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オリオンの鎧

「お前がこの世でこの姿でいられるのは一度きりなのだぞ。」
 突如として冬の空気に変わった街灯の下で、私はその声を聞いた気がした。
 オリオン座の横に白く、もしくは紫色に光る雲が風に流され、オリオンの骨格に衣を着せようとしている。
 風というエネルギーには言葉を伝える力がある。そういえばなんだか懐かしい感覚だ。
 ふと「詩は空から降りて来る」と語る詩人のことを思い出した。
 言葉は風から生まれる。
 想いは水から伝わり、火から思想が伝えられていたといういにしえ の教えに想いを馳せる。
 土からは安らぎが与えられ、木からは包み込まれる母性を感じる。
 金とは鉱物の一種。ミネラルもまた彼らの言語なのかもしれない。
 陰陽五行、春夏秋冬。移ろいゆく季節の星座に、私は緩やかな宇宙の仕組みを垣間見た気がした。

 2023年秋。コロナ禍の風は一旦落ち着いているように見えた。2020年より始まった近代史上最も盛大なイベントとも捉えられるコロナのプランデミック騒動。そうである、これはもはやプランデミックである。もう誰もがあからさまな陰謀であることに気付いているが、誰も声高にそれを叫ぶ者はいなかった。
 医療従事者への信用は地の底まで落ちているが、誰もその事を指摘できずに、今でも今までも何も無かった事のように、再びプランデミック以前の生活を取り戻そうとしている。
 高い地位のある者程、その責任は追求されるべきであるが、地位が高い程そのプライドも高く今更裁かれる事などないとたかを括っているし、まさか自分に責任の所在などないと、上部は平静を装っているが、社会の同行には人一倍にアンテナを張り巡らせて、日々の生活を先送りしている。
 誰にも指摘されなければ問題ないのか。良心は呵責しないのか。僅かでも疑問を感じた者はまだ幸いである。
 身内が亡くなり、周りの知人に異変が起こっている事を目にしても未だに、現在起きている事態を理解できず、己なりの我儘な葛藤を生きている者もいるが、周回遅れにも程がある。
 本当に1ミリたりとも過失を認識できていないというのか。何に祈りを捧げているのか。いずれの神を信奉するのか。人類の信仰の浅はかさ、無知を永遠にループする人種など、神も悪ももう何も期待しないであろう。

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