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品品喫茶譚 第54回『大阪 京橋 スワン 大阪文学学校に小山田浩子さんの講演を聴きに行くのこと』

異様に明るい光が差し込んだ部屋で目を覚ます。
最近、エスプレッソ珈琲が入っているらしいヨルビールというビールがマイブームである。
昨日もそれを一缶相手に遅くまでYouTubeなんかをひねくっていた。
怪談、心霊、サッカー、渦、ひくねと。
以上が、私が主にひねくるYouTubeチャンネルということになる。
阿呆みたいな顔をして眺めている。
怪談はよく観るが、やっちゃっている怪談師は好きではない。どんなに素朴でもリアリティーのある話が好きだ。怪談師はやり過ぎる。
すやすや眠る。

午後、大阪へ向かう。
十六時から大阪文学学校にて小山田浩子さんの特別講座。
主に文学学校の聴講生が聴きにきているようだったが、中には私のように一般で参加する客もいた。
小山田さんが小説を書くために大切にしていることや、そのプロセスは非常に腑に落ちた。
読者に信じてもらう、読んでもらえるのは、結局、本当のことなのだ、という言葉は、やり過ぎる怪談師には耳が痛いかもしれない。
私も何か作ったときに届いている実感があるのは、そういう歌だ。
あくまで自分のやり方であるということを強調されていたが、創作する上で大切なことを色々教えていただけて、ありがたかった。

阿呆顔下げて、サイン会に並ぶ。
自分の番が来るまで、前に並んだ人たちがどれだけ喋っているかをチラチラチェックする。
いやしい気持ちである。
さらっと名乗って、サインしてもらおう。
広島のライブのときに家族の方が来て下さったことのお礼を言おうと決めて、いざ自分の番が来る。
「お願いします、。」(名乗らない)
「これ、どうぞ。」(名乗る前に、お渡しするために購っておいたお菓子を渡す)
朗らかに受け取って下さる。
「お宛名は?」と聞いて下さったのをこれ幸いと、
「世田谷ピンポンズと言います、」などとボソボソ名乗る。
知っていて下さって助かった。
ぬそぬそ会場をあとにする。

来たときと違う路線に乗ってしまった。
京橋で降りる。
数年前に一度来たことのある「スワン」に寄ろうと思った。
土曜日の夜は浮かれている。
私はまだひゃっはあとはっちゃけるのは少し怖い。
スワンに入って、ピラフと珈琲を頼む。
数名の客のおっさんは店のそこここに置いてあるストーブの灯よりも真っ赤な顔をしている。
さらに数名おっさんが入ってくる。
やはり顔は真っ赤だ。
昼から飲んで、ここで珈琲もう一杯っていうかんじなのだろう。
ご機嫌なことである。
ピラフをかっこむ。珈琲をすする。
ピラフの横には醤油ひと瓶添えられているが、味はしっかりついている。
かける人もいるのだろうけど、かけたら結構しょっぱくなるかもしれませんよ。
気をつけて。

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