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品品喫茶譚 第95回『東京 高円寺ごん ピンポン、初の個展をするのこと』

5月8日。
午後早く高円寺に着き、ポンチ絵の展示をして下さることになっている本の長屋へ向かう。
数年前、戯れにネットにあげた文士絵が一部で異様な人気を博したことによる布石がここにきてやってきた。フォークシンガーによる、へにゃついたポンチ絵展が実現することになった。
さて、初めての展示である。早速、会場設営のやり方がわからず、壁を前に途方に暮れる。
前日に絵描きである彼女に色々お膳立てしてもらい、レクチャーを受け、簡単最低限のノウハウを教わったにも関わらず、壁を前に立ち尽くす。
とりあえず絵を貼ろう、と思った。
へろついたひもを不器用に操作しながら、水平をとっていく。いやさ真っ直ぐになったような気分で絵を飾り立てていく。全くもっていい加減、雰囲気だけではあるが、なんとなくうまくいった気がする。しかし慣れない作業は眼精疲労、脳の一時的な劣化、腕の力を容赦なく奪う。
三枚の壁にとりま、結構な量のポンチ絵を貼ったところで、ギブアップ。
阿佐ヶ谷在住のいつも御世話になっている、大変に優しいデザイナーの原瀬さんに連絡する。最近、映像からライブまで、色々手伝ってくださっている彼に設営の手伝いまで。なんたることか。本当にありがたい。
原瀬氏の監修もあり、なんとかかんとか展示のかっこがついた。

5月9日。
展示が始まった。
ご来場いただいた人の話など色々書きたいところではあるが、話はさらに翌日にうつる。
5月10日。昨日。
10日の次の日は11日、
5月11日は私の誕生日である。
私は己の誕生日はしっかり祝いたい、その日一日、しっかり誕生日気分でいたいというタチの悪いタイプである。そんな話を設営のときにしたのだろう。
10日の朝。
1日早いけど昼飯くらいご馳走するよ、行きたいところない? 
と、原瀬氏が連絡を下さる。
久しぶりに高円寺のごんに行きたいと思った。
オムライスの美味しい喫茶店である。
昼過ぎ、原瀬氏と二人、ごんへ向かう。
窓際の席に座り、私は明太子オムライス(たらこオムライスだったかもしれない)、原瀬氏はヤキオムという、お好み焼きとオムライスの合いの子みたいなやつを頼んだ。
まずサラダ、次にオムライス、最後に珈琲をしばきあい、本の長屋前でお別れした。楽しい時間だった。

展示初日から在廊している。
ちんまりと机に陣取り、更なるポンチ絵を描いたり、本を読んだり、BGMをあれこれ、こねくり回したりしている。結構時間はあっという間ってかんじ。
お客さんが階段を上がってくる音がして、挨拶する。私がいなけりゃ、ゆっくり観れる人もいるだろう。しかし私は思わず話しかけたりする。絵の説明をしたり、拙い部分のあることを言い訳をしたり、ミュージシャンとしての仕事の宣伝をしたりする。風、強いっすね、とか言う。
話し相手になってくれて、本当にありがとう。
差し入れも本当にありがとうございます。
絵を褒めてくれて、ありがとう。嬉しいです。
出来うる限り、在廊するつもりでいるから、また気軽に遊びに来て欲しいなと思う。
まだ来ていない方は、タイミングが合えば是非来て下さい。ああ宣伝。
18日には会場で歌う。歌もぜひ聴いてほしい。
今日で40歳。
絵を描いて、歌を歌い、文章をものす。
やりたいことは全部やる。

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