見出し画像

私の心の悲痛、


「セイラ。ごめん。俺もう無理だわ」


電話の奥からそう告げられた瞬間、私は膝から崩れ落ちた。


「・・・うん」


顔は涙でぐちゃぐちゃになり、思考も停止した。私はそう答えるのが精一杯だった。


どうして、こんな事になってしまったんだろう。


この物語は、9月に私の身の回りに起きた事件を私の視点から綴ったものである。


その事件とは、ある日、銀行に行くとお金がごっそりなくなっていたところから始まった。


最終的に、12月6日に私がベトナムで仕事(※ベトナムで日本のお米をPRすべく催事でおむすびを結んでいた)をしている最中に全額返金された。


しかし、「これで、一件落着!」なんて、能天気な事は全く思えず、それ以上に失ってしまったものは多いように思う。


もちろん、この事件を受けて引っ越しや全クレジットカードの再発行、一部仕事のキャンセルというような経済面の大打撃もある。


でも、それ以上に最も信頼していた人とのこのような揉め方は精神的にかなりエグられた。


楽しかったはずの6ヶ月前の記憶が、一つ一つ黒く塗りつぶされていくこのなんとも言えない感情はきっともう少しだけ続くのだろう。


誰よりも私の事を近くで応援してくれていた人が、今となっては誰よりも怖い。そう思ってしまう事さえも辛かった。


私が今回、このような場で文章にしたのは、この記憶が鮮明なうちに残しておきたかったのだ。


私の、感情の記憶をー・・・



***************


それは、時を遡る事3ヶ月前。


その日、私はいつもの通り銀行に向かった。


8ヶ月前に思い切ってフリーランスに転身し、「苦手なお金周りもなんとかしなければ」と思いつつ何も分からずにいた。


せめて、銀行の記帳だけはこまめにしておこうと月に一度記帳をする為だけに銀行に立ち寄る習慣をつけていたのだ。


その日は9月の末日。


前日に台風が到来し、東京でもあちこちで木がなぎ倒された。


街中に倒れた木を野次馬心で見ながら「すごい台風だったんだな」なんて呑気な事を思いながら銀行に入った。


私はいつものように記帳をして、綺麗に印字された数字達を確認した。


しかし、そこにはいつもと違う光景が広がっていた。


明らかに身に覚えのない金額が引き落としがされている。


ここから先は

7,784字

¥ 1,000

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?