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なんか泣ける朝

なんか、昨日の夜はひくほど泣いた。
なんでかは自分でもよくわからない。

一夜明けて、朝起きて。
カーテンから見える景色はぼやんとしていた。
なんて冴えない、曇り空。うっすらと霧雨。

そうか、だから心が晴れないのか。と、天気のせいにしたくなる。

常々、「わたしは痛みのすくない人生を送っているなあ」と思う。
だけど自分でもよくわからないくらい、小さなかすり傷が、
あるときどーんと波のように押し寄せて、突然泣けてくる日がある。

一瞬前まで気にも留めていなかったことが、
「あれも、これも、つらかったんだよう」と急に泣けてくる。

同時進行で、「もっと痛い人は世界にたくさんいるのに、なんでそんなに泣くんだ」「悲劇のヒロインぶってんじゃねえぞ」と謎の自己嫌悪攻撃もコンボしてくる。

つらい。笑
というか、メンドクサイ人間だなあ、と思う。

仕事に向かうために電車に乗る。日曜朝の呉線はがらがらだ。
広島駅で電車から降りて、人々が傘をさして街を歩いてるのを見て、
雨脚がすこし強まっていることに気づいた。

傘を持っていなかったので、そのまま、歩き出す。

霧雨以上、しとしと雨未満。
シャワーとミストのあいだくらい。
濡れ鼠にはならなくて、全身くまなく湿っていく感じ。

雨に濡れるのは好きじゃないけど、
ふと留学していたアイルランドを思い出して、心が上向いた。
ちょうど毎日こういう雨で、みんな傘をささずに歩いてたなあ。

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アイルランドでは、年がら年中雨がよく降る。

初めて降り立った異国の空港で、タクシーに乗り込んだ時、
「緑がきれいだろう」と、自慢げに運転手のおじちゃんが言ってた。
きれいもなにも、緑の原っぱ以外に周りの景色がなかったから、
「ええ、きれいですね」と答えておいた。

「こんなに綺麗なのは、雨がたくさん降るからなのさ」
とおじちゃんは続けた。自虐なのか、自慢なのかわからないトーンだった。

確かにアイルランドにいる間、数えるほどしか綺麗な青空を見ることはなかった。だけど曇り空の下の緑の原っぱが、えらく綺麗に見えて心慰められた。

それがおじちゃんの言葉の刷り込みなのか、
はたまた本当にそうなのか、自分でもわからないけど。

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平和公園にさしかかった。職場までもうすぐ。
観光客も、くつろぐ地元の人もいない、日曜の朝の公園。

静かで、雨粒が木の葉っぱにあたる音がよく響く。
土と草の香りが、心地いい。

「綺麗に1日を終えられなくても、
 綺麗に1日を始められなくても、
 まあ、いいじゃないか」

と、ふと心の奥から声がした。

傷に気付かずに、あるいは傷を我慢して、
でもある日溢れ出して、泣いて、朝が来て。

日々はだいたいハッピー。だけどたまに雨の日もある。

そんな日も、なんだか愛しく思えたよという、日記。


溢れ出す日のわたしに巻き込まれる近くの人たちに、
ごめんねとありがとうを込めて

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