年末年始

年末にインフルエンザを患った。
ちょっと早めに帰省した実家で発症、結構な熱が出た。
このためゲストとして出るはずだった東京のライブと数年ぶりに会えるはずだった友達とのご飯の予定がポシャった。

最初にかかった病院では、「インフルじゃないっしょ」と検査もなく、咳止めと解熱剤を渡され、それを飲んだりしながらもまあ治らないので、後日、
違う病院に行ったところ、あのぐりぐりと鼻の奥に棒を突っ込まれる例の検査の結果、やはりインフルエンザであった。(インフルエンザにかかったのは人生で三回目)

医師は私の鼻に棒をぐりぐり突っ込みながら「手心を加えるとさあ、ちゃんとした結果がでないんだよねえ。」と情け容赦なく、私が涙をぼろぼろこぼしても、ぐりぐりと鼻の中をえぐり続ける。
そして「発症したらさあ、数日以内になるべく早く薬を飲まなければならないよ。今で結構ギリギリだから一刻も早く飲まなくちゃ」と言ったにも関わらず、「感染経路ってさあ大体新幹線の車内とかなんだよね。こんな田舎ではまず流行しないのよ。大概、そうやって電車移動してきた人とかが広めるんだよねえ。京都住んでるんでしょ。新幹線で間違いないねえ。何?東京も寄った?じゃあ中央線とかさあ、ああいう人の多い路線で移ったのかなぁ。そういえばさあ、音楽やってるんだっけ。あそこの細谷さんの息子さんだよねえ。」などとわざとやっているのかと思うほど話が長い。
私はジリジリしながらも「はあ、なるほど。」などと相槌を打っては鼻をすすり続ける。
散々喋り倒されたあと、その場で二錠飲めば一週間は効果が持続するという薬を処方され帰宅。

それからはまるで中学生か高校生の頃に戻ったかのように、ずっと実家の自分の部屋で寝ていた。
自分の部屋とはいえ、もう十年以上前に出た場所で、当たり前のようにそこで長い時間を過ごすというのは変な感じがした。
「昔もこうやって私が風邪をひいてベッドで寝ていると、親がジャンプを買ってきてくれたっけ。近くのセブンイレブンでざる蕎麦を買って、ゆで卵を買って、プリンパンを買うのも定番だったけど結構楽しかったな。中学校以来、久しぶりに湘南純愛組を最初から読んじゃおうかなあ。」などとノスタルジーに耽ったりもしたが、結局はダラダラと寝て起きての繰り返し、親が持ってきてくれるご飯を三食食い、テレビをダラダラと観ているうちに治ってしまった。

親には本当に感謝したい。

インフルエンザは熱が下がってから二日ほど置けば外に出てもいいという。
書店で働いていた時はシフトが緩かったこともあって、十日間くらい休んだけれど、あれは休みすぎだったな。
その時はワンマンライブを一個ポシャらせてしまった。
治って職場に出て行っても、やはりどこか自分が何かの菌を持っているような気がして、肩身が狭かった。

熱が下がってから二日の計算方法でいけば、一月一日には部屋を出てもいいことになる。
元旦である。
なんとか間に合った。
それからは全くもって元気。
東京で映画を観て、るんるんと京都に帰ってきた。

私の2019年が始まった。

それから数日後、私は昼に食った何かにあたって、一晩悶絶ののち数日寝込むことになる。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?