みすちる
ミスターチルドレンを一番聴いていたのは、おそらく大学1年の頃だと思う。二子玉川に校舎があったので、その帰り道、河川敷を独りでフラフラ歩きながらよく聴いていたものだ。
その頃ちょうど、「オレンジデイズ」(だったか)という柴咲コウと妻夫木聡が大学生活をエンジョイしているドラマがやっており、それを反感と羨望とを持って僕は観ていた。その主題歌もミスターチルドレンだった。
僕の人生の中でミスターチルドレンのCDを買っていた唯一の時期である。
初手から友達作りに失敗し、かといって勉学に没頭することもできず、中途半端にふわふわしていた僕は「くるみ」という曲のPVを観て泣いてしまった。
うだつの上がらなさそうなおっさんが、バンドを再結成する様子がドラマチックに描かれていたのだ。
PVの最後のシーンの河川敷、そのおっさんのバンドと桜井和寿がすれ違う場面では、自分がいつもフラフラ歩いていた二子玉川の河川敷とその場面をダブらせてしまい、より一層、おセンチな気分になったりした。
あの頃は随分、ミスターチルドレンの歌に助けられた。
本当に感謝している。
今となっては、桜井氏の笑顔を見るたび、「この人、この顔のままで平気で人を殴ったりできそうだな」と全く根拠のない非常に失礼なことを思ったりしてしまうくらい、こちらの心は荒みきっている。
ミスターチルドレンは僕の思い出の中の二子玉川で今も鳴り響いているというのに。
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