センサー社会になるシナリオ

今更偉そうに言うことではないが、近い将来センサー社会になると思っている。

というのも、現代IT化によって、多くの処理がITに置き換わったが、それでもWebサイトで明示的に情報をインプットとして入れたものに対してしか処理を通したアウトプットが返ってこない。

私たちが解決して欲しい問題は、そういった明示的にわざわざ情報を入れなければ判断できないものだけではない。

例えば

X. 家に帰ったタイミングで電気をつけてくれる
Y. 長年の会社での細やかな気遣いを記録し、人事評価に加えてくれる
Z. 言い争いになったときに、「そんなの証拠あるのかよ」と言い逃れようとした人間に証拠を提示できる

こういったことは事前にことさらIT機器に情報を入れて行動・判断・記録といったいアウトプットを出すタイプのものではない。
Xだけはタイミングやシチュエーションを条件づけすれば実現可能だが、Y,Zといった、とっさに情報が必要になったタイミングでアウトプットを出すのには、普段の生活を記録・それに伴う判断をしてもらう必要がある。

そこにセンサーが必要なのだ。それは監視カメラという形でもいいし、音声など特定の入力に対する感覚器官でも構わない。

ただ、実際にセンサー社会になると言うと嫌悪する人は多い。それはパノプティコンのような監視社会になることを恐れての嫌悪である。
(「ネットって怖い」って言っていた2000年代を思い出す)

このような嫌悪を乗り越えてセンサー社会が実現されるシナリオがあると思っているので書いてみる

A. 個々の製品がその製品特有のセンサーを付け、社会にセンサー商品があふれる
B. セキュリティの目的でセンサーが国中に配備される
C. 中国で監視システムイノベーションが起き、その利便性から世界中から中国製品を買わざるを得なくなる

A. 個々の製品がその製品特有のセンサーを付け、社会にセンサー商品があふれる

これはもう実際に起きているともいえるし、実際緩やかに広まっていくシナリオとしてはこれが現実的である。

iPhoneの歩数計や、AppleWatchの心電図機能などのように、特定の機能を実現するために、その機能に必要な情報を収集するというものだ。

Web会議の議事録自動生成や会議内容から判断を下すなどをする場合には、会議の音声記録や、表情も見るならビデオでの記録が必要となる。
初めはこういったように、収集される内容が限定的で、用途も明確なものに対して、納得した上で生活情報を譲渡するということが行われるだろう。

AmazonEchoが密かに盗聴のようなことをしていたと何年か前に問題になった。音声をインプットとする商品としては納得の行動である。
将来的には利便性のために喜んで生活情報を盗聴してもらう未来だったり、盗聴してもらうのがサービスを利用する上で普通と思われる未来だったりがくることは想像に難くない。

ついでに、そのような進歩が成された際には、個々の商品がセンサーを実装するのが過多であると判断され、統合的にセンサー機能だけを行う商品が登場し、個々の商品はそのセンサーから情報を受け取って処理や判断を行うこともありえなくない。まぁその時代には、安くない利用料金を商品開発者がセンサー企業に払うことになるんだろう。もしかしたらiPhoneとかがその役割を担うかもしれない。

B. セキュリティの目的でセンサーが国中に配備される

感傷的な嫌悪があっても、国家の安寧という旗印のもとその嫌悪を跳ね除けるという形で実現するシナリオもある。

事実監視カメラが日本中多くの場所に配備されている。

今は公道が多いが、検知したい内容によって、センサーがおびただしく増える可能性もある。

それこそPSYCHO-PASSのシビュラシステムが実現されたシステムに近い。

『22世紀の民主主義』に、民意吸い上げの手段として、普段の会話を意思決定のインプットにするという記述があったが、そういうことが起こる未来もあるかもしれない。

実際、「助けて」って思ったときに、わざわざ110に電話をかけたり警察に行って状況を伝えなくても、勝手に伝わってくれる方がコストが低いし、コミュニケーション不足によって助けてもらえない可能性は減りそう。

C. 中国で監視システムイノベーションが起き、その利便性から世界中から中国製品を買わざるを得なくなる

これは実際はA,Bのあわせ技である。

実際中国では、生活全てと言わずとも、他国と比べてBの配備率は高そうで、Aによる生活情報の収集を行うハードルも低い。

その結果、この領域の発展に他国が足踏みしている間に、この領域で2,3周イノベーションを起こし、
他国でも使えるよう、クリーンにした製品を作成し、他国ではその利便性からそれを買わずにはいられないという状況になる未来は無いとは言い切れない。

まとめ

センサー社会になるとは思うけど、多分その未来はそんなに近くないと推察される。

10年かかって、クリーンな領域でかなり進歩するけど、問題解決できるポテンシャルからう言うと少し進む程度かな、と思っている。
それこそ長い時間軸でいうと、Cが現実的なのかもしれない。

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