中二

中学二年生の頃の自分は多忙であった。遊ぼうと誘ってくる友達を振り切り、家に急がねばならぬ。
家に帰ったら、ようやく弾けるようになってきたギターで曲を書かねばならないし、曲を書いたら録音せねばならないし、ポエムも書かねばならない。
ポエムを書いたらそこに適したイラストも添えなければならない。
自分で自分にインタビューしなければならないし、インタビューしたら、そこから名言を広い、語録にまとめなくてはならない。
それが終わったら、外に出て、色々な場所をひたすら歩く映像を撮るのだ。
「歩く」という前衛的な映画である。

次の日が休みなら、独りライブもしなくてはならない。
高台にある自分の家からは、近所の家々が見える。それらがすべてお客さんに見えるのだ。調子が出てくると、転げ回ったり、叫んだりするが、調度よいタイミングでばあちゃんが入ってくる。

中学二年生の頃、確かに自分は芸術家であった。
今は、違うかもしれない。

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