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5月満月の日、お釈迦様は生まれ、死んだ。

「死に対する気持ちを口にしてみるワークショップ」を終えて。

講演会やワークショップを終えた後、いつも「これで良かったのかしら」と不安になる。みなさんの大切な時間をいただいているわけで。きっと何らかの期待を持って、みなさんそこにいるわけで。
どうだった?あなたにとって良い時間だった?なにかひとつでも、あっ!と思ったことがあった?と全員に聞いて回りたくなる。

今回のワークショップは誰に依頼されたわけでもない。
「みんなで「死」について語りあいたい」

と言ったら、本間正人さんが「じゃぁ、それいつやるの?」と。
さすがコーチングの第一人者、本間正人。
長年のつきあいで私が「やるやる詐欺」の常習犯なのは、よくおわかり。
痛いところをサッとついてくる。
「えっ?」(今でしょ、と言えなかった私。)
「このGW中、水曜日くらいにやる?」
「え?水曜?・・じゃぁ、今度の金曜日の夜」(ちょっとでも延ばそうと・・・)
「了解、手伝うよ」
ということで本間さんがいてくれるなら大丈夫、と安心できたものの、
どういう言葉で広報したらよいものやら。
よく考えると、私はなぜ「死」を語りあいたいんだっけ?わからなくなる。
「死」といってもさまざまな扱い方があるし・・・。
早く広報しなくちゃと内心焦りながらも、言葉にできない。

他のワークショップに参加させてもらったり、本から刺激を受けたり。
で、結局はあんまり難しく考えずに、素直に伝えようという結論に達する。
前日の夜、やっとfacebookのイベントで発信できた。

(以下広報文)
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新型コロナ感染者数や死者数を目にする毎日なのに、
「病い」や「死」そのものについては
なかなか人と話をする機会がないなぁ、と思っています。
というわけで、急遽開催!
死に対する気持ちを言語化して、
「みんなで死を語りあい、聞き合う」だけのワークショップ。
なんの結論もないワークショップに興味がある方はぜひご参加ください。

日常的に「死」について話せない。
広告の世界にいた時の私はそうでした。
40代になった辺りから
なんとなくずっと気になっていたし、話したかったんです。
でも、誰も死ぬなんて不吉な話はしたくないだろうなぁ、と思うと
自分からそんな話題は振りにくい。

ただ8年前に
3日に1人はお看取りをする在宅医療クリニックで働きだしてから
「病い」や「死」はずいぶんと身近なものとなりました。
半年前にがんがわかって治療してからは、私ごとになりました。

「死」は怖いものですか?不吉なものですか?悲しいものですか?
その気持ちはどこから来ているんでしょう。
大切な人の死を経験した方もいるでしょうし、
本や映画などで描かれた死に感情を動かされた方もいるでしょう。
今回はそんな話を口にしてみませんか?
そして、他の方々の「気持ち」を聞いてみませんか。

さてさて、どんな話が出てきますやら。
はじめての「死に対する気持ちを口にしてみるワークショップ」。
今回はファシリテーターを本間正人さんにお任せしておりますので
たとえ話があっちやこっちに飛んでいっても
それなりにまとまって終わると確信しております。

日程は1週間前から決めていたのに、広報が遅れて
明日開催なんてむちゃくちゃなスケジュールでごめんなさい。
ただ本日は5月の満月「ウエサク満月」の日。
お釈迦様が生まれた日・悟りを開いた日・お亡くなりになった日は
5月の満月だったということで、特別な満月です。
こんな日の広報はまたきっと意味があるのだろう、と思っています。

5月8日(金)十六夜 20時〜21時30分zoomにて開催します。

言い出しっぺ:平田節子  ファシリテーター:本間正人さん

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前日夜だからね、十数人くらい集まれば上出来だと思ってた。
そしたら一晩で参加予定者が78名!
実際に参加した人が73名。
ほんとにたまげた、びっくりした。
何割かは本間さんファンの人がいるとしても、
こんなに「死について語りあいたい」人がいるの?
今回の最大の発見は、それだった。

当日は本間正人さんの安定のアイスブレイクから始まって、
本間さんが私に「がんの体験」のインタビューしてくれて。
ウィッグ取って坊主頭を見せたり、このあたりは私のやりたい放題。
後半は5人組でブレイクアウトルームにわかれて話しあい、聴きあい。
医療者も非医療者もいる。ランダムに組み合わされたそれぞれのグループで
どんな話し合いが行われたのかは、私にはわからない。

何人かの参加者の声
「たった5人で5分ずつ話しただけで、5者5様の死との距離感があることを感じることができました。それは普段ならできない経験で、わたしにとって価値のある時間でした」
「「死に対する気持ちを口にしてみる」というタイトルがとても良かったと改めて思います。どんな気持ちを、考えを持っていてもいいと言われているような、そしてそれがそのままの場でした。参加されている皆さんがまさに、Cool head,Warm heartだったと思います」
「多分年齢的に、なのだと思うのですが、死がそんなに遠いものではなくて、ゆえに、周りの人との死生観の違いに「この話はできないなあ」と思ってきました。とにかく死がすぐそこにある、と言う感覚でいます。でも周りとは話せてないんですよね。今日、改めてこの話題を70人(?)もの方と一緒に聞けて、それぞれのリアクションの違いに触れられたことは、とっても尊いなあと。」
「みんな死について語りたいんだー、との言葉にハッとしました。もしかしたら、『縁起でもない!』と言って死について語ることを避けている。と思ってたのは幻想だったのかもしれない。」
「最後のコメントの中での「昔と比べて死が日常ではなくなった」というご意見が印象的でした。生きることの一部として死を考え、話すことができる文化へ少しでも近づけるといいな、と思いました」

たったひとりでも、良い時間になったのならば、もうそれでいい。
また、やろうと思った。
欲張らずに、少しずつやっていこう。
ボチボチと語りあえるといいな、
人の生き死には月の満ち欠けに関係しているという。
満月は、ちょっと強すぎる。
語りあうには満月の次の日がふさわしい。
また次の十六夜(いざよい)に。


追伸:本間正人さん、本当に感謝です。いつも私が止まっている時に現れて、笑顔の質問で私を追い込み(笑)、選ばれた言葉で私の背中を押してくれ、結局わたしは「本間船」という大船にいつも乗せてもらっているなぁ、と思うわけです。というと「船長次第ですよ」とうまいこと返されちゃいますが、本日も70人を超える方々と一緒に冒険できて最高でした。ありがとうございました。

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