な歌唱力で歌うわけですから、これを観たNGTのメンバーやファンの人たちは、みんな涙を流していたのではありませんかね。
実はこの曲、第2回ファイナリストLIVEのときにも、本編最後の曲として歌われている。
そして、このときの48GメドレーのNGT曲として、三村妃乃が『世界はどこまで青空なのか?』を歌っている。
第1回大会では、NGTは全滅して決勝には誰も進出できませんでした。
けれども第2回大会で、無名の研究生であった三村妃乃が、いきなり3位に入賞したわけです。
そこに至るまでの物語を経ての『世界はどこまで青空なのか?』からの『Maxとき315号』だったのですよね。
このときが、歌唱力No.1決定戦の本当の魅力に気づいた瞬間でもありました。
この大会は、単なる歌うま選手権ではなく、そこに懸ける個々のメンバーたちのそれぞれの物語が紡がれているのだという。
今回のファイナリストLIVEにおける『渡り鳥たちに空は見えない』からの『Maxとき315号』にも、あのときと同じ感覚がありました。
それは、ユニット戦のNGTチームが、歌唱力No.1決定戦の魅力をみごとに体現していたからなのですよね。
そしてその中心には、またしても三村妃乃がいる……。
アンコール2曲目、このライブ最後の曲は恒例の『また あなたのことを考えてた』。
ラストの曲としては、ぴったりとはまりますし、良い曲でもあるのですけれども、そろそろ別の曲に変えても良いのではないかなとは思う。
この曲は、グループ横断的な歌うま選抜による楽曲ですから、その意味合いから言っても、ふさわしい曲であることに異論はないのですけれども、ややマンネリ感が漂い始めているような気もする。
ちなみに、代替曲として、AKB48の『運命の歌』を推薦しておきます。
新世代のファイナリストたちには、こちらの曲の方がふさわしいのではありませんかね。
ひとつマイナスポイントをあげるとすれば、この曲はAKBの曲であって、グループ横断的な曲ではないということでしょうか。
現状、グループ横断的なイベントとしては、歌唱力No.1決定戦が唯一のものになるわけですから、そこの部分を強調する何かがほしいところではありますからね。
最後に
前回に引き続き会場となった立川ステージガーデンですけれども、ひとつ難点をあげるとするなら、1階席は床がフラットなため、座る席によってはステージがよく見えないという……。
もう少し良い会場はないものでしょうかねぇ。
さて、第5回ファイナリストLIVEも終わって、次の第6回大会の開催はどうなるのでしょうか。
いろいろと困難な面があるのは、なんとなくわかりますけれども……。
まあ、この大会にひとかたならぬ情熱を傾けている竹中Pのことですから、間違いなく開催にはこぎつけてくれることでしょう。
出演者
【個人戦・ファイナリスト】
池田裕楽(STU48)
李始燕(NMB48)
秋吉優花(HKT48)
浅井七海(AKB48)
村山彩希(AKB48)
岡村梨央(STU48)
豊永阿紀(HKT48)
澤田奏音(SKE48)
【個人戦・審査員特別賞】
田口愛佳(AKB48)
【ユニット戦・優勝】
三村妃乃(NGT48)
清司麗菜(NGT48)
新井りりの(NGT48)
セットリスト
M00 『Overture(BAND Ver.)』
M01 『世界はあなたに笑いかけている』 Little Glee Monster
全員
M02 『夢見る少女じゃいられない』 相川七瀬
岡村梨央
M03 『シンデレラボーイ』 Saucy Dog
村山彩希
M04 『幻』 My Hair is Bad
田口愛佳
M05 『未来のひとへ』 TRUE
浅井七海
M06 『Mela!』 緑黄色社会
三村妃乃・清司麗菜・新井りりの
M07 『言葉はさんかく こころは四角』 くるり
豊永阿紀
M08 『ピーチソーダ』 澤田奏音
澤田奏音
M09 『語りつぐ愛に』 薬師丸ひろ子
池田裕楽
M10 『レインボーローズ』 山本彩
李始燕
M11 『第ゼロ感』 10-FEET
秋吉優花
M12 『アイドル』 YOASOBI
浅井七海・村山彩希・三村妃乃
M13 『初恋サイダー』 Buono!
池田裕楽・新井りりの
M14 『おもかげ』 milet×Aimer×幾田りら
秋吉優花・澤田奏音・清司麗菜
M15 『夏の終りのハーモニー』 井上陽水・安全地帯
李始燕・岡村梨央
M16 『目抜き通り』 椎名林檎とトータス松本
豊永阿紀・田口愛佳/サックス:浅井七海
M17 『花になれ』 指田郁也
池田裕楽
M18 『好きだ。』 Little Glee Monster
三村妃乃・清司麗菜・新井りりの/サックス:浅井七海
M19 『どうしても君が好きだ』 AKB48
浅井七海・村山彩希・田口愛佳
M20 『花の香りのシンフォニー』 SKE48
澤田奏音
M21 『初めての星』 NMB48
李始燕
M22 『君はもっとできる』 HKT48
秋吉優花・豊永阿紀
M23 『渡り鳥たちに空は見えない』 NGT48
三村妃乃・清司麗菜・新井りりの
M24 『夢力』 STU48
池田裕楽・岡村梨央
M25 『はじまりの唄』 Nona Diamonds
全員
EN1 『Maxとき315号』 NGT48
全員
EN2 『また あなたのことを考えてた』 AKB48
全員
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