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「作って学ぶScratchドリル」執筆後日談(大人向け)

はじめに

この記事は、身も蓋もない言い方をすると、以下の本の宣伝です。

ただ、いわゆる宣伝っぽい記事を書いても読者は読む気がしないと思いますので、執筆の企画時の流れや、この本にとって重要な部分であったデザイナーの仕事に関すること、それから、コンテンツで工夫した点などを記載することにします。

「作って学ぶScratchドリル」って何?

さきほど、リンクを貼りましたが、主に子ども向けのプログラミング言語であるScratchの入門書です。

以下のような感じで、なるべく文字を少なくし、絵や図、それからキャラのセリフを通して、短時間の学習を重ねていくスタイルの本です。

企画の経緯

Scratchの本は、すでに諸先輩方が多数の本を執筆されていて、わかりやすいものも多いのですが、そんな中、なんでこの本を書こうと思ったかというと、単純に「書いてみたい」と思ったからです。

私はCoderDojo白河CoderDojo三春で子どもたちにScratchを教えることがあるのですが、そのときの学習サポートに使いやすい本を自分でも書こうと思ったのです。

もし執筆の大きなきっかけとなった点を強いて1つ挙げるなら、「LEGO」の組み立て説明書です。

(画像を掲載するのは控えておきますが)LEGOの組立説明書は、文字が全くありません。図だけで説明をしています。そして、文字がないため、うちの5歳児でも説明書を見ながら組み立てを進めることができます。子どもが組み立てをしているのを傍らで眺めているときに、私は密かに感動をしたのでした。

なお、企画時は、以下のような感じでオライリー・ジャパンの編集の方とやりとりして、オライリー・ジャパン側での企画を通してもらいました。

1. 企画書を作り、編集担当の方に説明
2. 編集担当の方から、企画書にいくつか指摘をもらう
3. 企画書を修正。また紙面イメージを数ページ作成
4. その企画書と紙面イメージでオライリー・ジャパン側の企画会議に編集の方が起案

デザイナーとの出会い

企画書を書いている時点で、この本は、デザインが重要になると思っていたので、企画書を作るのと並行して、デザイナー探しをしました。

幸い、大学時代の友人が多くの優秀なデザイナーを抱える某有名企業でデザイナーとして働いていたので、その友人に相談したところ「いい人がいる」ということで、最終的に著者として名を連ねることになった鈴木 亜弥さんを紹介してもらいました。

デザイナーの真摯な仕事

鈴木さんは、非常に丁寧な仕事をする方で、私が渡した原稿だけを見て紙面のデザインを考えるのではなく、原稿で説明をしているコードを自分でも実装してみて、まず自分が説明内容を理解し、その上で、それをどのようなレイアウト、説明で表現すれば伝わりやすいか、というのを全ページに対して1ページも気を抜かずに真剣に考えてくださいました。

この本を読みやすいと感じる方がいたら、それは完全に鈴木さんの仕事の賜物です。しかしその場合、読者にとっては違和感がない状態で読めることになり、ある意味引っ掛かりがなくなるはずなので、デザイナーの方がこういった仕事をしてくださったことにも気づけないことが多いと思います。なので、私はこの点は出版後に、なんらかの形で是非書いておきたいと思っていました。

ちなみに、私が鈴木さんに渡した原稿は、以下の図のようなしょぼいものですが、

それを鈴木さんは以下のようにしてくれました。私の原稿を読んだときと違い、ぱっと見で、すっと頭に情報が入ってきますよね。原稿にとらわれ過ぎずに作ってくださっていて、ありがたいです。

デザイナーへの報酬について

通常、デザイナーへの報酬は、1ページいくら、みたいな支払い方をすることが多いようです。この本でも、いわゆるDTPに関する支払い部分は、ページ単価で払った部分があります。しかし、私は前述のような素晴らしい仕事を「払いきり」のような報酬だけでまかないたくないな、と思っていたので、最初の時点で、鈴木さんには印税を按分する案を打診していました。さきほど記載したとおり、鈴木さんの仕事は、もう著者として中身を考える仕事と言っていい状態です。

いい仕事をしてコンテンツがもし売れた場合は、その報いは仕事をした人に返ってくるのがよいと私は思っているので、この本の印税は鈴木さんと半分ずつ分けています。

まー、技術書の印税がどれくらいいただけるかを知っている自分にとっては、それでもこのレベルのデザイナーさんに支払う報酬としては少ないなとは思っていたのですが、せめてもの報いということで、そのようにしています。

コンテンツで工夫した点

さて、後半はもう少し宣伝っぽく、本の中身について、こちらは淡々と説明していきます。この本では、以下のような工夫をしています。

本を横開きにした

こんな感じで、キーボードの手前に置きやすくしています。

マウスやキーボードの使い方から説明した

CoderDojoにくる子たちには、たまにマウスの使い方から教えることもあるので、教えるときに使えるような絵を載せておきたく、マウスの使い方から入っています。

同様に、あまりページ数を増やせなかったので説明が簡単ではあるのですが、キーボードの使い方(ローマ字入力やアルファベットの読み方、各種ボタンの使い方)も説明しています。以下はキーボード説明部分の一部です。

漢字と英単語に全てふりがなを振った

子どもが読む必要のあるページの漢字や英単語には原則としてふりがなを振っています。

失敗から気づかせるようにした

実は私は本業でも学習サービスのシステムやコンテンツを作る仕事をしているのですが、その際によく使うやり方として、「わざと失敗をさせて気づかせる」というものがあります。失敗をするように誘導して、「なんとかこれを解決したい!」と動機づけさせたり、「原因はなんだろう?」と考えてもらえるように、説明の流れを工夫していたりします。

学習をサポートする人へのワンポイントアドバイスを記載した

この本は、一人でも読めるように作ってはいますが、できれば親子で会話をしたり一緒に悩みながら読んでほしいな、と思っています。

なので、学習をサポートする人に向けたワンポイントアドバイスを巻末につけています。ぜひ参考にしてください。

最後に

というわけで、人生初の書き下ろしの執筆の後日談でした。長文を読んで頂きありがとうございました。


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