ディズニー

大学生の頃、男ふたりで、ディズニーランドへ行った。
ハロウィンの頃で、雨が降っていた
。雨の為か、人はまばらだったが、それが余計に男ふたりというシチュエーションを際立たせ、すれ違うカップル、家族連れからは、冷たい視線が投げかけられた。

それでもふたりは勇敢だった。
ノイローゼだったのかもしれない。

カリブの海賊にも乗ったし、イッツアスモールワールドにも乗った。ハニーハントは混んでいて乗れなかったが、パレードも見て、ランチも楽しく済ませた。
スプラッシュマウンテンには10回ほど乗った。
雨に濡れ、それでもまだ濡れ足りなかったのだ。
しぶきを受ければ受けるほど、ハイになった。

開園から閉園までいたが、まだまだいたかった。
楽しかった。
付き合っているのではないかという錯覚に陥りそうなほど、楽しんでいたが、雨に濡れすぎて、携帯が壊れた事により、急激に白けてきて、なんとか現実に戻れた。
と、同時に一緒にいた奴が途端に疎ましく思えてきた。
彼は群馬からわざわざ来ていたが、適当に電車に乗せ、追い立てるように帰らせた。

帰り道。現実に戻って、歩く世田谷の街は夢の国から比べると無機質ではあったけど、なんだか懐かしく、優しい気がした。

彼とは数年後、グアムにふたりで卒業旅行に行ったが、その時は最初から虚しかった。

壊れた携帯は、たまたま親父がパチンコで当てたお金で修理できた。

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